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“映画の申し子”藤野涼子、オーストラリアで役者修行!初主演作では艶やかな花魁姿に

©テレビ朝日

映画『ソロモンの偽証』で映画デビューを果たし、数々の新人賞を受賞し、一躍若手トップ女優として注目の的になった藤野涼子さん。高校に進学し、しばらくは学業優先の生活を送っていたが、映画『クリーピー 偽りの隣人』で女優活動を再開。

演技力が高い評価を受け、“映画の申し子”と称される存在に。2017年には連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)に兼平豊子役で出演。青森弁を話す姿も話題を集めた。

©テレビ朝日

◆『あまちゃん』(2013年)を見て憧れていた念願の朝ドラに出演

-『ひよっこ』の出演が決まったときはいかがでした?-

「まさか合格するとは思わなかったので、連絡がきたときには驚きました。台本を見たら出番も多くて…。

『あまちゃん』を見て、『朝からこんなに笑わせてくれるドラマはないな。私もいつかこんなあたたかな日常が描かれた作品のなかで演技ができるようになりたい』と思うようになりました。だから、台本をもらってからは、まずは普段から朝にふさわしい笑顔でいようと決めました」

-ヒロイン・みね子(有村架純)が集団就職した工場の同期・豊子役を演じた感想は?-

「豊子は頭が良くて言葉もバンバン出てくる女の子なので、最初は豊子になれるか不安でした。私はすぐには言葉が出ないし、性格も逆なので…。でも、みんなが『普段から豊子に見えるよ』と言ってくれるようになったので、『ちゃんと役に入ることができているんだなあ』と自信がもてるようになりました」

-青森弁も評判でしたね。方言の苦労はありました?-

「祖父母が青森の出身なので、方言の先生からいただいた音源を聞いていると、祖父母と話しているような感じがしました。耳慣れた訛りだったので、青森弁にはあまり苦労しませんでした。でも、共演者も地方出身という設定なので、みんながそれぞれの地元の方言で訛ってセリフを言ってましたから、混ざってしまうということはありましたね(笑)」

-映画とテレビ、ご自身のなかではどうですか-

「テレビはテンポが求められます。私はローテンポで頭の切り替えも良くないので、そういうところをもっと勉強していかないとなあと思っています。

『ひよっこ』の乙女寮のメンバーを演じた人たちはほとんど20代前半で、私の年に近い方々でした。それでも演技に対しての考え方は私なんかよりもはっきりしていて、刺激を受けることがたくさんありました。その人たちに出会って、私ももっと色々な勉強がしたいと思うようになりました。だから、そういう出会いを大切にして、役に向き合っていきたいと思っています」

※『ひよっこ』
高度経済成長期の時代を背景に、父(沢村一樹)の失踪をきっかけに茨城県の農村から集団就職で上京したヒロインの谷田部みね子(有村架純)が、様々な試練を乗り越えて成長していく姿を描く、NHK連続テレビ小説。藤野さんは、松本穂香さん、小島藤子さん、八木優希さんとともに、みね子が暮らす乙女寮のメンバーのひとり、兼平豊子役で出演。

©テレビ朝日

◆高校卒業後、語学と演技の勉強のため単身海外へ

今年3月、高校を卒業した藤野さんは、英会話と演技の勉強のため、単身オーストラリアへと向かう。間が空いてしまったら、行くことを躊躇してしまうかもしれないからと、あえて卒業後すぐに行くことを決めたという。現在は、仕事が休みの期間は海外に行き、英語の勉強や演技のワークショップに参加する生活を送っているとのこと。

-高校を卒業されて海外ですか-

「はい。大学進学も考えましたけど、高校2年生のときに、『ワンス・アポン・ア・タイム』という海外のドラマを見て、『海外の脚本って面白いなぁ』『海外の役者さんの芝居に触れてみたいなぁ』と感じました。

それで、『英語を勉強して、海外でお芝居の勉強をするというのもひとつの選択肢だなぁ。やってみたい、挑戦してみたい』と思ったことがきっかけです」

-オーストラリアに決めた理由は?-

「オーストラリアは日本との時差が1時間しかないのと、演劇学校のワークショップやセミナーが、世界的にレベルが高いと言われていたので、私も18歳のこの感性でチャレンジしてみたいと思いました。私が滞在している地域はほかと比べると、街の雰囲気も穏やかで英語や演技の勉強をするのにもってこいの場所でした」

-実際に行ってみていかがでした?-

「その国によって、ご飯を食べる時間が違うことにまず驚きました。ワークショップには色々な国の人たちが来ていて、私はだいたい夕飯は夜の7時に食べるのですけど、シェアメイトの南アメリカの人たちは遅くて、夜の9時とか10時が普通だそうです。それが子どもの頃からの習慣だと聞いた時はビックリしました(笑)。

あと、折り紙が珍しいみたいです。小学生のときに友だちと一緒に折り紙教室を開いたりしてましたが、もうすっかり忘れてしまって、今は鶴しか折れません。でも、鶴だけでもみんなすごく喜んでくれました」

-ワークショップなどは計画通りに進んでいますか?-

「最近ようやく英語の生活に慣れてきて、ワークショップにも参加しているのですが、日本と海外のワークショップとアプローチの仕方とかが全然違いました。日本で参加したワークショップは学校の教室みたいで、先生は椅子に座って生徒たちの演技を見るという感じでした。

しかし、海外のワークショップは、先生も一緒に参加して、アドバイスを言うときも対面しながらアドバイスを言ってくれます。ワークショップというより、みんなでひとつの作品を作っているような雰囲気でした」

