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34歳・谷口彰悟、大怪我からもがき続けた364日。サッカー人生を懸けて戦った“歴史的ブラジル戦”

今年10月、日本代表が3対2で歴史的な初勝利を挙げたブラジル戦。この瞬間を目標にしていたのが、日本代表センターバック・谷口彰悟(34歳)だ。

昨年、選手生命を脅かす大怪我を負いながら、「もう一度ワールドカップに出場する」という思いで自らを奮い立たせてきた。

テレビ朝日のスポーツ番組『GET SPORTS』では、もがき続けた復活までの364日を追った。

◆絶頂でのアクシデント 選手生命最大の大怪我

前回2022年のカタールワールドカップでは、スペイン戦で日本の勝利に貢献した谷口。日本歴代最年長となる31歳でのワールドカップデビューだった。

その後、活躍が認められてベルギーリーグのシントトロイデンへ移籍。33歳にして初のヨーロッパ挑戦を果たす。

今回のワールドカップアジア最終予選で快進撃を続けた森保ジャパンでも、不動のレギュラーを掴んでいた。

迎えた昨年10月15日、ホームでのオーストラリア戦。日本代表は圧倒的な強さでここまで3戦全勝していたが、谷口がオウンゴールを与え、最終予選初の失点を喫してしまう。チームは追いついたものの、この試合で初めて勝利を逃した。

その3週間後の11月8日、谷口はベルギーリーグでアキレス腱断裂という大怪我を負った。すぐに日本へ緊急帰国し、診察を受けることに。

「試合復帰まで最短で5か月、だいたい6か月くらいって話だったかな。大怪我ですね。人生初。めちゃくちゃ不安だよ」(谷口)

全治およそ6か月。すぐにリハビリを開始した。

手術から1か月が経過した12月には、ようやく自分の足で歩けるまでに。しかし、鍛え抜いた筋肉は落ち、左足は細くなっていた。

「僕はいま怪我してプレーできないですけど、ワールドカップに出場するっていう思いは1ミリもブレてないですし、そこに向けていま自分が何をやるべきなのか、逆算して考えながらやれています。いまはコツコツと地味なことしかできないですけど、それがワールドカップにつながると思うので、強くなって帰ってきたいと思います」(谷口)

◆若手の台頭で居場所の危機感も

1か月後、筋力を戻すための戦いが始まった。30歳を超えたなか、果たして元通りになるのか。

さらに谷口には、もうひとつの戦いが待っていた。

戦線離脱をしていたあいだ、高井幸大(21歳)や鈴木淳之介(22歳)ら若手ディフェンス陣が台頭。谷口はもはや絶対的な存在ではなく、代表争いは熾烈を極めていた。

「日本代表は自分の席を空けると、次から次にまた新しい選手が出てくる。そういうものだけど…最後は自分が勝ち取りたい」

強い決意を語った谷口。自分の居場所は本当にあるのかという危機感から、リハビリのスピードは増していった。今年3月には4か月ぶりにスパイクを履き、5月にはベルギーで半年ぶりに公式戦復帰を果たした。

そして10月、谷口は364日ぶりに代表のピッチに戻ってきた。ブラジルとの重要な1戦でスタメンを掴んだのだ。

「ここで結果出せなかったら、もう終わりだろうなっていう気持ちでした。正直僕の場合はもう年齢も年齢ですし、若くていい選手がたくさん出てきているなかで、僕を選ぶ意味って何なのっていう。僕の今後のサッカー人生を懸けるぐらいの価値はあると思って臨みました」(谷口)

◆歴史的勝利で掴んだ「存在証明」

これまで日本が一度も勝ったことのなかった、サッカー王国ブラジル。谷口は世界最高のドリブラー、ヴィニシウス・ジュニオール(25歳)とも対峙した。

試合はブラジルペースで進み、前半26分に1失点を喫す。谷口のスライディングはギリギリでかわされた。

「もう一歩、もう半歩カバーいける距離にいたら、最後足を合わせられたんじゃないかっていうのはいま思うこと。あれを防いでなんぼだろうっていう悔しさはめちゃくちゃあります」(谷口)

さらに前半32分には2失点目。ベテランとしてまとめるべき守備が崩壊し、2対0で前半が終了した。

しかし、ロッカールームではこんなやり取りがあったという。

「そんなにネガティブではなかったというか、『チャンスあるぞ』っていうのはみんな言っていたし、ポジティブな声かけでした。『まだいけるぞ』っていう」(谷口)

その言葉通り、後半7分に日本は1点を返す。この1点で日本は流れを掴み、立て続けにゴールを決めてついにブラジルからリードを奪った。

この時、谷口はこんなことを考えていた。

「相手がまずどう出てくるのか、冷静に判断しないといけないなと思っていたし、声は常に掛けていました。カバーしないといけないと頭に入れてやっていましたね」

ここから谷口の真価が問われる守りの時間。途中からキャプテンを務め、ディフェンスラインを統率する。ヘディングで体を張るなど、後半は最後まで集中を切らさず堅守を見せた。

そして、試合終了。日本が歴史的な初勝利を掴んだ瞬間、谷口は日本代表としての「存在証明」を示してみせた。

激闘から2日後、試合を振り返ってこう語る。

「やっとまたスタートラインに立てたというか、ここからまた激しいメンバー争いが始まっていますし、常に高いパフォーマンスをして、代表選手に値するような結果を残し続けたい。またいい緊張感を持って戦えるかなと思います」

もう一度あの舞台へ、ベテランの戦いは続く。

※番組本編をYouTubeで配信中!

番組情報:『GET SPORTS
毎週日曜 深夜1:55より放送中、テレビ朝日系(※一部地域を除く)

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