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つみきみほ、女優業を一度退いた理由は「呪縛を解くため」 復帰は“ママ友”がきっかけに

©テレビ朝日

25歳のときに結婚、2人の子どもにも恵まれて10年ほど女優業を休業し、家事や子育てに専念していたつみきさん。子どもが20歳になったのを機に東京で一人暮らしを始め、女優業を本格的に再開。昨年離婚し、現在は女優業だけでなく、ボランティア活動などに参加したりして、福祉の勉強にも取り組んでいる。

©テレビ朝日

◆女優復帰のきっかけはママ友?

-女優業から退いていた間、仕事に対する思いは?-

「私にとって『つみきみほ』という名前でお仕事をさせていただけることがすごく大切で誇りだったので、結婚生活とか子育てをしながら女優を続けることで中途半端になってしまうことがすごく嫌でした。

その当時の事務所のスタッフは、『そんなに突き詰めて考えなくていいですよ。もっと楽に考えて。何かあったら声をかけるから、そのときに考えて、やれるならば、やってくれればいいですよ』と言われたのですが、自分ではそんな風に思えなくて。

強迫観念的に『つみきみほのためにもっと頑張らなくちゃいけない』と考えていたので、その呪縛(じゅばく)を解くには、『女優を辞める』という選択肢しか自分では思いつきませんでした」

-その時点では子育てを卒業したら女優業に復帰するということは?-

「全く考えていませんでした。それくらいがんじがらめになっていました」

-それが、またお仕事をしようと思うようになったきっかけは?-

「読み聞かせとか、朗読するのは大好きだったので、子どもの小学校で、ボランティアでやっていました。

それを見たクラシック音楽に造詣(ぞうけい)の深いお母さんたちが、『子ども向けに音楽会をやっていて、朗読コーナーもあるので、やってみます?』と声をかけて下さいました。

その音楽会で朗読をしたことが大きなきっかけになりました。

『つみきみほ』をやれなくても、朗読したり表現することは好きだし、自分の好きなことや経験を生かせるようなやり方で活動できたらいいなと思い始めました。

その後、昔からずっと応援して下さっていたプロデューサーに声のお仕事をさせていただいて、再スタートしました。

『つみきみほ』ではなく、本名でやらせていただいていましたが、それにも限界を感じて、前の事務所の社長に紹介していただいて今の事務所に入りました」

-ここのところ、すごく良いペースでお仕事をされていますね-

「はい、感謝しています。本当に楽しく仕事をさせていただいています。デビューしてからたくさんの方々によくしていただいてきたので、残りの人生かけてお返ししたいなあと思って、頑張っています」

-つみきさんは独特の存在感がありましたし、ブランクがあっても、また一緒に仕事をしたいと思っている方も多いのでは?-

「ありがとうございます。そうだとうれしいです。先日やらせていただいたお仕事で、昔一緒だったというスタッフさんがいらっしゃいました。

本当に懐かしく、昔を知っていらっしゃるということで、すごく心強かったですし、楽しくお仕事をさせていただきました。

昭和って、ものすごいエネルギーもあったじゃないですか。その時代を知っている者として、その頃のエネルギーを今に伝えるようなお芝居ができたらとか、このエネルギーを何かプラスに還元したいみたいな思いはすごくあります。そうやってお世話になった方とまた何か一緒にできたら良いなと思っています」

2014年には「乃木坂46」の『あの日 僕は咄嗟に嘘をついた』(10枚目のシングル)のMVに出演。映画『櫻の園』(1990年)にオマージュを捧げたMVにつみきさんは教師役で出演した。

「映画では生徒役を演じていた私が教師役ですからね。月日の流れを感じました」

©テレビ朝日

◆26年ぶりに主演した映画で自身と重なる役を熱演

2017年には映画『話す犬を、放す』で26年ぶりに主演を果たしたつみきさん。この映画は、メガホンをとった熊谷まどか監督が自らの体験をベースに、認知症を発症した母親を支える女優の姿を描いたもの。つみきさんは主人公の女優を演じた。

※映画『話す犬を、放す』
売れない女優レイコ(つみきみほ)のもとに、かつての仲間で人気俳優となった三田(眞島秀和)から映画出演の話が舞い込む。しかし、撮影が始まって間もなく、母・ユキエ(田島令子)がレビー小体型認知症を発症してしまう…。

-最初にオファーが来たときはどう思われました?-

「主演というプレッシャーももちろんありましたけど、自分と重なる役だなと思いました。5年ほど前に1年ちょっとですが、ヘルパーのお仕事をさせていただき福祉の勉強も始めました。

介護のお仕事に携わらせていただいたこととレイコの状況が自分の気持ちとマッチしすぎていて、『私のためにこの本が書かれたんじゃないか?』と思ってしまうくらいでした。ごめんなさい。ずうずうしくて(笑)。

私のために、と思ってしまったので、『ぜひ、やらせて下さい!』とオファーを受けました。

私の鼻息が荒すぎて、熊谷(まどか)監督が戸惑われたと思いますが(笑)、クランクアップ時に犬のプリントのかわいいハンカチをいただきました」

-福祉のお勉強と介護ヘルパーのお仕事を始めるきっかけは?-

「子どもたちが大きくなって時間ができたので、何かできないかなぁと思ったときに、自分自身も少し体調を崩したことも手伝って、精神的なことや福祉の仕事に興味を持ちました。

