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日本ハム・新庄監督が語る、選手を1億円プレーヤーに変える育成術「短所はほとんど無視します」

いよいよ3月27日(金)、プロ野球が開幕する。

テレビ朝日のスポーツ番組『GET SPORTS』では、北海道日本ハムファイターズ・新庄剛志監督が出演し、ナビゲーターの南原清隆と対談。

昨季2年連続2位に終わり、今季は「ダントツ」でのリーグ優勝を宣言した新庄監督が、王者・福岡ソフトバンクホークス攻略の糸口や今季の打順など、その胸中を余すところなく語った。

テレ朝POSTでは、この対談の模様を全5回に分けて紹介。初回のテーマは「新庄流選手育成法」だ。

◆「短所はほとんど無視」ブレない2年間で築いた異例の育成

南原:「今日、久しぶりに練習見させてもらいました。実は1年目から毎年キャンプを見させてもらっているんですけど、ちょっと雰囲気が違いますね。1・2年目は『元気にやろうよ』という感じだったのに、今年はちょっと集中しているというか、ピリッとしている感じがしました」

新庄:「プロ野球選手っぽくなったでしょ(笑)。1年目は正直『どうやって作り上げようか』と考えていて、大阪桐蔭に負けると思っていましたよ(笑)。でも、何と言われようがブレずに2年間『土台』を作ってきました。さあ3年目は勝負だというところで優勝を逃してしまったんですけど…。

僕ね、育成の能力は自分でもすごくあると思うんですけど、もしかしたら優勝させる能力はないかもしれない。今は岡田彰布監督だったり、優勝経験のあるいろんな監督に質問したりして勉強しています」

2021年の監督就任以来、2年連続最下位だったチームの立て直しに取り組んできた新庄監督。

「2者連続初球スクイズ」や「ダブルスチール」「打者に応じた守備シフト3度変更」など、数々の奇策で勝利を掴み、完投を増やすため先発8人制など先発ローテーションにも革命を起こした。

そのなかで、積極的に起用してきた若手が成長。2024年、2025年と、2年連続で2位となり、優勝に手が届くところまできた。これまでの4年間、どうやってチームを作り上げてきたのか。

南原:「まず育成に関してお聞きしたいです。郡司裕也選手や齋藤友貴哉選手などの移籍組を含め、新庄監督のもとでは選手が次々とブレイクします。選手のどこを見て、どう引き上げているんですか?」

新庄:「僕は、短所はほとんど無視します。長所だけを伸ばします。例えば郡司くんなら、長所はバッティングだけど、守備はあんまりうまくない。『君にはファインプレーは望んでない。ここらへんのボールを取ってアウトにしてくれるだけでいいから』とずっと伝えています。『7回まではバッティングのほうでアピールしてくれ』と。そしたら、不思議なことに守備もうまくなっていくんですよ。

あとは、『この1日でダメだったら二軍に落とされる』という危機感は、もうなくしました。郡司くんだったら『9試合あげるから、そこで結果を出しなさい、ダメだったら落とします』と伝えていますね。ファームの選手にも『この何試合で何本ヒットを打ったら一軍にあげる』と先に言っています。そしたら、やっぱり選手は上に上がりたいから、集中するんですよ。ヒット13本を4日間ぐらいで打ったりします」

一軍に上げたらすぐにスタメンで使い、勢いがあるうちに元のレギュラーと競わせる。そうした起用が激しいライバル争いを生み、結果として選手層に厚みが増したという。

◆アドバイスは「調子が落ちてきた時に言う」

また、新庄監督といえば、選手とのコミュニケーションでも一線を画してきた。

南原:「齋藤友貴哉選手と話したら、監督から『ゆっくり動作しなさい』とアドバイスされたと言っていました。これにはどういった意図があるんですか?」

新庄:「小心者の選手ほど、マウンドでバタバタするんです。自分でも無意識にいろんな動きをしているから、その時点でもう負けていると思ったので、たとえ四球を与えたとしても『ゆっくり1球1球を集中して投げる』ということを癖付けさせたら、とんでもないボールを投げ出しました。そこからさらにパワーアップさせようと思って、あるピッチャーの映像を送ったら、2日でできたんですよ。球速が3キロも上がりました」

