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宮里藍が人生初スランプを乗り越えた“心の整え方”。「まだ起きていない事にエネルギーを向けるより…」

©Get Sports

2017年、14年間の現役生活を終えた宮里藍(34歳)。引退から2年半、第2の人生はもう始まっていた。

彼女が新たな挑戦として選んだ場所は「宮里藍インビテーショナル」。自らが提案し、初めて立ち上げたジュニア大会だ。そこには、引退後ずっと考えていた“ある想い”が込められていた。

1月26日(日)深夜に放送されたテレビ朝日のスポーツドキュメンタリー番組『Get Sports』では、宮里藍に密着し、彼女の新たな挑戦を追った。

◆宮里藍を「成長させることができた」もの

「私が経験をしてきたなかで、中学生から高校生の間っていろんな経験があり、とても重要な時期でした。そこで何か出来ないかというのはずっと考えていました」(宮里)

現役時代からジュニア育成に関わりたいという思いを抱えていた宮里。そう思ったのは、自らを大きく成長させた“出会い”があったからだ。

史上最年少の18歳でアマチュア優勝を果たし、瞬く間にスターへと駆け上がった宮里。20歳でアメリカツアーへ参戦したが、世界の壁に打ちのめされ、人生初のスランプに陥った。

ドン底にいた宮里を救ったのは、メンタルコーチであるピア・ニールソンとリン・マリオット。2人が提唱するゴルフメソッドが「ビジョン54」である

©Get Sports

「ビジョン54」は、18ホールすべてバーディーという究極のスコア「54」を目指し、“人間力”を重視する理念。宮里は、このゴルフメソッドと出会ったことでスランプを乗り越え、世界一にまで上り詰めた。

そんな経験があったからこそ、自分を救ってくれた「ビジョン54」のメソッドを、大会を通じてジュニア世代に伝えようと考えた。

そして構想から1年経った去年9月、「第1回宮里藍インビテーショナル」が実現した。参加したのは、中学生から高校生のトップ選手33人で、2日間の日程で行われた。

まず大会前日に行われたのが「ビジョン54」のレッスン。提唱者であるピアとリン、宮里の3人が伝えていく。

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「これからショットを打ちますが、その前に一番大切なのがこの青い所です。ここを『思考ボックス』といいます。次に実際にショットを打つところが、この黄色い所『実行ボックス』と呼びます」(ピア)

「思考ボックス」とは、ショットを打つ前の場所のことで、周囲の状況を考慮しながら、どのように打つかイメージする場所。「実行ボックス」とは、「思考ボックス」で決めたことを迷うことなく、実行する場所である。

©Get Sports

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そして、「思考ボックス」と「実行ボックス」の後にある、3つめのボックスが「メモリーボックス」。これが今回、宮里が伝えたかったこと。選手の将来を決定付ける大事な場所と言っても過言ではない

◆感情を脳に記憶させる「メモリーボックス」

メモリーボックスとは脳に何を記憶して残すかを決める所

「感情を伴った行動は、このマジックテープのように脳にピッタリと記憶として、残ってしまうんです」(ピア)

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例えば、良いプレーをした後、ガッツポーズをするなど喜びを表に出せば、脳に記憶されやすく、逆にミスをしても感情を出さなければ、脳に記憶されにくく、引きずることもないという。重要なのは、いかに良いイメージを脳に記憶させ、ハッピーな気持ちでプレーし続けるか

そこで、ピアとリンが選手たちと練習したのが「良いショットの後で3回スキップする」「良いスイングの後に、近くの人とハイタッチする」などの練習だった。

翌日、大会が始まった。ここからは『Get Sport』ナビゲーターの中西哲生も参加。中西もかつて番組で「ビジョン54」の理論を学び、自身も実践していた。

中西:「選手達のどこに注目して見ていきますか?」
宮里:「限られた時間のなかで『ビジョン54』をどのように実践するか、見ていきたいと思います」

注目した選手が、高校2年生の橋本美月さん。宮里が一目で認めた豪快なスイングの持ち主で、全国大会2位の実績をもつ。

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橋本さんのプレーをメモリーボックスの目線で観察すると…パットを外した際、悔しい感情を表に出すなど、気持ちを切り替えることができなかった。

