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トヨタのタナック、3連勝!トヨタはヒュンダイ抜いて1位に【WRC:ラリー・ターキー最終結果】

現地時間の9月16日、WRC(FIA世界ラリー選手権)第10戦「ラリー・ターキー」のデイ4が開催された。

最終日はSS14からSS17まで4つのグラベル(未舗装路)SSを走行。前日トップにたったトヨタのオット・タナックがこのまま勝てば3連勝というラリーとなった。

©WRC

そして、見事タナックは優勝を果たし自身初の3連勝。2位にもトヨタのエースドライバー、ヤリ‐マティ・ラトバラが入り、トヨタはワンツーフィニッシュを決めた。この結果、トヨタはマニュファクチュアラーチャンピオンシップでトップのヒュンダイを逆転。復活参戦2年目にして、マニュファクチュアラータイトルを狙える暫定トップに立った。

2010年以来の開催となるラリー・ターキーの最終リザルトは、1位タナック(トヨタ)、2位22秒3遅れでラトバラ(トヨタ)、3位1分46秒3遅れでヘイデン・パッドン(ヒュンダイ)、4位4分10秒9遅れでティーム・スンニネン(フォード)、5位7分11秒7遅れでアンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイ)と続き、以下は9位までひとつ下のクラスが入賞するというサバイバルラリーだった。

この日、注目こそ3連勝のタナックであり、ワンツーフィニッシュを決めたトヨタに集まったが、じつはその裏で、今年のチャンピオンシップを争う王者セバスチャン・オジェ(フォード)とティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)の意地が見えた最終日だった。

©WRC

この日4つあったSSは、オジェとヌービルが2本ずつ獲得。さらにポイントが最終結果とは別に加算されるパワーステージと呼ばれる最終ステージでは、1位ヌービル、2位オジェと、チャンピオン争いをする2人が別格の走りを見せた。

最終10位でフィニッシュしたオジェは、「今日はやれることをすべてやったよ。まさしくフラットアウト(全開)だった。ただ、ヒュンダイの方が少し良くて、最後のパワーステージも打ち負かすのは難しいとわかっていた。それでも、すべてを出し切って走ったし、左後輪のパンクも関係なく走った。だから2位だったのは仕方ない」と、パワーステージを2位で終わったことにも悔いはなさそうだった。

そして、パワーステージで勝利したヌービルは、「間違いなくフラットアウト(全開)だった。僕がチャンピオンシップを争っている相手は、もっともタフな相手だからね。正直、この週末、僕たちは間違いなくいちばん速かった。それなのに、小さな原因が週末を台無しにしてしまった。チームに申し訳ない。でも、勝つときも負けるときも、すべてチームと共にあるんだ」と、この週末の結果を悔みながらも、年間チャンピオンに向けてチームと一丸であることを強調した。

◆トヨタ、3連勝!

©TOYOTA GAZOO Racing

一方、ワンツーフィニッシュを決めたトヨタは、大いに盛り上がった。これでチームはマニュファクチュアラーチャンピオンシップでトップに立ち、ドライバーズチャンピオンシップも狙える位置に来た。

表彰台獲得後、公式インタビューに答えたタナックは、

「いまラリーを終えて思うのは、正直、疲れ切ったという感覚だ。今年のすべてのラリーイベントのなかで、最大の挑戦だった。この週末は、正直、必ずトラブルの目が書いてあるくじを引きながらラリーしているようなものだった。まるで罰ゲームのようにね。チームは素晴らしい仕事をした。金曜日の時点では、スピード的にも勝負できそうになく、ストレスも感じたけれど、でも、チームはさらに速くする努力をし、マシンマネージメントしてくれた。自分たちの仕事をやりきったんだ」と、タフなラリーをサポートしたチームに感謝した。

2位に入ったラトバラは、

「すごくハッピーだよ。僕もタナックもチームのために頑張っている。この週末は最初からリスクを避け、とにかく継続して走り続ける戦略を取った。それが見事にハマったね。雰囲気は別物だけど、このラリーはラリー・モンテカルロに似ている。ラリー・モンテカルロは、タイムを出そうとするとリスクをとらなくてはならない。そして、ちょっとしたミスは大きな罰となって自分やマシンにかえってくる。そこはそっくりなラリーだ。今回、オジェとヌービルはすごい走りを見せたよね。正直、僕はあそこまでリスクは取れない。昨日も僕はコ・ドライバーと、マキネン代表とも話したんだ。今日をどう走るかとね。こうした状況は初めてじゃない。個人的には僕にはもうチャンピオンシップのチャンスはない。そんななか、リスクを取って、最初からタナックと競争していたら、お互いにどんなことになるのか、想像するのは難しくない。だからといって、遅く走ることもない。遅く走ることのほうがトリッキーだったり、集中力の持続に問題が起きたりするからね。リスクは取らないと決めただけなんだ」と、チームメートとの同士討ちは避けつつも、自分の走りをしたと語った。

こうした結果を受けてチーム代表のトミ・マキネンは、

「素晴らしい週末だったし、ドライバーたちに感謝したい。チャンピオンシップに関しては、残り3戦、どのラリーも競争力があると思っている。だから、今シーズンの終わりまで楽しみが続くね。自分たちのマシンは速いと思うし、次のラリーももちろん全開で行くよ」と、チャンピオンシップ獲得に向けて全力を尽くすことを宣言した。

こうして終えたラリー・ターキー。ドライバーズチャンピオンシップは、1位ヌービル(ヒュンダイ)で177ポイント、2位にタナック(トヨタ)が浮上し164ポイント、3位に154ポイントでオジェ(フォード)が続く。4位はエサペッカ・ラッピ(トヨタ)だが、88ポイントと事実上チャンピオン争いは上位3人に絞られた。

そしてマニュファクチュアラーチャンピオンシップは、1位トヨタで284ポイントとトップに浮上。2位に279ポイントでヒュンダイ、3位244ポイントでフォード、4位169ポイントでシトロエンと続く。こちらも、上位3チームはまだまだ混戦状態。最後のラリー・オーストラリアまで勝負は続きそうだ。

©TOYOTA GAZOO Racing

次回はラリー・グレートブリテン。ウェールズ・ラリーと呼ばれる、イギリスのウェールズ地方で行われるラリーだ。10月4日から7日にかけて開催される。

果たして、チャンピオン争いはどうなっていくのか、トヨタの快進撃は続くのか、WRCはシーズン終盤も目が離せない。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>

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