南原:「そのピッチャーは新庄監督が見つけてきたんですか?」

新庄:「現役の時に対戦していたピッチャーの中に、齋藤くんに似たタイプのピッチャーがいたんです。『このピッチャーのこのボールを投げなさい』って言ったら、器用な子なので161キロ投げられるようになった。『これだ』って掴んだみたい」

南原:「そういうことを全部頭に入れて、『この子はこれをやればいい』と明確に指導するんですね」

新庄:「例えば五十幡(亮汰)くんだったら、ドジャースのフリーマンの映像を送って『パンチ力があるんだから、この打ち方をしてみなさい』と言いました。いろんなコーチからは『三遊間にゴロを転がして足でいかせたらいい』と言われていたけど、僕は引っ張ってほしいんです。『フリーマンみたいに、右中間気味に大きなフライを打ちなさい』と言ったら、1・2塁間に転がってヒットになることが多くなりましたね」

南原:「(監督の頭の中には)めちゃめちゃ詰まっているんですね」

新庄:「まだまだ引き出しはあるんですけど、全部言うと混乱しちゃうので、ちょっとずつ伝えています」

南原:「言うタイミングも考えているんですか?」

新庄:「バッチリありますね。調子が落ちてきた時に変えます。あとはインスタのDMでモチベーションから変えていきます。『大丈夫だ。(二軍に)落とさないから。三振してもいい』という一言があるだけで、全然違うんですよ。バッティングフォームが変わらない。『落とされる』と思うと、当てにいって全部が崩れていくんです。

去年の松本剛くんもめちゃくちゃ調子が悪かったんですけど、FAを取らせたかったから、『落とさない』と言い続けました。『安心しなさい。必ず見てくれる球団はあるから』って(※松本は国内FA権を行使し、今季から巨人に加入)」

南原:「なるほど。だから起用させていたんですね」

新庄:「ファイターズでは出る機会が少なくなっていたので、ジャイアンツに移籍して、阿部監督から『1番センターで使う』と言われていたので、すごく嬉しいです。剛くんには伝えました。『守備はお前がいちばんうまいから教えるな』って。ライバルが増えるから、俺が教えてきた守備は教えなくていいと(笑)」

南原:「愛情を持っていますね」

新庄:「他の球団にいった選手、一緒にファイターズでプレーした選手には、誰だろうが気づいたことはDMします。『ここが悪いよ、ここ直しなさい』って。アドバイスしたから抑えられていることが多いんですけど(笑)。でもいいんです、プロ野球が盛り上がれば」

◆「内野をさせてください」スタメンを勝ち取った現役時代の執念

南原:「新庄監督は若い選手を育てるのに非常に長けていますよね。彼らが成長するには何が必要だと思いますか?」

新庄:「いちばんは競争心ですよね。仲間ですけど、同じポジションでは負けたくないという気持ち。今のうちのチームは、選手をひとつのポジションで使うわけじゃないので、そういったライバル争いがいくつもある。それがいちばんですね」

南原:「確かに。セカンドひとつとっても、外国人選手がいるのに、野村(佑希)選手や吉田(賢吾)選手も入れようとか常に競わせていますね」

新庄:「もう来た時点で練習から競争じゃないですか。僕がそうだったんです。現役時代、外野手なのにサードデビューなので」

南原:「レギュラーになれるんだったら、それでもいいってことですか?」

新庄:「もちろん。どこでもいいんです。最終的に僕はセンターでレギュラーを獲るとわかっていたので、きっかけはなんでもよかった。『内野をさせてください』って二軍のコーチに頼んだんです。どこで誰が怪我をするかわからないじゃないですか。そしたら怪我をしてくれて。というか怪我しろと思っていた(笑)。早く俺の出番が来るからって」

