テレビ朝日が“withコロナ時代”に全社を挙げて取り組む初の試み『未来をここからプロジェクト』。
日曜あさの情報番組『サンデーLIVE!!』内で放送中の『TOKYO応援宣言』では、「未来は褒めることから」と題し、褒められて飛躍を遂げたアスリート、褒めることで選手を伸ばしたコーチの逸話など、スポーツにまつわる“褒めエピソード”を紹介している。
11月8日(日)放送の同番組では、フィギュアスケート・宇野昌磨を特集。
スイスを拠点に練習に励む宇野と新コーチ、ステファン・ランビエール氏との絆を紹介した。
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平昌オリンピックで銀メダルを獲得するなど、フィギュアスケート選手として輝かしいキャリアをもつ宇野昌磨。しかし、昨シーズンは競技人生最大のスランプに苦しんでいた。
それは、昨年2019年11月に行われたグランプリシリーズ・フランス大会。
宇野はジャンプで次々と転倒し、結果は8位。シニア転向5年目にして、はじめて表彰台を逃した。
試合後、ふがいない結果に涙を見せ、インタビューでは、「湧いて出てくるような楽しさとか向上心っていうのが少なくなっていたかな」と敗因を語っていた宇野。
しかし、そんなどん底の宇野を変えたのは、フランス大会後から指導を仰ぐことになったステファン・ランビエール氏だ。
ランビエール氏は、スイス代表としてトリノオリンピック銀メダルを獲得し、世界選手権連覇も達成した人物。
宇野は新コーチについて、次のように語る。
「コーチなら当たり前ってみなさんいうかもしれませんけど、熱意が伝わってくるんですよね。トレーニング内容とか、氷上の全部含めてですけど。(コーチの)人柄が好きという気持ちでこのチームに入らせていただきました」
実際にランビエールコーチの練習風景を見てみると、その指導法は独特だった。
◆「先生という立場よりも、一緒に隣を歩いてくれる」
氷上練習をする宇野の隣には、一緒に滑るランビエールコーチの姿。
一般的にコーチはリンクの外から指導するものだが、振付師も兼ねるランビエールコーチは選手に寄り添って一緒に練習するスタイル。バレエのレッスンでも宇野の隣で一緒に踊っていた。
さらに驚いたのが、転倒した宇野に拍手を送っているシーン。
いったいなぜ褒めているのか。ランビエールコーチはこう語る。
「もし私が彼らの個性を無視してあれこれ毎回指示していたら、それなりの選手にはなるかも知れませんが、素晴らしい選手にはなれないと思います」
選手が跳べたら褒める、跳べなかったら怒る、という上から指導する“先生”の立場ではなく、選手の個性を重視し、寄り添いながら導くのがランビエールコーチの指導法なのだ。
「先生という立場よりも、一緒に隣を歩いてくれるっていうイメージですかね。調子が悪かったら、慰めるというよりも次に向かって解決の糸口を一緒に考えくれる。考えこまないように言葉を選んで接してくれますし、ステファンコーチも一緒に歩いてくれているんだなというのを実感します」(宇野)
その指導が実を結んだのが、あのどん底を味わったフランス大会からおよそ1か月後に行われた全日本選手権。
宇野は4回転ジャンプを次々と成功させ、復活の優勝。演技後には満面の笑顔を見せた。
「ステファンコーチのもとで練習するようになって、スケートの楽しさをあらためて知ることができて。スケートを諦めなくて、あそこ(フランス大会)で諦めなくてよかったと思っています」(宇野)
褒めることで、宇野にスケートを楽しむことを思い出させたランビエールコーチにとって、「褒める」ことは心で接すること。「選手に何かを与えるのも、与えられるのも好きです。彼らが自立して、もう僕が必要なくなることが目標なんです」と話す。
尊敬する新コーチのもとで飛躍を遂げた宇野は、次の試合に向けて「いまは練習をひたむきにがんばろうという気持ちです」と前を向いていた。
※番組情報:『TOKYO応援宣言』
毎週日曜あさ『サンデーLIVE!!』(午前5:50~)内で放送、「松岡修造の2020みんなできる宣言」も好評放送中、テレビ朝日系