「パ・リーグをかき回したい」 ロッテ・サブロー新監督、逆襲の算段。“ボビー・マジック”で優勝した「2005年」の再現へ
いよいよ3月27日(金)、プロ野球が開幕する。テレビ朝日のスポーツ番組『GET SPORTS』では、千葉ロッテマリーンズの再建を託されたサブロー新監督を特集した。
日本ハムの新庄剛志監督が「ちょっとロッテが不気味です」と警戒するなど、今季パ・リーグで波乱を巻き起こす存在となりそうな千葉ロッテマリーンズ。
昨季は首位ソフトバンクに31.5ゲーム差をつけられ、最下位という屈辱を味わった。どん底からの巻き返しを託され、愛するチームのために立ち上がったのがサブロー新監督だ。かつては “繋ぎの4番”と呼ばれ、栄光を極めた時代の中心選手だった。
「パ・リーグをかき回したい」――そう野望を語る指揮官が開幕直前、テレビ朝日の清水俊輔アナウンサーに胸中を明かした。
◆「厳しさと楽しさ」目指す監督像
清水アナ:「開幕が近づき実戦も積んできました。ここまでの手応えをどう感じていますか?」
サブロー:「試行錯誤は最後まで続くと思うんですけど、例えば『点が取れない時にどう取るか』『ピッチャーが何点以内に抑えるか』といった、チームとしての戦い方は徐々に見つかってきた感じです」
1994年、PL学園からドラフト1位でロッテに入団したサブロー(本名・大村三郎)。「サブロー」という登録名は、当時オリックスに在籍していたイチローにあやかり、球団が期待を込めて付けたものだ。
一躍その名が轟いたのは、2005年。ボビー・バレンタイン監督のもと、プロ11年目で初の4番に座ると、“繋ぎの4番”としてブレイク。2005年・2010年と2度の日本一にも貢献し、多くのファンから愛されてきた。
そして、22年間のプロ野球人生を終える引退試合で、「千葉ロッテマリーンズを日本一の球団にする」とファンに誓った。
それから10年。この約束を実現させるため、二軍監督、一軍ヘッドコーチを経て監督に就任した。
清水アナ:「ご自身もいろいろな監督のもとでプレーされましたが、どんなタイプの監督だと分析されていますか?」
サブロー:「山本功児監督(1999年~2003)の厳しさと、ボビー・バレンタイン監督(1995年、2004年~2009年)の楽しむスタイルは融合させたいなと思っています」
◆地獄の特訓「強化ティー」と懲罰交代
そんなサブロー監督が行ったのは、厳しい“昭和のキャンプ”。チーム再建へ、選手たちに過酷な練習を課した。
象徴的だったのが、全体練習の後に控える「強化ティー」。3つのメニューで計500球を振り抜く、まさに地獄の特訓だ。
「量をこなした先に質を求める」という信念のもと、シーズン中でも折れない精神力を養うため、キャンプ序盤から強度の高い練習メニューが組まれた。
高卒3年目の寺地隆成は、「精神的な部分は(シーズンで)出てくると思う。『これだけ練習したんだから』と思えるぐらい練習しないとダメだなって思います」と決意を語る。
また、同じく若手の成長株・上田希由翔も、「去年の秋から“昭和のキャンプ”をやると言われていたので、そのための準備を自主トレでやってきました。しっかりやるぞという気持ちでずっとできたので良かったです」と、過酷な環境を前向きに受け止めていた。
そして、その厳しさは、オープン戦の采配でも垣間見えた。
3月10日のオリックス戦。1点を追う3回無死1塁の場面で、ランナーはレギュラーを狙う4年目の友杉篤輝。しかし、友杉はセーフにもかかわらず判定を「アウト」と勘違いして塁を離れるミスを犯した。チャンスを潰した若手に、サブロー監督は即座に交代を告げた。
清水アナ:「友杉選手が走塁でミスした時に、すぐ代えたシーンがありました。ああいう姿に厳しさを感じたのですが?」
サブロー:「そういう厳しさは、これからも年間通して持っていくと思います。そこで選手がどう考え、リベンジするかを見たいから、わざと代えるんです」
翌日の試合。サブロー監督は前日懲罰交代させた友杉を再びスタメンで起用した。奮起した友杉は最初の打席を四球で出塁すると、その後、バントエンドランで3塁まで進塁。相手のワイルドピッチで帰塁し、この日チーム初得点となるホームを踏んだ。
清水アナ:「交代させた翌日、すぐスタメンに起用しました」
