「溺れるキス」も「親友キス」もあり!ドロドロ恋愛ドラマで萩原利久がみせる役者魂
愛して愛されて、一方通行な片想いの行方に悶々とする深夜の連続ドラマ『鈍色の箱の中で』。
同作で幼なじみからまっすぐな想いをぶつけられる辻内基秋(つじうち・もとあき)を演じるのは、人気ドラマへの出演などで注目度急上昇中の若手俳優・萩原利久。
萩原は、プライベートでも親しい友人である神尾楓珠とのキスシーンや、筧美和子演じる年上女性に無理やり唇を奪われる、溺れるようなキスシーンにも挑戦している。
今回の役づくりには苦労したという彼に、役者としての想いやドラマのみどころについて聞いてきた。
◆キスシーンだらけの撮影現場はこうだった
ーー恋愛の要素が凝縮されたドラマですが見どころはどこですか?
萩原利久(以下、萩原):まずは、確実にキスシーンだと思います。こんなにキスシーンが盛り込まれて、しかもそれが核となる作品はなかなかないと思います。しかも高校生のドロドロした恋愛。大人のドロドロした恋愛ドラマはありますけど、この作品ならではの高校生に共感できる部分があるかもしれない。なので、いろんな人にこのドロドロを楽しんでほしいと思います。
新しい“恋愛ドラマ”というか。気持ちが制御しきれずにあっちこっちいってしまう高校生達の恋愛を楽しんでもらえたらなと思います。
ーー男性同士でのキスシーンもありましたね。
萩原:しかも、相手が相手でしたからね。「はじめまして」の相手だったら、“役と役”ってことで向き合えたと思うんですけど。相手が神尾楓珠(かみお・ふうじゅ)っていう、わりとパーソナルな友達だったので。
だからといって、特別なにかあったのか、っていったら何もないんですけどね。楓珠だからこうしなくちゃ、っていうこともないですし。
実際、キスしている間、カメラが回っている間はなんともなかったです。ただ、微妙なセッティングの時間はちょっと笑っちゃったりしましたね。「アングル見たいので、体勢見せてください」って言われて、顔をぐっと近づけたまま無言でいるときとか(笑)。
楓珠とのキスシーンは、撮影の後半になってからだったので変な緊張感もありませんでしたし。ほかの人とのキスシーンの前には、いろいろ考えたりもしていたんです。このあとキスシーンだから、食事しないでおこうとか。でも、楓珠とのキスシーンの日は寒くて、ふたりで一緒に豚汁食べました(笑)。同じものだからいっか、と。
ーー実際に撮影してからはいかがでしたか?
萩原:全然なにも変わらないですね。強いて言えば、シーンが終わってひとこと出た感想が「くちびる柔らかいね」って(笑)。しかもそれを、お互いに思っていたという(笑)。今思えば、お互いリラックスできていたんでしょうね。
◆リラックスして楽しみながら臨んだ現場
ーーSNSにアップしたキス動画も反応がすごかったですよね。
萩原:普段あまり連絡とっていない友達からも、連絡がきましたよ。
ドラマの情報を解禁する前だったので、急にSNSにあんな動画をアップすれば、そりゃ、そういう反応になるよなあ、って思いました(笑)。コメントもつけずに、男性とキスしている動画をあげたわけですから。
ーー年の近い出演者が多い作品ですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
萩原:年も近いし、共演したことがある人がほとんどでやりやすかったですね。しかも、ほぼ自分達だけでストーリーが進むっていうのもすごく新鮮で。初対面だと、関係を作っていくまでも時間が必要になりますけど、今回はそれがなかった。幼なじみっていう設定だったので、そのあたりの人間関係も作品にマッチしていたのかなと思います。
すでに知っている間柄という状態でこの作品を始められたのはラッキーでした。とてもいい方向に作用したと思います。
ーー再共演の人と演じるなかで、新しい発見などもありましたか?