南原:「準備していたから、たまたま空きが出た時に外野にいけたんですね」

新庄:「1打席目の初球、バッティングコーチからは『若造には外の真っすぐが来るから、センター前に打って来い』と言われたんですけど、『嫌です。僕みたいにガキンチョには変化球でカウント取りくるので、カーブで狙います』と言って、カーブをホームラン。狙い球を絞って結果を出して、3日後にはタイガースのスターになっていた(笑)」

南原:「今の話を聞いていて思いました。今の日本ハムの選手たちは、みんな『新庄剛志』なんですね。どこでも守って、何番でも打って、とにかくレギュラーを奪いにいく」

新庄:「中日のOBの方なんかに『よく郡司をサードで使ったよね。すごいわ』ってよく言われるんですよ。いや、あなたたちしてないでしょって。やらせていたらうまくできるかもしれないのに、挑戦もさせてないじゃないですか。僕は選手に挑戦させる『勇気』はありますね」

◆「俺のやり方でやる」完投への執念

南原:「新庄監督には、こういうチームを作りたいというイメージはあるんですか? 例えば昨年は、昔のように完投を多くしようと言って、『12球団最多の先発7人で23完投』という記録を作りました。昔の野球が理想なのか、令和に沿った野球が理想なのか」

新庄:「僕は就任会見で、『完投を昔のように増やしたい』と言いました。100球近くなるとピッチングコーチが『球数なので変えましょう』って言うけど、『誰が決めたん? 俺が決めるんや。ここから伸びるかもしれない。うちは中6日じゃなくて中8日だし、125球までいくよ。負けたら俺のせいでいいから』って。そしたらもう抑える抑える。

その時、中継ぎはあまり調子がよくなかったので、抑え方をわかっている先発ピッチャーでいかせたほうがいいんじゃないかという考えもありました。実際にいかせたら、しっかり9回を抑えてくれました。7回ぐらいで達(孝太)くんを代えようとしたら、めっちゃ怒ります。『情けない。なんで7回で降りないといけないんだ』って。でもこれを急にやれって言ってもできないです。1年目9完投、3年目で11完投、4年目で23完投とか。今年は31完投ぐらいできたら、他のチームも真似しだすかな」

南原:「あそこができているんだから、あの若さでやってるんだからと」

新庄:「そう。そのためにはやっぱり他のチームも先発投手が8人ぐらいいりますよね。8人で回すとなると完投させられる」

南原:「そこはもう我慢ですよね」

新庄:「もう我慢のみです。引っ張って打たれて負けたら、ボロクソ言われます(笑)。5回成功しても1回失敗するとピッチングコーチが『ほらね』みたいな顔をしますし。でも、そんなの関係ない。俺のやり方でやるっていう気持ちはあります」

南原:「『俺が責任を持つんだから』という覚悟ですね」

新庄:「だから、プレッシャーのかかる試合でもあえて新人の選手や調子の悪い選手を使ったりします」

南原:「高卒1年目の柴田(獅子)投手を大事なところで初めて投げさせたりしましたよね」

新庄:「あれは結構フロントと揉めました。『1年目の高校生をプレッシャーのかかる場面で使うと、故障につながるから』って。でも柴田くんは大丈夫なんです。『いくぞ』と押し切って使ったら、見事に抑えてくれて、相手バッターも『すごいボール放りますね』って言ってくれた。正解だったなって思いましたね」

新庄剛志×南原清隆対談、第2回では「打倒ソフトバンク」の核心へ。データが示す“リーグ最下位の指標”を改善すれば、日本ハムは優勝できるのか? 新庄監督が導き出した驚きの攻略法に南原が迫った。

番組情報:『GET SPORTS
毎週日曜 深夜1:55より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)

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