筧美和子「好きになる。それだけですごいこと」片想いドラマから感じる恋愛観
幼馴染5人の恋心の行方が気になる連続ドラマ『鈍色の箱の中で』。
高校生の恋愛模様に、少し大人のスパイスを効かせる存在である河野綾芽(こうの・あやめ)を演じる筧美和子に、ドラマのことや自身の恋愛観などについて話してもらった。
◆キスシーンを見て「美しい」って言っちゃいました
ーー高校生の恋愛模様を間近に見る役柄はいかがですか?
筧美和子(以下、筧):高校生同士のキスシーンを見たときには、美しいって思いましたね。モニター越しに見ていたんですけど、思わず「美しいな」って言葉に出てしまうぐらい、素敵だなって思いました。
私がみんなと接するシーンは、真剣な話をしていることが多くて。基秋くん(萩原利久)とか美羽ちゃん(久保田紗友)と話すときって、みんなちょっと大人な表情なんですよ。だから、高校生らしい部分とか、若々しい部分と直接やりとりすることがあまりなくって。
みんなのキスシーンを覗き見している感じで、高校生の恋愛を楽しそうだなって思うところはありました。
ーーお姉さん目線で見ていて応援したくなるキャラは誰ですか?
筧:(望月)歩くんが演じている悟くんですかね。あまり一緒になるシーンはないんですけど。見ているとなんだか応援したくなります。すごくピュアで。
でも、そのピュアな姿の裏に切なさを感じました。ピュアでまっすぐだけど、複雑な何かを抱えている感じ。歩くんが演じていると、より一層応援したくなるキャラですね。
◆原作の“隙間”を埋めてさらに濃密に
ーー漫画原作のドラマですが、ドラマならではの魅力はありますか?
筧:結構、漫画原作と変わっていて、ドラマオリジナルの展開になる部分も多いんです。もちろん、大事な部分はちゃんと原作の筋に沿って作られていますが、オリジナルのシーンも多いんです。
オリジナルといっても、違う方向にいってしまうのではなく、漫画だけだと見えていない部分も描かれているように感じます。実写だからこそ見える、っていう部分もあるのかな。
私が演じている綾芽も、漫画に出てくる綾芽よりもエスカレートしていますね。原作よりもちょっと怖いというか。それがスパイスになって、ドラマの面白みが増したらいいな、と思っています。原作ファンの方にも、ドラマはドラマとして、楽しんでいただけたらいいですね。
ーー今まで演じてきた役との違いは感じますか?
筧:違うと思いますね。監督や周りの方には今までとちょっと印象が違うって言っていただいたりもしました。自分ではそれほど違いは意識していなかったんですけど。綾芽を演じるのは楽しかったですね。バイオリンは本当に苦戦しましたが(笑)。
もちろん、いろいろな心情があったり、関係性があったり、難しいことは多かったんです。でも、ひとつひとつのシーンで、なんだかジワジワと攻めていく感じがあって。そういう役は初めてだったので、やりながら楽しめました。
◆リアルなドラマに自分の恋愛観を重ねて
ーー恋心が交錯するドラマですが、恋愛について考えることはありましたか?
筧:高校生のときの恋愛ということで振り返ってみると、このドラマで起きていることって、思春期の成長過程に、私にも皆さんにも、誰にでも起こることだと思うんですよね。
親も知らない姿とか、見せられないような裏側も、実はすごく当たり前のことでもあるんじゃないかな、って。高校生ひとりひとりの、人間として持っている広がりとか想いについても、すごくこだわって描写されているので、いろいろな側面が見られて私も面白かった。なかなかそういう高校生の姿って実際は見られないと思うし。でもすごく人間らしくてリアル。
ーーご自身の恋愛を思い出したりしましたか?
筧:あったかなあ?(笑) 美羽ちゃんが無邪気に「基秋が好き!」って言う姿なんかは、「ああ、昔は自分も言えていたなあ」と思ったりしましたけど(笑)。怖いもの知らずだったというか。高校生無敵だな! って感じたりはしましたね。
今は、どうしても様子をうかがっちゃいますね。自分からアピールするのとかも、今はどうかな。相手がどう思っているかわからないまま、とにかく「好き!」って出していくのはなかなかできないかも。でも、何もしないで後悔するのも嫌だからちょっとチャレンジはしてみるかもしれない。まあ、なかなかできないのが現実なんですけどね。
ーー今、恋をしている人にアドバイスをお願いします。
筧:最近思うのは、「好きになれる」っていうこと自体がすごいことだったんだな、って。
大人になればなるほど、余計なことを考えたりして、なかなか恋心まで進められなくなったりするんですよね。無意識にストップがかかってしまったり。そんななかで、「好きだ」って気持ちまでたどりつくだけですごいことなんですよね。
そういう相手に出会えたことも、その気持ちに気が付いたことも、どっちも簡単なことじゃない。だからこそ、好きな相手がいるなら、その恋を存分に楽しんだらいいと思います。…って言いながら、これ、自分の肝にも銘じておきます(笑)。
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ひとことひとこと言葉を選びながら、丁寧にインタビューに応じてくれた筧さん。ドラマで見せる綾芽の表情とはまた違う柔らかな笑顔が印象的だった。自分の恋愛ともついつい重ねたくなるドラマ『鈍色の箱の中で』も、ますます恋心が交錯! ハラハラする展開からますます目が離せない。
<構成・文/塚はなこ>
※番組情報:360°ドラマ『鈍色の箱の中で』
【毎週土曜】深夜3時から3時30分、テレビ朝日で放送、ビデオパスで独占見放題配信
3月7日(土)放送の第5話は深夜3時5分から3時35分