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ヒュンダイがトップ3独占。トヨタは後退【WRC:ラリー・スウェーデンDAY2結果】

現地時間の2月16日、FIA世界ラリー選手権(WRC)第2戦「ラリー・スウェーデン」のデイ2(SS2~SS8)が行われた。

©WRC

地元住民によると過去20年で最高のコンディションで観戦が出来ているという今回のラリー・スウェーデン。SS2スタート時の気温はマイナス2度。住民によれば、雪は降っているが運転中の視界が奪われることはなく、「観戦のための移動などもしやすい週末になりそうだ」とのこと。

ただ、1日目から2日目に掛けて5~10cmほどの降雪があり、路面上は新雪が被った状態。SS2・SS3・SS4と午前中最初に走行する各箇所1回目のSSは、スタート順によって苦しむドライバーがいることが予想された。

因みに、WRCでは午前中と午後に同じSSコースを走行するプログラムが一般的で、このラリー・スウェーデン2日目を例に取った場合、SS2/SS5、SS3/SS6、SS4/SS7が同じコースで、それと最終日のパワーステージ(SS19)にも利用するSS8を加えた7本のSSを用意している。

結果として、WRCではラリーイベントによって、道が荒らされず早めにスタートした方が良いSSと、後からスタートした方が良いSSがある。そういった運も必要になることが、世界の道と戦うラリーならではの魅力だ。

◆ヒュンダイが1~3位を独占

そして迎えたSS2スタート。1番手スタートは王者セバスチャン・オジェ(フォード)。2番手スタートがオット・タナック(トヨタ)、3番手スタートはヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ)と、この3台は新雪を掻き分けるラッセル車の役割を担うこととなり、タイム的に不利になることが予想された。

結果、SS2のステージタイムトップ5は、1位タナック(トヨタ)、2位アンドレアス・ミケルセン(フォード/1位から6秒1遅れ/8番手スタート)、3位マッズ・オストベルグ(シトロエン/同6秒2遅れ/12番手スタート)、4位ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ/同6秒5遅れ/5番手スタート)、5位エサペッカ・ラッピ(トヨタ/同8秒遅れ/7番手スタート)と、2番手スタートのタナックが驚異的な速さを見せたが、1番手スタートのオジェは12秒5遅れのステージ10位、3番手スタートのラトバラも9秒5遅れでステージ6位と苦しんだ。

SS2のステージトップを獲得したタナックは、「マシンは良い感じだ。ただ雪上は滑りやすい。氷上はグリップするんだけどね。コース上には先にスタートしたオジェが作った“道”があって、彼は僕より苦労しただろうなと思ったよ」と、1番手スタートの貧乏クジを引いたオジェを労った。

タナックが言う“氷上はグリップするが、雪上は滑りやすい”というのは、一般ドライバーの感覚だと「逆なのでは?」と思ってしまうが、これはWRCマシンが履くスパイクタイヤの特性によるもの。

というのも、スパイクタイヤには、スタッドと呼ばれる6.5mm長の金属ピンがタイヤから突き出ている状態にある。これが氷上では金属ピンが食い込む形でグリップするのだが、新雪など雪が路面上にある場合は、雨でぬかるんだ泥道を走るように滑りやすくなるのだという。そのためスパイクタイヤを履いた状態では、新雪より他のマシンが走った轍(わだち)の上を走行した方がタイムが出たりする。

話をラリー・スウェーデンに戻すと、その後、各SSのトップタイムをマークしたのは、SS3がヌービル(ヒュンダイ)、SS4がミケルセン(ヒュンダイ)、SS5がヘイデン・パッドン(ヒュンダイ)、SS6がクレイグ・ブリーン(シトロエン)、SS7がブリーン(シトロエン)、SS8がパッドン(ヒュンダイ)であった。

どのマシンも新雪と滑りやすい雪上、走行順番に苦しんだが、好結果を残したのは7本のSS中4本でトップタイムをマークしたヒュンダイのドライバーたちだった。

©WRC

2日目を終え、トップ6には、1位ヌービル(ヒュンダイ)、2位ミケルセン(ヒュンダイ/1位から4秒9遅れ)、3位パッドン(ヒュンダイ/同12秒1遅れ)、4位ブリーン(シトロエン/同12秒6遅れ)、5位オストベルグ(シトロエン/同13秒2遅れ)、6位ティーム・スンニネン(フォード/同29秒6遅れ)が並び、ヒュンダイが1~3位を独占する形となった

2日目トップに立ったヌービルは、昨シーズンも2日目にトップだったが、3日目最後のスーパーSSで自らのドライビングミスでマシンをクラッシュさせてしまった。そこをインタビュワーに突っ込まれると、「今年はそんなミスはしないよ。マシンの状態はいい。走行順にも恵まれて、前のマシンが”道”を作ってくれたところを走れているのでプッシュできている」と、3日目以降も冷静に対応することに務めるようだ。

トヨタは、7位ラッピ(同38秒5遅れ)、8位ラトバラ(同1分6秒2遅れ)、9位タナック(同1分29秒0遅れ)と、後退する結果に。初日にワンツー、そして連覇を狙っていたトヨタにとってはショックな2日目となってしまった。

エースのラトバラは、「このスノーラリー独特の難しいところは、僕たちのタイヤがスパイクタイヤであることなんだ。通常のラリーイベントで履くタイヤは幅広の、いかにもグリップしそうなタイヤだけど、雪道を走るスパイクタイヤは細い幅しかない。そうなると、最初に新雪のなかを1台が走り抜けると、そこに細い轍(わだち)の“道”ができる。次のマシンはその“道”をトレースするように走るのだけど、そうすると、轍(わだち)の幅が少し広がる。そうやって、マシンが走行するごとに“道”が出来ていくんだ。だから、走行順も重要になる。明日のコースコンディションは良くなりそうだけど、僕たちはすでにトップから1分以上遅れてしまっている。ここに限らず、常に上位5位以内をキープして走ることが勝負では重要なので、とにかく明日から巻き返せるよう頑張るしかない」と、丁寧にスノーラリーの難しさを説明するとともに、ヒュンダイとの差が広がってしまったことを悔しがった。

©TOYOTA GAZOO Racing

だが、いちばんショックを受けているのは、暫定12位とワークスドライバーのなかで最下位となった王者オジェだろう

「今日は何一つ良い点がなかった。もちろん(速く走る)挑戦はしたよ。でも何も出来なかった。(セットアップか)何かを間違えているとしか説明しようがない。これが通常とは思えないからね。明日も走行順は早くなるから、どうしようもない」と完全に諦めムードだ。

ラリー・スウェーデンのデイ3は、SS9からSS16が行われる。SS9のスタート時間は午前7時54分(日本時間は午後3時54分)を予定している。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>

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