サブロー:「試合後、友杉に『リベンジできたか?』と聞いたら『できませんでした』と言うんですけど、それでいいと思うんです。自分で反省して次にどう活かすか、成功を体験したほうが上達すると思うので」
清水アナ:「直接、監督が『リベンジできたか』と選手に聞いたんですか?」
サブロー:「一応聞きます。僕が考えるリベンジと本人が考えるリベンジは違うと思うので」
清水アナ「友杉選手はどんな表情をしていましたか?」
サブロー:「交代させた時はいつもよりもっと暗かったです。でも、次の日の試合後に話を聞いたら、ちょっとだけ明るい顔で『できませんでした』って言ってきたので、内心ホッとしました」
厳しいだけでなく、選手のことを思った指導がサブロー流の向き合い方だ。選手たちも、その本質を理解している。
藤原恭大が「厳しいですけど、飴と鞭はしっかりある。怖そうに見えて結構優しい」と明かせば、山本大斗も「調子を落とした時にプラスな声掛けをしてもらったり、朝から練習に付き合ってもらったり、厳しさの中にも優しさがある。サブローさんを胴上げしたいです」と、指揮官への熱い思いを口にした。
◆理想は2005年。打ち勝つための打順固定案
では、そんなサブロー監督が抱く理想のチーム像とはどんなものなのか。2月のキャンプ取材で監督は、「ズバリ2005年ですよ」と即答した。
ボビー・バレンタイン監督のもと、チーム打率・打点・盗塁など打撃9部門でリーグ1位を記録し、圧倒的な得点力で日本一まで上り詰めた2005年。当時の中心選手だったサブロー監督は、あの頃の“空気感”を今の選手たちに求めている。
清水アナ:「当時のチームの雰囲気はどうでしたか?」
サブロー:「強かったですよ。先発ピッチャーが初回に3点~4点取られても平気でひっくり返せる余裕があった。自信家が多かったのかもしれません。今の若い選手は自信というよりリスクを考えることが多いと思う。リスクなんてほっといて、もっと自信を持ってやってくれたらいい結果が出るのに。2005年みたいにならないかな、と僕は思っているんですよね」
2005年の打線の特徴は、当時では珍しい135通りの日替わり打線、通称“ボビー・マジック” と呼ばれる采配だった。しかし、サブロー監督が目指す形は少し異なる。
サブロー:「固定できるのであれば、固定したいです。少なくとも上位打線は。ずっと試合に出るのが当たり前になったほうが、『今日打てなくても年間通して3割打てばいい』という安心感と余裕が生まれる。そういう選手が増えたほうが強くなると思う」
◆攻撃のキーマンは盗塁王に輝いた足のスペシャリスト
清水アナ:「今、打順の形をいろいろ試されていますが、どういうイメージで開幕に向かっていきそうですか?」
サブロー:「足も使いたいんですけど、やっぱり本音は打ち勝ちたい。1番から上位に打てるバッターを並べる打順にしています。とはいえ、今の野球は打ち勝つのが難しいので、間に足を絡められる選手を置いたり、いろいろ試しています。いいバッターが打席に立つ回数を増やしたいので、基本的には上位にいいバッターを置くと思います」
清水アナ:「重視している打順はありますか?」
サブロー:「やっぱり1番、2番ですね。出塁率が高くて、足も長打もある。そういう役割になると思う。幸い、うちには西川史礁という2塁打・3塁打が多い選手がいるので、入ってくれたらはまりそうだなと思います。彼が2番だとしたら、1番は藤原。打率も出塁率も高いし、足も使えます。藤原が塁に出て、西川がチャンスを広げ、3番4番のソト、ポランコで返すというのが現実的な形かなと」
サブロー監督が重視する打順は「1・2番」。1番の候補に挙がったのは、藤原恭大(25歳)。オープン戦では打率.385で首位打者、出塁率は.450で12球団トップ。さらに6盗塁で、積極的な走塁も光る。
そして、長打力を求める2番の候補に名前が挙がったのは、西川史礁(23歳)。昨シーズン、リーグトップとなる27本の2塁打を放ち、新人王に輝いた。
そしてこの2人以外にも、サブロー監督が期待を寄せている選手がいる。
清水アナ:「攻撃のキーマンになる選手は誰だと考えていますか?」
サブロー:「やっぱり髙部でしょうね」
