過去最多に増加する不登校、その課題解決に挑む。社会で活きる力を学ぶ「ボーダレス」フリースクール開校

過去最多に増加する不登校、その課題解決に挑む。社会で活きる力を学ぶ「ボーダレス」フリースクール開校

10月初めに文部科学省より発表された「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、小中高学校における不登校生徒数は年々増加傾向にあり、前年度比22.1%増の29万9048人となっている。

東京都教育委員会による発表でも、都内の公立小中高校における昨年度の不登校の児童や生徒数は3万843人と過去最多に。

また、世界各国との比較データでは、日本の子どもの精神的幸福度が世界ワーストクラスであり、未来に希望を持てず、自己肯定感が低い若者が多いという問題も浮き彫りになっている。

そんななか、オンラインで新しい学びの場を提供する習い事事業をおこなっているSOZOW株式会社が、11月1日から新たに「ボーダレス」フリースクール「SOZOW SCHOOL 小中等部」を開校することを発表した。

フリースクールとは、教育機会確保法において求められている「義務教育学校以外の学びの選択肢」の一つとして、通常の学校の代わりに通える“学びの場”のことであり、不登校に悩む子どもたちの受け皿となっている。

「お金」「デザイン」「プログラミング」など、子どもの“好き”を育てるオンライン習い事事業をおこなってきたSOZOWが取り組むフリースクールとは、いったいどんな学校なのか。

「プライベートで娘や息子と向き合うなかで、“好き”なことにまっすぐになれる学びの重要性に気づいた」と語るSOZOW代表の小助川将氏が目指すのは、子どもたちの“好き”を活かしながら、社会に存在する「地方と都市」「学校と社会」といった様々な分断(ボーダー)を超え、社会で活きる力を育む「ボーダレス」フリースクールだ。

小学4年生から中学3年生の子どもたち向けの「小中等部」が開校となるが、来春には高等学校卒業資格の取得支援をおこなう「高等部」の開校もすでに決定している。

「SOZOW SCHOOL 小中等部」の注目すべき特徴は、大きく分けて5つある。

1:好きから学びにつながる個別最適なコンテンツ

子どもたちが自分の興味関心に合わせて、自由にカリキュラムを組み立てられることが大きな特徴。“好き”に沿って学びを深め、その“好き”に合わせて用意される約200のチャットスペースでは、子どもたちが全国にいる仲間と出会い、交流を深める。ICT教材を活用し、5教科の学びもそれぞれのペースに合わせて学びをサポートしていく。

2:150名以上の大人や企業と出会えるオンラインキャンパス

仮想空間に広がるキャンパスでは、プロのエンジニアやデザイナーなど、多彩なスキルや経験を持つ総勢150名以上の大人が活動をサポートする。通常の学校生活では出会うことが難しい大人たちから、社会で活きる実践的な学びを得られる。外部の企業とコラボレーションして行うプロジェクトも用意される。

3:仮想コインで実社会を体験できる仕組み

子どもたちが一緒に活動するなかで感謝の気持ちを感じたときに、メッセージと一緒に仮想コインを贈り合える仕組みが用意される。貯まったコインは様々なグッズやAmazonギフトカードなどにも交換が可能。感謝の気持ちの対価としてお金がめぐる経済の仕組みを実際に体験することができる。将来的にはブロックチェーンの技術も活用し、コインを贈り合う輪を広げていく構想だ。

4:子どもの個性がわかるアセスメントシステム

子どもの成長を把握するために、テストや偏差値の代わりに活用されるのが「個性レポート」と呼ばれる一人ひとりのパーソナルデータ。この「個性レポート」は、子どもたちが多様な大人と関わるなかで浮き彫りになった得意なことや強みに加え、メタバース上での活動ログなどを組み合わせて、子どもの個性を可視化する独自の評価システムだ。小中学校の「出席扱い制度」の申請にも活用されている。

5:子どもの状態に合わせて選べる3つのコース

「SOZOW SCHOOL 小中等部」は、プレ開校期間での蓄積をもとに、子どもが自分らしくあるための安心できる居場所づくりを重視している。居場所を基盤に、自信や主体性を培っていくために、開校に当たって以下の3つのコースが用意される。この3つのコースから選択できる仕組みで、子どもの状態やニーズに合わせた適切な環境を作り上げる。

こうした特徴を持つ「SOZOW SCHOOL 小中等部」は、「β版」としてプレ開校していた期間に、すでに485名の子どもたちを集めている。

しかも、SOZOWスクールの受講が小中学校の出席として認定された割合は7割にも及び、この数字は全国のフリースクールの数字を大幅に上回っており、今回の本格開校には大きな期待が寄せられている。

自身も中学2年生から不登校になりフリースクールに通っていた経験を持つ『不登校新聞』編集長の石井しこう氏は、「SOZOW SCHOOL 小中等部」についてこう語る。

「どの地域に住んでいても参加できるオンラインのフリースクールは、学校にとっても子どもたちに提示できる新たな選択肢になり得る。不登校に向き合うための唯一の選択肢は、多様な選択肢の保障。義務教育と同じように経済的な支援も加われば、さらに普及するのではないか」

新サービスのスタートにあたり、SOZOW社が大切にしていること。それは「あえて全体での明確な目標設定をしない」ことだと前出のSOZOW代表・小助川氏は語る。

「一人ひとりの子どもや保護者が、それぞれにあった自由な選択をできるよう、既存の在り方にとらわれない教育を提供したい」

これまでに存在しえなかった新しい時代の“学校”に注目したい。

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