萩原:『3年A組―今から皆さんは、人質ですー』(日本テレビ)でも共演していた楓珠とはすごく仲がいいんですが、お芝居でしっかり交わる、っていうのがなかったんです。
芝居を交わすのはほとんど初めて。同じフィールドにいても、直接的にはあまり絡んでこなかったんですよ。一番知っている人だと思っていたけど、実は一番知らなかったな、と。
現場に入って、実際に芝居で交わるまでわからないところがたくさんあった。なので、交われるのが楽しみで、ワクワクしながら現場に入っていきましたね。実際、利津(神尾)とのシーンは楽しかったです。
◆実は似ていた!? 基秋と自分のキャラクター
ーー今回は、役づくりに苦労されたと伺いました。
萩原:自分では、基秋って自分のなかにあんまりない人間かなと思っていたんですよ。似ているところや、共通点が全然みつからなくて。
だから、自分のパーソナルな部分から役づくりするというよりは、基秋という人物をちゃんと作る作業をしなくちゃいけなかった。
わりと経験があったり、役柄に近いものがあると、自分のなかにあるものからひっぱれたりするんですけど、基秋という人物はそれがみつけにくかった。なので、自分では、苦労して作り出したキャラクターのつもりだったんです。それが、放送開始直前に楓珠と取材を受けたときに、「お前の鈍さと基秋の鈍さは似てる」って言われて(笑)。
“鈍い”というキャラクターの核心的な部分が、実は自分と重なっているかもしれないということが発覚したんです。
鈍さについては、自分がそうだとは思っていなかったので、意図的に自分で取り入れようみたいなことはなくて。でもそこがマッチしていたみたいですね。あんなに悩まなくても自然に役づくりできていたのかもしれない、という(笑)。そこに気づかないっていうのも、まあ、鈍いんでしょうね(笑)。
ーー漫画の原作ですでにキャラクターがあるものを演じる難しさもありましたか?
萩原:漫画原作って、表情だったり、動きだったり、文字だけのものより汲み取れる材料がとても多いんですよね。文字だけの原作よりも、圧倒的に情報が多い。なので、やっぱりちょっと意識するところはありました。
でも、衣装合わせの段階で、基秋はそこまで原作にひっぱられず、意識しすぎないで、って言われたんです。
正直、そういわれるまでは、基秋という人物のイメージを、原作からかなりいただいていたので、そこで一気に不安になってしまって。本読みでも、キャラクターをつかめた感覚が全然なくて。なんだか、周りとマッチしてないな、違うな、って感じてすごく不安になってしまったんです。
◆役者として成長を続ける現場での日々
ーー不安が解消されたきっかけはあったんですか?
萩原:実際に現場に入ってみてからです。ちゃんと周りの人物が見えてきたり、監督に細かく確認して頂いたり。いろいろな感情や心情っていうものについても、一緒に考えてくださったので、現場に入って割と早い段階で、不安は解消されました。
現場の雰囲気や世界観にすごく助けてもらいました。見えるものがあるとやっぱり違いますね。
現場で、急に出てくるものも多かったです。ひとりで想像していたものとは違う言葉や、生まれてくる感情もありました。自分の想像の範疇を超えるものが生まれて、そこで受け取った気持ちが基秋の気持ちになったりしました。現場に入ってから、確実に色づいていく感触がありました。
ーー今後やってみたい役柄などはありますか?
萩原:今まで高校生役が多かったんですが、これからは大人の役もやってみたいですね。学生じゃなくて、社会人とか。10代ではなかなか触れてこられなかった役は、どんどんチャレンジしてみたいです。
今はまだ実年齢よりも下の役の方が多いので、役柄としての経験があるものだったり、どこか共感できる部分だったり、割と自分のなかからひっぱってこられるものが多かったんです。
そういう役をこれからもやっていきたいとは思いますが、同時に、自分には経験のない役もやってみたい。年齢的に上の役や、経験したことのない職業にも挑戦してみたいです。
専門的な職業の世界で専門用語の多い役に、かなり興味があります。ぜひやってみたいですね。専門用語をスラスラ言ってみたい。セリフ覚えはあんまりいい方ではないので、相当大変だと思いますけど(笑)。
相手との対話でのセリフは割と覚えられるんですけど、ひとりでわーっと喋るセリフ回しは、たぶん苦手です。弁護士とかも、覚えるのに相当時間がかかるだろうなあ。でも、ぜひ挑戦してみたいと思っています。
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主要キャストが揃う会見の席では、共演者のキャラクターで好きな人は誰かという質問に望月歩さんが「利久君が好きです」と答え、思わぬ告白(?)に大喜びだった萩原さん。和気あいあいとした現場とは裏腹に、どんどんドロドロな展開になっていくドラマ『鈍色の箱の中で』は、俳優陣のオンオフも含めて目が離せない。
<構成・文/塚はなこ>
※番組情報:360°ドラマ『鈍色の箱の中で』
2020年3月14日(土)深夜3:00~深夜3:30、テレビ朝日(※関東ローカル)
ビデオパスにて独占見放題配信
※放送前、放送後に見るとより楽しめる“360°サイト”はこちら!