妹が介護の仕事を何十年もやっているのも大きいですね」

-介護ヘルパーの仕事は大変だと思いますが?-

「大変です。賃金が安すぎるなど、雇用条件の是正の必要も感じますが、高齢者の方と接すること、話をすることは楽しいです。知らないことをたくさん教えていただけますしね。

その後、介護職員初任者研修という資格を取って、実際にヘルパーをやってみると、これは専門的な勉強をしないとできないなと勉強を始めました。そうしたら、どんどんのめり込んでしまって」

-今も勉強は続けられているのですか-

「はい。来年また別の福祉の資格を取るために勉強しています」

-すごいですね昨年は『みとりし』という映画にも出演されていました-

「はい。全部つながっているなあと思いました。『みとりし』は、旅立つ人が希望する形の温かい死を迎えることができるように、旅立つ人の心に寄り添いながら見届ける『看取り士』を描いた作品でしたし」

-安心して死ねると言ったら何ですが、心強い存在ですよね-

「そうですね。人として安心してちゃんと死ねるんじゃないかと思いました。

あの映画に出るまで看取り士という存在を知らなかったのが不思議なくらい。色々と勉強しなくてはならないことがあるなあと思いました」

©テレビ朝日

◆YouTuber(ユーチューバー)の監督と?

2020年1月は、映画『明日、キミのいない世界で』と映画『花と雨』が公開に。

-昭和から平成、そして令和へと代わり、撮影現場の雰囲気やスタイルも変わった部分もあると思いますが-

「今月公開になった映画『明日、キミのいない世界で』はYouTubeのクリエイターが監督されたんです。

最初に聞いたときには『ユーチューバーの方が監督ってどういうこと?』って思って。全く知らない世界なので。

普段ネットの世界で活動している人たちが映画を作るということが想像つかなかったんですが、『何でもやってみよう。ダメだったらダメって言われるだろう』と現場に行ったのですが、全然普通でした。

むしろ昔の撮影現場みたいに怒鳴り合ったりとかしない分、現場の雰囲気がすごく温くて、心地良く、新鮮でした。

私の役は、夫に先立たれ、家業の酒屋を営みながら、2人の子どもを育てる母親役です。

息子が思春期の高校生で、恋愛感情とか、いろんなことを抱えながら成長していく様を描いた作品。

『こんなに心地よくていいのかな』、『こんなに楽しくていいのかな』と不安になるくらいすてきな現場でした」

-台本なども通常の映画の台本と同じような感じなのですか-

「はい。全く同じです。現場に柔軟性がありました。娘役の子が監督に話をしたことが面白かったので、監督がすぐにその場で取り入れたり、臨機応変に変えながら撮影していきました」

-ユーチューバーの方が映画製作というのは新鮮ですね-

「お盆になると亡くなった人が帰って来る、亡くなった人は、四十九日後にあの世に旅立って行くという言い伝えのことを考えたときに、この映画のお話が生まれたそうです。

四十九日という発想からこんなすてきなお話を作ることができるなんてすごいなあと思いました」

-そしてもう1本、映画『花と雨』も公開中ですね-

「はい。この作品はSEEDAさんの『花と雨』という曲をもとに作られた作品で、これも母親役をやっています。帰国子女で日本の生活になじめない思春期の高校生の息子と社会人になったばかりの娘の母親役。SEEDAさんの自伝的エピソードも交えながら、ひとりの青年の成長物語を描いています」

-ラップは普段聞かれます?-

「いえ、でも、ラップはもう若い人の文化になっていますよね。近所のお友だちのダンナさんが、SEEDAさんが大好きで、『花と雨』は名作なんだよ。知っていて出たの?』と驚いていました(笑)」

-今後はどのように?-

「これからも映画にも出演させていただきたいと思います。舞台もよく見に行くので、舞台のお仕事も面白そうだなあって思いますし、ワークショップにも参加したいと思っています。

福祉の勉強もしたいですし、やりたいことがいっぱいあります。

若い頃は、何も考えないで突っ走っていましたが、意識を向ける方向が広いので、少し立ち止まって考えることを大事にしながらやっていきたいと思っています」

気分転換は自転車で江戸川の土手を突っ走ることだとか。何事にも全力投球。バイタリティーに溢れ、元気いっぱいですがすがしい。(津島令子)

(C)「明日キミ」製作委員会

※映画『明日、キミのいない世界で』公開中 
配給:イオンエンターテインメント
監督:HiROKi 出演:そらちぃ 三戸なつめ てつや 小林万里子 山崎把子 つみきみほ
人気YouTuberたちが監督や主演を務めて製作した長編映画。田舎町に暮らす高校3年生のひと夏を描いた青春物語。

(C)2019「花と雨」製作委員会

※映画『花と雨』公開中
配給:ファントム・フィルム
監督:土屋貴史 出演:笠松将 大西礼芳 岡本智礼 つみきみほ 松尾貴史 高岡蒼佑
ヒップホップアーティストのSEEDAのアルバム『花と雨』を原案に、SEEDAの自伝的エピソードを交えて主人公の青年の成長を描く。

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