「『メモリーボックス』を大切にしようと思ってスタートしましたが、ミスしたときに引きずる場面があって、上手くできなかったです」(橋本)

その他の選手たちも昨日のレッスンをすっかり忘れてしまったのか、ミスの場面で悔しそうなリアクションや、バーディーを奪ってもノーリアクションの選手が多くみられた。

こうして1日目が終了。ここから今大会ならではのレッスン「フィードバック」が始まる。

「近くにいる選手同士で、今日の自分のベストショットを3つ挙げて話し合ってください。最低3つ隣の人に教えてあげて!さあ、どうぞ!」(ピア)

大切なのは、メモリーボックスで脳が記憶した良いプレーを振り返り、更によくするためには、どうすればいいか考えること。試合後だからこそ効果的な座学となり、これがフィードバックレッスン最大の狙いなのだ。

質疑応答では、感情を表に出していた橋本がこんな質問を投げかける。

「シビアなパットを打つ前に『外しそうだな』とか考えちゃうんですけど、得意ではないプレーをするときにどういう気持ちでアドレスに立ったらいいですか?」(橋本)

まだ起きていないことにエネルギーを向けるよりも、今出来ることに集中したり、エネルギーを使った方がポジティブなパワーになります。『自分がこの瞬間何が出来るかな?』という所に気付いて、戻ってくることが大事なので、それを意識して出来るといいかもしれないですね」(宮里)

果たして、橋本さんはメモリーボックスを意識し、プレーで気持ちを切り替えられるのか?

迎えた大会最終日。宮里が見守る前で、橋本さんのバーディートライ…。しかし、これを外してしまい、昨日と同じ悔しい表情を見せていた。

「本人が無意識にやっている部分があると思うんですけど、この映像を彼女が後で見て『あれ?自分が思ったよりも悔しがっている』という風に感じてくれたら良いですね」(宮里)

橋本さんはこの日もミスを引きずり、最後までメモリーボックスでの切り替えができなかった。

「私は『メモリーボックス』がしっかり出来てないことが多いので、『そこをもっと伸ばせていけたらいいよ』と言われたので、これからもそこを意識して頑張って行きたいです」(橋本)

一方、他の選手たちは初日と比べ笑顔を見せるなど、メモリーボックスによる変化が確実にあらわれていた。

大会を終えた宮里は、中西のインタビューに次のように答えた。

©Get Sports

中西:「今、終わってみてどうですか?」
宮里:「率直にやって良かったなと思います。ジュニアの選手の顔やプレーを実際に見て、自分も思うこともありましたし、化学反応をこの3日間でたくさん感じました。キラキラしている年齢の彼女達に『すごく良かったです』とか、『楽しかったです」と言ってもらったことが、本当に達成感を味わえる瞬間でした」
中西:「子どもの可能性については、いかがですか?」
宮里「尋常じゃないぐらい可能性があります。ゴルフは勿論そうですけど、人間としてそれぞれの人生を充実させてもらいたいというか、一つ一つの出会いを大事にしてもらいながら、ゴルフを通じて自分の人生を充実させてほしいなと思います

それから4か月後、メモリーボックスを課題としていた橋本さんに番組スタッフが改めて会いに行ってみると、大会後から書いているという「ゴルフノート」を見せてくれた。

「以前まではプレーに不安があって、自分でプレッシャーをかけたりしていたんですけど、ノートをつけてからポジティブに捉えられるようになりました。悪い場面からでも『まだパーが狙える』とか、『チップインが狙える』とか。今までよりも『プロになりたいな』という思いが自分のなかで強くなりました」(橋本)

メンタル面で大きな成長を遂げていたようだ。宮里藍の想いは、これからも伝わっていく…。

番組情報:『Get Sports

毎週日曜日夜25時30分より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)

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