-語学力もかなりついたのでは?-

「まだまだ片言です(笑)。初めはネイティブな人とは全く話せませんでしたけど、全員同じ舞台に上がっているかのような感じで、『とりあえず伝えなければ、もうボディーランゲージでいいか』というある種開き直り的なポジティブな考え方になりました。そういうところを楽しんでいます(笑)」

-刺激を受けてさらにこれから大きく変わりそうですね-

「今までは真面目で芯の強い女性を演じることが多かったけれど、やがてはコメディーとか、テンポのある役もやってみたいです。そういうところは少し図太くなったのかなと思います」

(C)2018銀幕維新の会/『輪違屋糸里』製作委員会

◆主演映画で艶やかな花魁姿に

※映画『輪違屋糸里 京女たちの幕末
幕末の京都。新選組結成当初に起こった局長・芹澤鴨の暗殺事件を背景に描く、時代に翻弄される3組の男女の切ない物語。藤野さんは新選組副長・土方歳三(溝端淳平)に思いを寄せ、次第に内部抗争へと巻き込まれていく主人公・島原輪違屋の芸妓・糸里を演じている。撮影は一昨年、16歳のときに行われたという。

-この作品が決まったきっかけは?-

「最初は加島幹也監督が、オーディションとかではなくて普通にお話しがしたいということでお会いして、学校生活のことや私生活の話をしました。それで次の日に糸里役をやってみないかとお話をいただきました。時代劇に挑戦してみたいと思ってはいました。でも、いざ、やるとなると『ちょっと怖いなぁ』という思いもありました。

現代劇と違って勉強しなきゃいけないこともいっぱいあるし、所作に気を配りながら演技をすることの難しさが、あまり器用に物事をこなすことのできない私にとっては難しい壁でした」

-時代に翻弄される女という難役ですしね-

「本当に主演を最後までやり切ることができるかどうかすごく不安でした。でも、クランクインの2ヵ月ぐらい前にリハーサルを始めて、監督や京都のスタッフの方や溝端淳平さん、松井玲奈さんと糸里を作り上げていきました。撮影期間は短かったですけど、家族のような雰囲気のある撮影だったので、皆さんのおかげで緊張もほぐれたし、糸里を最後までやりきることができました」

-京言葉は難しかったのでは?-

「大変でした。京言葉に関しては、私にとって耳慣れない言葉で、それをマスターするのが本当に大変でした。音源をひたすら聞いて、必死で覚えました。あとはクランクインの2ヵ月くらい前に京都入りして、スタッフの方とご飯に行くときもなるべく京都弁になじもうとしていました」

-撮影で印象的だったことは?-

「白粉(おしろい)を塗ったことと太夫の道中のときにお歯黒になったのが初めてだったので、これが『昔の人にとってきれいだ』ということだったのだと、衝撃的でした(笑)」

-花魁(おいらん)の姿も似合っていました-

「ありがとうございます。あの花魁道中はものすごく大変で、所作、衣装、歩き方とすべてが難しかったです。

あと、鼓の練習は、家でティッシュ箱を肩に乗せてリズムを取り、練習しました。三味線シーンは、もともと小学校のときに三味線を弾く機会があって、『さくら』を弾いた経験があり、楽しみながら挑むことができました」

-糸里は子供のときに売られてきたという難役でしたね-

「映画『ソロモンの偽証』のときに成島監督に、役の履歴書を作って、その人がどういう人生を送ってきたかというのを考えるのが、その役を組み立てる上で重要なことだと教えていただきました。

今回も、糸里を演じるにあたって履歴書を作りました。幼い頃の糸里に思いを馳せたときに私には想像もつかないくらい辛い過去を持った女の子だと。

それでも強さがあって明るい、失敗しても『テヘッ』みたいな感じで乗り越えられたり、周りも許せてしまうお茶目な糸里の魅力にも気づいてもらえるとうれしいです」

-撮影の合間はどんな風に過ごしていたのですか?-

「土方役の溝端(淳平)さんと二人で一緒に『無責任ヒーロー』(関ジャニ∞)を歌っていました(笑)。現場は結構シビアなシーンの撮影でしたが、とても楽しい現場でした」

-そういえば、特技はヒップホップダンスだそうですね-

「はい。ヒップホップダンスとチアダンスは小学校のときに習っていて、それでリズム取ることやダンスは昔から好きです。あと、最近だと音楽を聴くことにはまっていて、ボイストレーニングにも通いたいし、いずれ歌もやっていきたいと思っています」

-女優として必要なことはすべて習得するという感じですね-

「今年は、『とことん徹底的にやる』というのが目標なので、演技も英語も色々なレッスンも頑張っていきたいなって」

-それではオフのときにはまた海外で…という生活をしばらくは続けられるんですか-

「英語はしっかり習得していきたいと思います。ずっと日本にいたら英語を使わないし、絶対に忘れると思うので」

-海外でオーディション受けたりすることも考えていますか-

「そうですね。英語を使った演技もやってみたいなと思っていますし、舞台も挑戦してみたいです」

スクリーンで圧倒的な存在感を放つ“映画の申し子”も素顔はまだ18歳のティーンエイジャー。あどけなさの残るチャーミングな笑顔がまぶしい。海外での活動も視野に入れ、さらなる挑戦の日々が続く。(津島令子)

 

(C)2018銀幕維新の会/『輪違屋糸里』製作委員会

※映画『輪違屋糸里 京女たちの幕末』
12月15日(土)より有楽町スバル座ほか全国順次ロードショー。
監督:加島幹也 出演:藤野涼子、溝端淳平、松井玲奈、佐藤隆太、新妻聖子、田畑智子、塚本高史

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