2030年までに、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標「SDGs」。
テレビ朝日の番組『しあわせのたね。』では、さまざまな課題に取り組み、くらしを未来へ紡ぐ“はじめの一歩”を実践する人たちを紹介している。
3月21日(月)の放送では、飲食業界に風穴を開ける一風変わった働き方を特集した。
◆「1日100食を売り上げたら閉店」する店
「私たちの店では『100食を売ること』をコンセプトに、1日限定100食国産牛のステーキ丼ぶり、ステーキ定食、そして国産牛100%のハンバーグ定食を提供しています」
そう話すのは、京都で定食屋「佰食屋」を経営する中村朱美さん。
佰食屋では従業員の働きやすさを求めた結果、「1日100食を売り上げたら閉店」というルールを取り入れている。
創業から今までの9年間、一貫して材料やメニュー、レシピなどは変えておらず、「売り切れ御免!限定100食」が大前提なのでフードロスもほとんど出していないという。
◆目指すのは“終わりが見える働き方”
そんなこだわりの店をはじめた原点は、幼いころに感じた「家族全員そろって晩ご飯を食べたい」という思いだった。
「昔両親はホテルのレストランで毎日忙しく働いていて、シェフだった父親が家に帰ってくるのは夜遅くでした。どうしても父に『おかえり』と言いたくて、2歳年上の姉とともに眠らずにがんばって起きて、帰ってきた父に『おかえり』と言った瞬間に寝てしまったというのが私の一番幼い頃の記憶です」
両親からは「将来、飲食店だけはやったらアカン」と言われて育った中村さん。その影響もあって大学卒業後は広報の仕事に就いたが、料理好きな夫と出会ったことで一念発起。
「2人の力を合わせて、これまでの飲食店の常識をくつがえすお店をつくりたい」との思いで佰食屋を開業した。
「(1日100食)用意したのが全部売れたらおしまいという“終わりが見える働き方”のほうがいいんじゃないか。(残業せずに)家族全員で晩ご飯が食べられる会社にしようというのは、ずっとコンセプトとして守っています」
売上を増やすことではなく、働き方にこだわる中村さんが未来に叶えたい夢は?
「コロナの自粛生活で、『家でゆっくりご飯を食べるのもいいよね』と思った人もいると思います。コロナが終わっても、私はそれを定着させたいんです。だから今、いろいろなところで『この働き方をみんなもっとやろうよ』と言って回っています。
佰食屋の考え方や経営のあり方を多くの業種や多くの経営者の方が取り入れていただいて、利益と働き方をどちらも両立できると経営者が勇気を持って一歩踏み出せる。そんな存在になりたいなとずっと思っています」
なお、『しあわせのたね。』次回3月28日(月)の放送では、廃棄寸前のジーンズを買い取り、新たな製品へとアップサイクルしている企業を特集する。
※番組情報:『しあわせのたね。』
毎週月曜日 深夜0時45分放送、テレビ朝日(※一部地域を除く)