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ニッポン体操業界変革の鍵はバスケにあり。IOC委員渡辺氏が語る

今月25日から開幕した『世界体操』。

先日放送された『報道ステーション』では、渡辺守成国際体操連盟会長に対し徳永有美キャスターがインタビューを敢行。

そこで渡辺氏は、体操業界が抱える問題の本質をタブーなく語っていた。

2020年以降のスポーツ発展に求められるのは、「スポーツが若者に近づく姿勢」。伝統的なスポーツである体操はアーバンスポーツを見習うべきだというその意味とは――。

◆みんなほしがる“ピンピンコロリ”

©テレビ朝日

渡辺氏は、高校時代に体操を始め、大学時代はブルガリアへ単身体操留学を経験するという当時では異色のキャリアを歩む。帰国後、ジャスコに入社し、リテール部門を担当し、30年以上に渡ってサラリーマンを経験してきた。

そんな民間人視点を強く持つ渡辺氏は、業界の改革の方向性を次のように語る。

「いずれは日本人口の半分くらいが70〜80歳と高齢者の時代になってきますよね。その年齢になると、新しいクルマや家電がほしいわけでもないですよね。私は、みんなが何をほしがるかというと、ピンピンコロリだと思うんです」

“ピンピンコロリ”とは心身ともに元気な状態がいつまでも続いていること。病院の中で寝たきりで終末を迎えるのではなく、死ぬまで健康な状態を人々は志向するだろうというのが渡辺氏の考えだ。

©テレビ朝日

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そして、これには3つの要素が必要だと渡辺氏は語る。

「食事と運動と、社会性が必要です。で、僕は一番大事なのは運動だと思う。運動することによってお腹も減り、食事もちゃんととれると友達もできるし、友達ができると社会性もできる。そして何より健康になります。結果、医療費も減額になり、社会保障費が節約できるでしょう」

こうした“生涯運動できる状態”をつくるために、渡辺氏は従来のスポーツに抱かれたイメージを更新しなければならないという。

◆体操が学ぶべきバスケットボールのモデル

©テレビ朝日

「特に体操などの伝統的なスポーツの選手たちは、五輪をターゲットにしています。そして、五輪に出られなかったらもう人生なくなる、五輪が終わったら頭が真っ白になるみないな考えになっています」

これは“マズい”と渡辺氏。それでは前述した“生涯スポーツできる状態”にはならないからだ。

そこで渡辺氏が注目するのが、体操などに代表されるトラディショナルスポーツと大きく異なるアーバンスポーツ。

アーバンスポ―ツとは、サーフィンやスケートボードなど、ライススタイルの一部になっているようなスポーツのことを指す。

「サーファーは死ぬまででサーファーだし、スケートボーダーは死ぬまでボーダー。体操のようなトラディショナルスポーツはアーバンスポーツから学ばなければならないのです」

いま伝統的なスポーツに起きている問題の一つが、“スポーツとの距離の遠さ”と渡辺氏。

「たとえば、バスケットボール。昔はバスケをするために体育館に行くことが多かった。いわば、スポーツのできる場所に若者が近づいていく必要がありました。これに対し、これからはスポーツが若者に近づいていかなければならなりません」

たとえば、バスケットボールにおいて3on3はその最たるものだ。

体育館だけではなく3on3という形式で、街中でバスケットボールができるようになったことで、人々がバスケットボールに触れる機会は飛躍的に増えた。

「スポーツ自体が変革していって、人々にどれだけ近づいていくのかが大事。今までは、(スポーツが)そういうお高いところにとどまっていました。それだけではスポーツは残っていかないのです」

スポーツに取り組む“消費者”が何を望むのか。30年以上に渡り、イオンに身を置き、消費者目線で仕事に取り組んできた渡辺氏は体操業界に大きな変革を提案している。

その一つが、体操の採点方式にロボットを導入すること。

その狙いは――。

「体操って、なんでその点数になるかわからない。これじゃ(業界が)伸びないんですよ。いま富士通さんが真面目に点数をコンピュータが出す仕組みをつくっています。もともと冗談で言ったのですが、本当に実現しそうです。これによって選手がミスジャッジによってなくことがなくなります」

これは、AIロボットが3Dレーザーセンサーを活用して競技者の動作をセンシングし、数値データを分析することで自動的に点数を導出できるというもの。従来のビデオ判定よりも、より正確でリアルタイムな判定が可能となるメリットがある。

また、競技者がどんな技を披露したのかをすぐに示すことができるため、視聴者には体操をより身近に感じられるというメリットもある。

すべては、スポーツが若者に近づくため。

“ピンピンコロリ”で体操に取り組む人が増える社会の実現のために、渡辺氏の改革はまだまだ続きそうだ。

 

※番組情報:『世界体操
男子団体決勝 2018年10月29日(月)よる10:30〜深夜01:23、テレビ朝日系24局
女子団体決勝 2018年10月30日(火)よる11:20〜深夜01:23、テレビ朝日系24局
男子個人総合決勝 2018年10月31日(水)よる10:30〜深夜01:23、テレビ朝日系24局
女子個人総合決勝 2018年11月01日(木)深夜00:20〜深夜02:24、テレビ朝日系24局
男女種目別決勝 第1日2018年11月02日(金)深夜00:20〜深夜02:50、テレビ朝日系24局
男女種目別決勝 第2日2018年11月03日(土)よる10:30〜深夜01:30、テレビ朝日系24

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