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「芸人は知らないうちに徳を積む」とろサーモン・久保田、M-1優勝までの“愛”を語る

2017年の「M-1グランプリ」、ラストイヤーで優勝し一気にブレイクしたお笑いコンビ「とろサーモン」の久保田かずのぶさん。

ときに“クズ”とも言われる行動や考え方を包み隠すことなく世間に見せ発信する久保田さんのSNSには、中傷から共感まで、さらには“悩み相談”のコメントも多く書き込まれるそう。

そんな久保田さんが、自身の経験をもとに若い人たちに語りかけます。今回は、「徳を積む」ということ、そして、何かを長くやり続ける上で大切なことについて。

©テレビ朝日/テレ朝POST

とろサーモンの久保田かずのぶです。

まず、「顔」というものについて考えてみましょう。人は、全員が同じ顔で生まれてくるわけではありません。親や先祖たちの行い、そしてもちろん遺伝が影響して、みんな違う顔をしてこの地上に生まれてくるわけです。

そりゃあ、良い顔、男でいえば“男前”や“イケメン”と言われる顔で生まれてスタートするほうがいい。ブサイクは、男前と比べると初対面なんかで人に与える印象が劣ってしまうというのは、事実としてありますから。

では、自分がブサイクだと認識したら、自分より外見で優っている人たちと渡り合っていくためにどうすべきか? そこで、「徳を積む」んです

「徳を積む」というと曖昧かもしれませんが、その方法はすごくシンプル。ボランティアなんですね。もっといえば、「奉仕」をしていくんです。

 

◆芸人の下積みは、イコール「徳を積む」こと

©テレビ朝日/テレ朝POST

シンプルとは言いながらも、“ボランティア”と聞くと少しハードルが高いと感じるかもしれません。寄付や募金、何かしらの社会活動をしなきゃいけないと思うのではないでしょうか。

でも、そんなことだけではありません。ちょっと芸人の話をさせてください

芸人というのは、売れない若手時代に、実は知らず知らずのうちにずっと“ボランティア”をしているようなものなんです。

売れない若手は、当然ギャラは全然もらえない。でも人を笑かしたいから、ストリートで漫才をする。そこから実力をつけていって小さな劇場に出られるようになっても、ギャラは10円とか100円とか500円とか、よくてもワンコイン…。小道具のほうがお金がかかるから、実質ギャラは0円、どころかマイナスです。それでもとにかく、人を笑かしたい。

でも、そんななかでも、お金が入らなくても、お客さんを笑かすことさえできれば、「今日ウケたわ」って満面の笑顔で帰っていける。こんなもん、奉仕でしかありません。

そしてこれがまさに、「徳を積む」ということやと思うんです。

芸人は基本的にみんな、下積みのなかでそうやって“徳”も積んできている。あとは、それをどこまで積み上げられるかってことなんです。積み上げてきた貯蓄は、ある程度売れたときにバンッと放出されます。

僕の場合、「M-1グランプリ」で優勝したことで、15年積み上げてきたものが一気にフィーバーしました。

今になってみれば、「顔」なんかもう、関係ありません。それはやっぱり、積み上げてきたからなんです。

 

◆好きなものを、とことん愛し続けろ

©テレビ朝日/テレ朝POST

でも、長いあいだ苦労をして徳を積み上げていくというのは、もちろん簡単なことではありません。

ただ、自分の「M-1」での優勝から振り返ってみると、言えることはシンプル。

好きなことを純粋に、自分にウソをつかずにやり続け、「好きな存在のことはとことんまで愛し続けろ」ということなんです

それを続けていくと、どうなるか? 愛したぶんだけ、愛されることになります。

そりゃあ、嫌なことはたくさんあります。芸人の仕事をしてたら、「好きなのになぁ、お笑い。けど、お笑いが全然こっち向いてくれへんなぁ」ってことがいくらでもある。

でも、めげずにずっと努力して、愛し続ける。そうすればお笑いのほうが愛してくれるし、それまで積んできたものが“全部繋がる瞬間”を味わえることになります。

僕は、M-1優勝で初めて、“お笑いに愛してもらえた”と感じました。このときは、コンビ結成15年目でラストチャンス。大会の日は12月3日で、相方の誕生日でした。今考えたら、こんなベストに“繋がってくれる”誕生日はないです。

そしてあの12月3日は、その年(2017年)で最も大きい満月の日やったんです。僕はそれまでずっとM-1のためにお参りに行っていた神社があって、そこはオオカミを祀ってる神社で、「今年もM-1ダメやったらもう行かんとこ」って思っていました。でも、1年でいちばんデッカいお月様にオオカミが喜んでくれたのか、願いが叶いました。

これも繋がってるし、優勝したとき我々2人とも38歳で“サンパチマイク”(※漫才で使われるマイク)の前でネタやっていたことも繋がっているように感じられるし、最初にM-1出たときにやったネタとM-1で最後にやったネタだけが“漫才コント”だったっていうのも繋がってくれてる。

これらのことが“繋がってる”って感じられるのは何故かといえば、それは我々がたった1本の筋を通してきたからなんやと思います

お笑いが好きで、その好きなことだけを純粋に、ウソをつかずにやり続け、とことん愛してきた。これだけの“筋”で進んで来ているから、いざ“M-1優勝”という結果を手にしたとき、それまでのすべてが一直線になって自分の中で繋がってくれるということです。

好きになったら、これやと思ったら、とにかく一直線。それが、知らず知らずに徳を、貯蓄を積み上げていくことになります。若い人たちに伝えたいことはまだまだ沢山ありますが、今回はこの辺で。<とろサーモン・久保田かずのぶ、撮影:長谷英史>

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