アリーナ・ザギトワ、女王の意地を見せつけられるか。4回転時代に“完成度”で勝負<フランス大会展望>
GPシリーズ開幕から2戦続いて4回転旋風が吹き荒れた女子だが、11月1日(金)からの「フランス大会」では、その強風もひと休みしそうな状況だ。
今回は新旧の、完成されたプログラム合戦に注目が集まる。
◆ザギトワ、SP自己最高なら240点台の可能性も
その主役のひとりとなるのは、2018年「平昌五輪」と19年「世界選手権」女王のアリーナ・ザギトワ(ロシア)だ。
今季は、「チャレンジャーシリーズ」には出場せず、「フランス大会」がシーズン初戦となる。
FSのみで競った「ジャパンオープン」では4回転4本に挑んだアレクサンドラ・トゥルソワ(ロシア)には敗れたが、各要素でもしっかり GOE(出来栄え点)をもらうノーミスの滑りをし、154・51点を獲得している。
昨季はシーズン初戦の「ネーベルホルン杯」で238.43点を出していたように、しっかり準備をして臨めば爆発的な力を発揮してくる選手だ。
今季は同門の後輩たちの力をよく分かっているだけに、初戦から結果を出してきたいと、じっくり構えているのだろう。そのうえで、SPで自己最高の82点台に迫れば、「カナダ大会」のトゥルソワにも迫る240点台も可能になる。
◆完成度の高い滑りが武器のコストルナヤ
そんなザギトワに挑むのは、昨季の「ジュニアGPファイナル」優勝のアリョーナ・コストルナヤ(ロシア)だ。
「ジュニアGPファイナル」では3回転ジャンプのみの構成で、4回転を武器にする世界ジュニア女王のトゥルソワを破って金メダルと、完成度の高い滑りを武器にしていた。
それに加えて今季は、他のチームメイトが4回転に集中する中、トリプルアクセルを身に付けて結果を出している。
シーズン初戦となった「フィンランディア杯」では、SPは冒頭のジャンプを2回転アクセルにする、まだ発展途上の構成のプログラムながら、高いGOEをもらう完成度の高いノーミスの演技で77・25点を獲得と、その才能の片鱗を見せた。
そしてFSでは、冒頭のトリプルアクセル+2回転トゥループをGOE 2・67点できれいに決めた。
次の単発のトリプルアクセルは回転不足になるミスとなったが、それ以降の要素はSPと同じように完璧に滑り切り、4回転がない構成ではザギトワの最高点に0・91点だけ及ばないだけの157・59点を獲得。世界歴代3位の合計234・84点で優勝した。
その時の演技構成点も71・68点と、「ジャパンオープン」のザギトワに2・65点及ばないだけ。シニア1戦目の選手としては、これまでにない評価を受けている。
このふたりの争いは、SPでザギトワがどれだけ差を付けるかで大きく変わるだろう。その点では最初から目を離せない“美の対決”となりそうだ。
◆坂本、攻めの滑りでSP上位発進に期待
そんなふたりに挑戦する日本勢は、坂本花織と樋口新葉、白岩優奈。中でも期待がかかるのは、GPシリーズ初戦「アメリカ大会」で4位だった坂本だ。
FSでは前半のジャンプが2回転になり、ルッツのロングエッジなどとミスが重なり、SP2位から順位を落としてしまう結果となった。
だが、そんな滑りの中でも後半はしっかり立て直し、僅かなミスもリカバリーする勝負強さを見せていた。
まだジャンプに不安を持っているというが、中1週間でどこまで立て直しているか。SPから攻めの滑りを見せて上位で発進すれば、同門同士の対決で緊張もしているだろうザギトワとコストナルヤの争いにも割り込んでいける可能性もある。
「GPファイナル」進出への可能性を残すためにも、悪くても2位以上には食い込んでおきたい。
樋口は、「アメリカ大会」のSPでは大きなミスもなく坂本に次ぐ3位で発進したが、FSではジャンプのミスが重なり、6位まで順位を落としてしまった。
そのショックを吹き飛ばすような、スピードに乗った攻めの滑りが出来るかどうかに注目したい。
※番組情報:『フィギュアスケートGPシリーズ2019「第3戦・フランス大会」』
11月1日(金)よる11:00~「男子ショート」 テレビ朝日系列にて放送/AbemaTVにて配信
11月2日(土)よる9:30~「女子ショート/男子フリー」 テレビ朝日系列にて放送/AbemaTVにて配信
11月3日(日)あさ4:30~「女子フリー」 テレビ朝日系列にて放送/AbemaTVにて配信