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羽生結弦、鬼門の大会で初Vを狙う。“臨機応変”なジャンプ構成に注目<カナダ大会展望>

GPシリーズ開幕戦の「アメリカ大会」男子シングルスでは、今季初戦だったネイサン・チェン(アメリカ)が、FSでミスを重ねながらも今季最高得点の299・09点で圧勝した。

第2戦「カナダ大会」は、今季2戦目となる羽生結弦がどんな演技を見せてくれるかが最大の見どころになる。

写真:アフロ

実力的に見ればSP、FSともに昨季と同じプログラムで曲の聞き込みや滑り込みも出来ているだけに、羽生が圧勝すべき大会だ。

初戦の「オータムクラシック」SPは「慎重に行き過ぎた」という最初の4回転サルコウが、回転不足と判定されて転倒するミスはあったが、それ以降は完璧な滑りを見せて98・38点を獲得。

サルコウを最初の公式練習で見せていたように跳べれば、「アメリカ大会」でチェンが出していた102・71点を大きく上回る、110点台を出せるまでの状態だ。

また、FSは氷のコンディションの影響もあって4回転ループに狂いが出て、その4回転ループと次の4回転サルコウはともにステップアウトになるミスのスタートとなり、後半にはトウループで回転不足が続くなどして180・67点に止まった。

それでも羽生は、トウループの回転不足に関しては「普通に降りていたと思うし、自分の感覚としても疑問は無いので気にならない」と話した。

さらに「単純に、試合だけという感覚なので…。試合へ向けた段階は良かったとしても、試合の時の準備とか感覚の修正だとか、そういうものがうまくいかなかった試合と思っている。そこはせっかく『GPシリーズ』の前にこうやって見つけられているからこそ、いろいろ修正していきたいと思っています」と話していた。

昨季の段階でもうすでに、2つのプログラムは完成が間近にまで見えていた。さらに、試合までの練習でも、アイスショーの前に起きた左足首捻挫の直りは遅かったが、4週間前からは痛み止めの服用も辞めて追い込めていた状態だった。

昨季とほぼ同じジャンプ構成で挑んだだけに、是が非でもノーミスの演技をしたいという思いが少し過剰になり、力みを生んでいたことも考えられる。それをしっかり確認できたことは重要だった。

◆FSのジャンプ構成に注目

そんな羽生には、「カナダ大会」への強い想いもある。

トロントに拠点を移したあと2013年と2015年、2016年に出場しているが、いずれもパトリック・チャン(カナダ)に敗れていて勝利がない大会だということだ。

そんな鬼門は突破しなければいけないという思いもあるからこそ、最初のSPには集中してくるはず。そこをうまく乗り越えれば、300点超えでの大会初勝利も軽々と手に出来るだろう。

そんな中、FSのジャンプ構成をどうするかというものも注目だ。

本人は4回転4種類5本を現時点での最大限の構成と話しているが、まずは3種類4本でのノーミスを目指すだろう。氷の状態が柔らかくてエッジ系のジャンプに合わない場合は、トウ系のルッツを入れてくる可能性もある。

このように、臨機応変に構成を変える幅の広さも、今季の羽生が目指していることだ。どのジャンプを選んで、どういう構成で来るかも見どころのひとつだ。

◆田中刑事はメダル獲得のチャンス

そんな羽生に続く表彰台争いを見れば、田中刑事のチャンスは大きい。

写真:アフロ

シーズン初戦の「USインターナショナルクラシック」では、SPは4回転トウループで着氷を乱し、同じくミスも出た昨季世界選手権3位のヴィンセント・ジョウ(アメリカ)に0・27点差の2位。

FSでは冒頭の4回転サルコウで着氷を乱し、後半の4回転トウループで転倒するミスをしたが、2本目の4回転サルコウからの連続ジャンプと次のトリプルアクセル+3回転トウループをしっかり決めて161・20点を獲得。合計249・96点で、逆転優勝をしている。

SP、FSともにミスをしての得点だけに、もっと伸ばせる可能性も十分。覚醒に期待したい。

他には「ネペラ・メモリアル」で232・70点を獲得し、ドミトリー・アリエフ(ロシア)に次ぐ2位になっているマテオ・リッツォ(イタリア)も、ループとトウループの4回転をしっかり跳んでくれば表彰台候補になる。<文/折山淑美>

※番組情報:『フィギュアスケートGPシリーズ2019「第2戦・カナダ大会」』
10月26日(土)よる6:56~「男女ショート」 テレビ朝日系列にて放送/AbemaTVにて配信
10月27日(日)よる9:00~「男女フリー」 テレビ朝日系列にて放送/AbemaTVにて配信