サブロー監督がキーマンに挙げたのが、髙部瑛斗(28歳)。プロ3年目の2022年、シーズン44盗塁で盗塁王に輝いた足のスペシャリストだ。
サブロー:「打てるし、小技もそこそこできるので、彼が起点となってどんどん動いてくれたら、相手はこんがらがるかなと思います。でも髙部の置き場所がいちばん難しいんですよ。いいバッターなので上位に置きたい気持ちもあるけれど、下位打線の1番バッターのような役割ができれば、足を絡めながらいい攻撃ができるかなと思いますね」
さらに、サブロー監督が期待を寄せる選手が、過去に2度のホームラン王に輝いた、ネフタリ・ソト(37歳)だ。NPB在籍9年目を迎えたソトを、監督は今季チームのキャプテンに指名した。
若手と積極的にフォームの話をしたり、ともにノックを受けて汗を流す。そんな後輩たちから慕われる姿勢が、チームをひとつにする原動力になると考えたからだ。しかし、キャプテンに据えた理由はそれだけではない。
サブロー:「彼自身の成績にも責任を持ってもらい、もっとやってほしいんです。だから、キャプテンに指名したというのが本音。今年の開幕からどんどん打ちまくるような強い気持ちで入ってくれたら、チームも良くなるし、彼自身の成績も上がるんじゃないかと期待を込めています」
◆「打ち待ち」脱却。パ・リーグをかき回す奇策も
2005年のように「打ち勝つ野球」を目指すサブロー監督。一方で、こんな危機感も口にした。
「もう“打ち待ち”じゃダメだと思って。やっておかないと選手も難しいと思う」
「打ち待ちではダメ」。それを象徴するプレーが現れたのが、日本ハムとのオープン戦。1点を追いかける7回、1アウト2塁3塁。バッターは打撃が持ち味の5番・寺地隆成(20歳)。
なんと、寺地は相手の意表をつき、ツーランスクイズを仕掛けた。リクエスト判定により1得点に留まったが、打つだけではない攻撃パターンを試行錯誤している様子が見て取れた。
サブロー:「僕はもうパ・リーグをかき回したい。新庄さんみたいな野球をするかもしれませんし、オーソドックスな野球やるかもしれません」
徐々にサブロー監督が描く攻撃の形が見えてきた。
◆ドラ1石垣元気への期待「ファームより一軍で」
続いては、未来のマリーンズを背負うルーキーの育成について。
今年、大きな期待を背負って加入したのが、ドラフト1位ルーキーの石垣元気(18歳)だ。高卒ルーキーとして今春の一軍キャンプに参加したのは、12球団で唯一。キャンプ第1クールから早速ブルペン入りし、最速158キロの真っすぐを披露した。
その球筋を見たサブロー監督は、今後の石垣の育成・起用方法についてこう語る。
サブロー:「適性は後ろ(抑え)かなとは思いますが、先発で育てたい。将来的にはチームを背負わないといけない立場になると思うので、先発でローテーションの中心を回ってくれたほうがいいかなと、今のところは考えています。これは僕個人的な考えですけど、理想は6~7月ぐらいまで体を作ってから、一軍で1イニング投げさせては間を空ける、というのを繰り返す形。彼にはファームよりも一軍で投げさせたいんです」
理想は、一軍で経験を積ませながら育成。そのためには、まずは身体づくり。キャンプ期間中も、1人別メニューで入念に体幹トレーニングを行っていた。
本人が描く成長曲線は…。
石垣:「先発はやってみたいですが、そんな簡単にいかないと思うので、1~2年目はしっかり中継ぎなどを経験して、結果を出してから先発したいなという思いはあります。一軍で初登板・初勝利することが今年の目標です」
若い力を筆頭に、はばたけるシーズンとなるか。就任1年目、サブロー監督の逆襲が始まる。
清水アナ:「監督は選手を引退される時に『マリーンズを日本一のチームにしたい』と言いました。ファンのみなさんもあの言葉を実現するのを待っていると思います」
サブロー:「昨年最下位という形になって、若いチームになったんですけど、本当にこれからのチームです。僕は勝つのはもちろんですけど、時間をかけて育てながら、最終的に3~5年後、安定して強いチームを作れたらなと思います」
※番組情報:『GET SPORTS』
毎週日曜 深夜1:55より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)





