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『クレしん』声優に挑戦!俳優・鈴木拡樹、「しんちゃんは反面教師」だった子ども時代

1月18日(土)放送の『クレヨンしんちゃん』には、俳優の鈴木拡樹がゲスト声優として登場する。

鈴木といえば、漫画やアニメ、ゲームなどを原作とした“2.5次元ミュージカル”に数多く出演する人気俳優。甘いマスクはもちろん、役に“憑依する”と言われるほどの確かな演技力や、舞台で培った美声が魅力であり、多くの女性たちから圧倒的支持を受けている。

©テレビ朝日

今回、そんな鈴木が声優を務めたのは、しんのすけが通う「ふたば幼稚園」のまつざか先生の恋模様を描く「走る戦闘員だゾ」というエピソード。まつざか先生に思いを寄せられる駆け出しのアクション俳優・掛田シンゴという役で、シリーズ初出演を果たす

そこで『テレ朝POST』では、同作のアフレコに密着するとともに、特別インタビューを実施。国民的人気アニメ出演に懸ける思い、役作りに対するこだわりなどについて聞いてみた。

◆“大人のお姉さん”まつざか先生の恋のお相手は「不思議な気持ち」

――まずは、『クレヨンしんちゃん』に出演が決まった時の気持ちを教えてください。
うれしかったのと不思議な気持ちでしたね。子どものころから見ていた作品ですし。特に、まつざか先生と自分が関わることができて、しかも恋愛エピソードネタで出られるというのが本当に不思議で…。

自分が見ていた当時、まつざか先生って“大人のお姉さん”だったんですよ。だから不思議に思うのと同時に、自分も『クレヨンしんちゃん』の歴史と同じように年を重ねてきたんだなと思いました。

©テレビ朝日

――ハリウッドでの活躍を夢見るアクション俳優という役どころですが…
僕自身声の仕事は経験が少なくて、駆け出しの状態なんです。まさに掛田シンゴと同じ心境なので(笑)。何かを目指して走り続けているという姿に、逆に勇気をもらいました。

――役作りにおいて気を付けたことやこだわったことなどはありますか?
どういう人なのかを理解して肯定してあげることが大事だなと常に思っています。どんなに理解不能なキャラクターでも、自分だけは肯定しないと役として成立しませんから。

あと、今回の掛田君はフレッシュさがとても大事だと思ったので、デビュー作の頃を思い返してみたりしました。

――事前に家で練習したり、準備されたりしましたか?
やりますね。事前に練習していないとどうしても無理なタイプではあります。準備した状態でいれば、会話の中でこういう展開だからこうしゃべれるかな…と“トライ”ができます。トライするためには下準備が必要ですね。

ただ、台本にメモ書きとかもするんですけど、たくさん書きすぎて失敗したことがあって。読めない。追いつけないみたいな(笑)。自分だけわかる抽象的な言葉でもいいのかなと思ったことはあります。

◆アフレコでは「すごい財産をいただいた」

――実際にアフレコされたご感想は?
実は撮る前に、別のエピソードの収録を近い距離で見させていただいたんです。息遣いも含めどういう風にやっているのか改めて見られて、もうすごい勉強になりました。すごい財産をいただいたと思います。

でも実際にやってみたら、やはり難しかったですね。以前に(声優の仕事を)やったときに、課題をいっぱい持ち帰ったんです。これとこれとこれをクリアしようみたいな。リアクションの時に声が小さすぎて「それじゃマイクに入らないよ」と言われて、「あ、そうだよな。大きくても自然体ってどういうことなんだろう」と考えながら今日を迎えたんですけど。

――体全体を使って演じる俳優と声だけで表現する声優は、違いがありましたか?
非常に難しかったです。今回は走るシーンがあったんですけど、声だけで走っている演技をするのが難しくて。体を揺らしてみたりするぐらいしかできなかったので、体を動かさなくても同じテンションや呼吸で声を出す技術が必要だなと改めて感じました。

