「1500m、めっちゃ短い」17歳高校生が日本新記録!世界水泳史上“メダルゼロ”種目に挑む新星、その強さの理由
7月27日(日)から競泳種目がスタートする「世界水泳シンガポール2025」。男子自由形1500mには、今大会唯一の高校生スイマー・今福和志(18歳)が出場する。
競泳種目の中で最長距離となる1500m自由形は、15分近くを全力で泳ぎ続ける過酷なレース。この種目で日本男子が世界水泳のメダルを獲得したことはまだない。
そんななか、今福は3月の日本選手権で日本記録を4秒以上も上回るタイムで優勝。11年ぶりの記録更新という快挙を成し遂げ、日本長距離界の新星として注目を集めている。
飛躍の秘密はどこにあるのか? テレビ朝日のスポーツ番組『GET SPORTS』では、常識を覆す18歳の挑戦が紹介された。
◆強さの秘密は“海” 日本長距離界に現れた新星
5月、大阪。高校に通う今福のもとを訪ねた。練習や遠征であまり登校できないため、学校で仲間と過ごすのはかけがえのない時間だという。
「ここが僕の唯一の心の支えです。練習がきつすぎてメンタルがボロボロの時も、学校に行くとメンタルを保てます」
笑顔で同級生と話す姿は、等身大の高校生そのものだ。
学校が終わると、休むことなく練習へ。拠点は大阪・枚方市にある枚方スイミングスクール。今福は生後7か月の時からベビースイミングを始め、中学生になると長距離選手として開花した。
指導するのは、五輪代表コーチの経験もある太田伸コーチ。今福の飛躍の秘密を聞いてみると…。
「やっぱりオープンウォーターですね。オープンウォーターをやりだしてから急激に伸びているので」
海や川、湖など自然の中で行う水泳競技・オープンウォータースイミング。高い波や風、冷たい水のなか、5~10kmを1~2時間かけて泳ぐため、“水のマラソン”とも呼ばれる過酷な競技だ。
今福は中学3年生から競泳の練習の一貫として、オープンウォーターの大会に出場しているという。
6月には和歌山県で行われたオープンウォーターの大会に出場。波が高く風も強いなか、序盤からレースをリードすると、5kmを1時間近くかけて泳ぎ抜き4位に入った。
このオープンウォーターが、競泳の強さとどう繋がっているのか。今福は次のように語る。
「精神力。あり得ないぐらいの心のトレーニングというか、どんなにきつくても競泳くらいじゃ挫けないようなメンタルは手に入れられます」
オープンウォーターは厳しい環境の中で5km以上泳ぐため、精神的に鍛えられるという。だからこそ、競泳で最も長い1500mも今福にとっては…。
「1500mめっちゃ短いなって思った。一瞬で終わっちゃうんで、ほぼスプリントみたいな感じで捉えちゃう。すぐに終わります」
さらにもうひとつ、鍛えられるというのがフィジカル。長距離を泳ぐことで、内臓を含む身体の内側が鍛えられ、1500m程度の距離ではほとんど疲れを感じないほどのフィジカルが身についたという。
競泳の練習に対する意識も変わった。枚方スイミングスクールの合宿では、1か月に400km以上という想像を超える練習量を課している。
太田コーチは次のように説明する。
「1週間に100kmって結構やるチームあるんですけど、それを4週間でやるってなかなか選手ももたないので、相当しんどかったと思います」
オープンウォーターで鍛えた精神力とフィジカルで、400kmを超える練習に励んだ今福。こうした過酷な練習を4年続け、自信も手にした。
「質と量どっちも求めないと世界に追いつけないし、同じことをやってても絶対勝てない」(今福)
日本水泳界に現れた新星・今福和志が叶えたい夢とは。
「やっぱりオリンピックに出て金メダル取って世界新記録っていうのは誰でも夢見るんですけど、1500mの中では、日本人でいちばん近いところにいると思っています」
大きな夢に向かって挑む初の世界水泳。世界の強豪にも臆さない18歳の泳ぎに注目したい。
※大会情報:『世界水泳 シンガポール2025』
2025年7月11日(金)~8月3日(日)
競泳は7月27日(日)~8月3日(日)
テレビ朝日系列地上波、ABEMA、CSテレ朝チャンネルにて放送(放送予定詳細はこちら)