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高校バスケの“にわかファン”にならざるを得ない!王国・福岡の頂上決戦が熱すぎた

11月6日に発表された「2019ユーキャン新語・流行語大賞」のノミネート30語。目立ったのは、今年9月より行われたラグビーワールドカップに関連したワードだ。

「ジャッカル」「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」「笑わない男」「ONE TEAM(ワンチーム)」などの言葉が並ぶなか、今大会での日本代表の活躍によって一気に国民的な人気を得たラグビーという競技を象徴する一語が、「にわかファン」である。

これまでは、流行に乗って一時的に何か大きな現象に乗っかる人たちを揶揄する性格が強かったこの「にわかファン」という言葉。

しかし、“にわか”でも興味を持ち応援する人たちを歓迎するラグビー界の温かい風潮もあり、にわかファンであることはスポーツ観戦における1つのスタンスとして急速に認められたように思える。

そしてまた、にわかファンという存在を認めざるを得ない、否定しがたいシンプルな事実がある。それは、たとえその競技をほとんど知らなかったとしても、人はスポーツの熱き戦いを目にすれば、“にわか”でもファンとなり応援せずにはいられない、ということだ。

◆“バスケ王国”福岡

「福岡の“高校バスケ”がすごい」――。それを知ったのは、ラグビーワールドカップで日本代表が連勝し日本中が“ラグビーフィーバー”に沸いていた10月半ばのこと。

今年夏のインターハイは福岡第一高等学校(以下、福岡第一)が制し、同校は2018年冬のウインターカップでも優勝。また2016年には、夏と冬の2冠を果たしている。さらに、2017年には福岡大学附属大濠高等学校(以下、福大大濠)もインターハイで優勝。

福岡には、高校野球における大阪のように、全国制覇する強豪校がひしめいているのだ。

11月2日、そんな福岡第一と福大大濠というライバル同士が「ウインターカップ2019」予選の福岡大会決勝で対戦すると聞き、“バスケ王国”福岡の熱を体感すべく、会場のアクシオン福岡まで足を運んでみた。

◆完全満席!奥まで立ち見客でいっぱい

現在34歳である記者がこれまで“バスケットボール”というスポーツに触れた機会といえば、「学生時代に体育の授業で何度かプレーした」という経験と、「少年時代に漫画『SLAM DUNK』に熱中した」という“ベタ”な通過儀礼のみ。

バスケの試合を生で観ること自体が初めてであり、ルールも「ボールを持った状態で3歩以上歩くと“トラベリング”という反則をとられる」こと以外はあまり分からない。

ラグビーワールドカップで、多くの人が「ボールを前に投げてはいけない」ということ以外にはルールをあまり知らなかったのと同じ状態といえるかもしれない。

「そんな状態で試合観戦を楽しめるのか…」と少し不安になりながら会場を訪れた記者だったが、入ってみて驚いた。

席数2000と発表されている会場が満席であるばかりでなく、奥の奥まで立ち見客でいっぱい。足を踏み入れた瞬間、サッカーなどのスポーツ観戦ではこれまで感じたことのない、室内競技ならではの独特の熱気に圧倒された。

そして、さすがは“王国”。少年から学生、若者から目の肥えたスポーツファンまで、客席を一見しただけでその層の幅広さが分かり、高校バスケへの県内の注目度の高さがうかがえる。

これからどんな戦いが始まるのか。期待は高まるばかりだ。

試合前の練習のためコートに入る福岡第一の選手たち

◆驚異的なスピードと、“スーパースター”

試合が始まって数分。すぐに“にわか”ファンとして目覚めてしまった。

福岡第一46番は、テクニック豊かな小川麻人選手

まず驚いたのが、スピードだ。

とくに、福岡第一のオフェンスのスピードは素人目に見ても驚異的。カメラマン曰く、ディフェンスからオフェンスに切り替わり、「さぁこっちに来る」とカメラを構えた瞬間には「もう目の前にいる」と感じるほどの速さだったそうだ。

そのスピードを担っている中心選手が、福岡第一のポイントガード、河村勇輝選手(3年)。まるで“忍者”のようにドリブルしながらコートを駆けまわる圧倒的スピードと、172cmと小柄ながら内と外どこからでも決められる凄まじい得点力。

この試合でも最多得点を記録していた河村選手だが、その活躍と醸し出されるオーラに“スーパースター”という言葉を想起せずにはいられなかった。

福岡第一の河村勇輝選手

また、試合前に不安に感じていたルールに関しても、会場には選手紹介からルール解説、そして場面場面での盛り上げまでをも担当するMCがおり、そのおかげで試合展開に置いていかれるようなことは全くなかった。

“一見さん”でも楽しめるよう演出する「ウインターカップ」という大会のホスピタリティにも深く感心させられる。

◆1プレーで変わる“空気”

試合展開で圧巻だったのは、最終第4クォーター。

数え切れないほどぶつかり合うなかで隆起していく選手たちの筋肉を見ていて、いよいよ高校生スポーツであることすら忘れていた残り約2分。67‐52のスコアで福岡第一がリードしていたなか、福大大濠が連続で3ポイントシュートを決め、9点差まで追いついた。

この展開に、会場はこの日一番の大歓声。一気に福大大濠の猛追・逆転を期待する空気となったが、その刹那、コンゴ民主共和国からの留学生である身長203cmのクベマジョセフ・スティーブ選手がこの日初めてのダンクシュートを決める。

この強烈な一撃により、傾きかけた会場の雰囲気はまたも福岡第一ムードへ。

スティーブ選手はこのほかにも、連続ブロックなど会場をどよめかす圧巻のパワーあふれるプレーを見せることで空気を自軍に引き寄せており、たった1プレーで展開だけでなく空気までもが“目に見える”ほど変わってしまうバスケットボールの魅力を見事に体現していた。

決勝戦、最終的には69‐60で福岡第一の勝利。追い上げた福大大濠だが、序盤についた点差が埋まり切らない結果となった。

◆12月23日より本戦「ウインターカップ2019」開幕!

12月23日より行われる「SoftBank ウインターカップ2019」には、福岡第一と福大大濠の両校とも出場する。(※福岡からの出場枠は3校。県予選で3位となった祐誠高校も出場)

どちらもウインターカップ2019の優勝候補である両校の対戦を本拠地・福岡で見られたのは、初めてのバスケ観戦体験としてあまりにも“贅沢”だったかもしれない。そう思えるほど、スピード、パワー、テクニック、そして会場の熱気……あらゆる面で魅了されてしまった。

12月に行われる本戦も、“にわか”ファンとして会場に足を運び、高校生たちの熱い戦いを目にしたい。<取材:テレ朝POST編集部>

※関連番組情報:「熱冬~高校バスケSoftBankウインターカップ2019~
毎週土曜日 午前9:55~10:00(全9回)、テレビ朝日