清野菜名、八千草薫さんの形見に感激の涙。『やすらぎの刻~道』涙のクランクアップ迎える
巨匠・倉本聰氏が脚本家人生で初めて通年放送という長丁場に挑んでいる、テレビ朝日開局60周年記念 帯ドラマ劇場『やすらぎの刻~道』。
今年4月にスタートして以来、脚本家・菊村栄(石坂浩二)ら“テレビ人”たちが入居する老人ホーム『やすらぎの郷』の人間模様、そして、根来しの(清野菜名/風吹ジュン)・公平(風間俊介/橋爪功)夫妻の一代記を綴る『道』――という2つの世界が絶妙なバランスで描かれて本作。
現在、『道』パートは“平成編”に突入し、しの・公平の老夫婦と子世代、孫世代を交えた“家族の物語”が紡がれている。
そんな『道』パートの“昭和編”でヒロイン・しのを演じきった清野菜名が、このほどクランクアップ。
スタッフから熱い思いのこもった感謝状が授与されたほか、今年10月に惜しまれつつ世を去った大女優・八千草薫さんの形見を贈られるというサプライズを受け、感激の涙を浮かべた。
◆シリーズで計4役!力強く駆け抜けた清野菜名
本作で激動の昭和を生き抜くヒロイン・しのを熱演した清野菜名。まだオンエアでは登場していないが、“平成編”ではしのの孫娘・しのぶ役にも挑んでる。
また清野は、一昨年放送した『やすらぎの郷』(2017年4月~9月)で主人公・菊村栄がかつて恋した女優・安西直美と、その孫で栄を翻弄する女子大生・榊原アザミの2役を演じており、“やすらぎシリーズ”では計4役に取り組んだことになる。
クランクアップ当日の撮影は、橋爪功演じる公平の夢の中に若かりし頃のしのが出現する、という幻想的なシーン。久々に愛着あるしの役に戻っての撮影が、清野にとってシリーズ最後の現場となった。
監督から「OK!」が出たところで、スタッフが「以上をもちまして清野菜名さん、オールアップです!」と声を張り上げ、セレモニーがスタート。
監督から大きな花束が贈られたほか、橋爪からは物語の舞台にちなんで山梨・勝沼産のワインが贈呈され清野は大感激。
また番組プロデューサーからは、「1年間に及ぶ過酷な撮影を、主演として見事に務めあげました」とのメッセージが綴られたパネル入りの感謝状も贈られ、照れた表情で受け取っていた。
◆八千草薫さんの“形見”に涙がこみ上げ…
その直後、さらに大きなサプライズが。
八千草さん愛用の和服が“形見分け”として清野に贈られることとなり、約40年にわたって八千草さんのマネージャーを務めた原田純一氏がスタジオに登場。
激励とともに手渡されると、それまで満面の笑みを浮かべていた清野の目には、みるみるうちに涙があふれる。
贈られたのは、八千草さんが舞台や時代劇の稽古のときによく着用していたという、白地に赤・紫・緑の絣模様が配された可憐な印象の着物。これからもさまざまな作品で活躍していくであろう清野を思い、ぜひこれを着て稽古に臨んでほしいと、原田氏が数ある遺品の中から選んだものだ。
大先輩の形見を受け取った清野は涙で瞳を潤ませながら、「もう…この気持ちは言葉で表せないです。うれしいという言葉で終わらせていいのかわからないぐらい…本当に本当に光栄です」と、天国の八千草さんに感謝。
最後は、まだまだ撮影が続くスタッフに向け、「これからも体に気をつけて作品を完走してください!」と挨拶し、セレモニーを締めくくった。
なお、清野演じる孫娘・しのぶが“平成編”に登場するのは、12月16日(月)の第37週、・第180話からとなっている。
◆清野菜名(根来しの、しのぶ役)コメント
――ついにクランクアップを迎えた、今のお気持ちを教えてください。
撮影がはじまる前、“今から1年間か…”と思ったのに、やっぱり“終わり”って来ちゃうものなんだな、と思いました。この1年間、ほぼ毎日スタッフのみなさんと会っていたので寂しくなるなぁと思う反面、演じきることができて、うれしい気持ちもあります。“感謝状”にはビックリしましたが、ものすごくうれしかったですね! 改めて、“愛のある現場”だったなと実感しました。
――しの、しのぶの2役に挑みましたが、それぞれ演じる上で大切にしたことは?
しの役は特に“こう演じよう”とは意識せず、時代背景を追っていくうちに徐々に人物像が作り上げられた感じでした。その後、“平成編”で孫のしのぶを演じたことで、“しのって強い女性だったんだな”と改めて実感しましたし、しのを演じたことで私自身が少しやさしくなれた気がしています。
孫娘のしのぶはとてもピュアで、人の気持ちをよく理解できる女の子だなと思いますが、15歳から演じたので、むずかゆくなるようなセリフもあって…ちょっぴり恥ずかしかったです(笑)。“昭和編”と“平成編”では人々の生き方がまったく違うので、平成らしいしのぶの姿を見て、その差を楽しんでもらえたらと思います。
(『やすらぎの郷』を含めると計4役を演じましたが)…そうですね。…もう“怖いものはないな!”って感じです(笑)。
――清野さんが感じる、倉本作品のすごさとは?
倉本先生の脚本は、呼吸の音や空気の匂いが体感できるほどにリアルさを追及されているので、キャラクターとしてちゃんと“生きた”というか、あの世界の中に“確かに存在した”という実感が強くありました。それは今までにない不思議な感覚でしたね。
倉本先生にお会いしてから演じること自体が楽しくなったし、役柄を追求する方法を教えていただいたので、自分でも枝葉にいたるまでキャラクターについて考えるようになり、この“やすらぎシリーズ”は自分の役者人生にとってとても大きな時間になりました。
――しの役を受け継いだ風吹ジュンさんと、孫娘・しのぶとして共演した感想は?
私が演じていたしのという役柄を風吹さんが続けてくださっていることが、ずっと不思議な感じでした。風吹さんは昭和パートのしのをとてもよく見てくださって…しのを介して風吹さんとつながれたことをとても幸せに思っています。
また、風吹さんはセリフがないところでも、しのぶの“おばあちゃん”として存在してくださり、相槌ひとつがとても自然で、いつのまにか私を世界の中に引き込んでいってくれるような感覚を覚えました。
――八千草さんの形見の着物を贈られましたが、お気持ちは?
もう…この気持ちは言葉で表せないです。うれしいという言葉で終わらせていいのかわからないぐらい…本当に本当に光栄です。お稽古用の着物をいただいたので、このお着物をふんだんに使えるよう、素晴らしい作品にたくさん携われるよう、頑張りたいと思いました。
実は、今年2月に行われた八千草さんの最後の撮影を見学させていただいたのですが、カッコイイ姿を見せてくださって本当に感謝しています。私も「頑張りました!」って胸を張って、今回のクランクアップを天国の八千草さんにご報告したい。そして、八千草さんのように人に対して温かい、素敵な女優になれたらいいなと思います。いえ、絶対になります!
※番組情報:テレビ朝日開局60周年記念 帯ドラマ劇場『やすらぎの刻~道』
毎週月~金・ひる12:30~12:50、テレビ朝日系24局
(BS朝日では、毎週月~金・あさ7:40~8:00)