今回はどうせ体が動いてしまうと思っていたので、できるだけ音の鳴らない衣装で来ました。今はそれくらいしかできなかったですね。

――俳優と声優、それぞれどんなところが楽しいと感じますか?
僕は何をやっていても“知る”ことが楽しいです。ひとつひとつの技術を教えていただいて吸収するのはもちろん、“見て盗む”というのも大好きなので、自分にとって何がベストなのかを考える時間が楽しいです。

声優さんによっては台本の持ち方や開き方もひとつひとつ違いますし、それを見ながら「自分にはどれが合うのかな」ということを考えている瞬間は、挑戦し甲斐がありますし楽しい瞬間でもありますね。

◆おとなしかった子ども時代。「しんちゃんは反面教師だった」

――1992年4月スタートの『クレヨンしんちゃん』ですが、ご覧になったことはありますか?
もちろん見ていました。ターゲットど真ん中ですので。しんちゃんの言動は「教育に悪い」と言われがちでしたけど、逆にやっていいこととやってはいけないことを教えてくれた気がします。ある意味教育コンテンツみたいな(笑)。しんちゃんを反面教師にしていた部分はあります。

あと、見た目とかはそんなイメージないんですけど、しんちゃんって生きざまが“ロック”な感じなのも好きですね。

©テレビ朝日

――大人を振り回してばかりのしんちゃんと比べて、鈴木さんは5歳のころ、どんな男の子でしたか?
しんちゃんを反面教師にしていたところがあるので、怒られるようなことはしないように心掛けていた5歳児でした。当時は男友達が少なくて姉の友達と遊んでいたんですけど、学校で『クレヨンしんちゃん』の話をしたりして男友達が増えたと思います。共通の話題があまりなかったので、アニメに助けられた部分は大きかったですね。

――ご自身としんちゃんとの共通点はありますか
結構だらけるのが好きなのは一緒です。休みの日こそ全力でだらけてやるっていう。目覚ましをかけずに寝ますし、起きてからその日やることを考えます。冬は特にダメですね。暖房付けたりすると、起きられない(笑)。

◆順風満帆な俳優人生だが、デビュー後は後悔も…

――“アクション俳優の卵”という役を演じられましたが、ご自身は“俳優の卵”の時に努力されたことなどはありますか?
当時は何をやっていいかわからなかったんです。何もしてない状態でひとつめの仕事が決まってしまったので。仕事が決まったことは幸運だった反面、不運でもありました。

やっぱりだいぶ苦労しましたし、「ここから色々と知っていかないとやっていけないんだ」ということがわかりました。ありがたい瞬間でもありましたし、自分にとって大きな後悔の瞬間でもあります。

――後悔されたんですか?
後悔したこともありました。このまま続けても厳しいなとすぐに感じたので、自分がやる意味を見つけなきゃなと…。

そう思っていたときに、たまたまテレビ番組を見てくれた小学生の女の子から手紙をもらったんです。手紙には番組の感想とエピソードが添えられて、最後に「頑張ってください」と書かれていました。この「頑張ってください」に答えるにはどうしたらいいんだろうと思ったのが、僕の原点ですね。

未だに「どんな気持ちにさせるものを届けたらいいのか」は常に考えています。もちろん初めは「役者をやりたい」と思って始めた世界ではあるんですけど、本気にさせてくれたというか、役者をやる意味を教えてくれたのはその「頑張ってください」という言葉でした。

ファンからもらった言葉を糧に、人気俳優へ駆け上がった鈴木。今回演じた掛田シンゴという役にもシンパシーを感じながら演じたようで、アフレコでも積極的に学び取ろうとする姿が印象的だった。

そしてインタビューの最後には、就職や結婚で『クレヨンしんちゃん』を見る機会から遠ざかってしまった同世代へ「ぜひ見てもらいたい」とメッセージ。声優という新たなフィールドへ駆け上がっていく人気俳優がどんな演技を見せてくれるのか、楽しみにしたい。

©テレビ朝日

番組情報:『クレヨンしんちゃん』「走る戦闘員だゾ」
2020年1月18日(土)午後4時30分~5時00分、テレビ朝日系24局