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とろサーモン・久保田、若いことの“ツラさ”を語る。逃げ道なかった「苦節15年」

2017年の「M-1グランプリ」、ラストイヤーで優勝し一気にブレイクしたお笑いコンビ「とろサーモン」の久保田かずのぶさん(38歳)。

ときに“クズ”とも言われる行動や考え方を包み隠すことなく世間に見せ発信する久保田さんのSNSには、中傷から共感まで、さらには“悩み相談”のコメントも多く書き込まれるそう。

そんな久保田さんが、自身の経験をもとに若い人たちに語りかけます。今回は、「若い日々を必死に過ごす」ということについて。

©テレ朝POST/テレビ朝日

とろサーモンの久保田かずのぶです。

「若い」ということは、世の中では基本的に“良いこと”として扱われることが多いですね。でも、僕は「若い」ことはツラいことだとも思う。僕自身、若いときはツラかったなぁ。とにかく必死やったから。

よく、SNSなんかのコメントで若い人たちから相談の書き込みがあります。この前もインスタで、「僕はいま24歳です。まだやりたいことが見つかりません。私はこのまま今後10年くらい何も出来ずに生きていくんでしょうか」って書いてきた人がいました。

まず考えれば当たり前のこととして、何もしないで10年を過ごすことって、何かして10年を過ごすことよりもよっぽどツラくて難しいんですよ。だから、きっとこう悩んでる人も、10年後にはたぶん、いや、来年くらいには何かしていることになると思います。

ただ、「若い」ということはやっぱりツラいたくさん悩むし、たくさん傷つくし、たくさん心に怪我もする。でも必死であれば、必死に自分のなかで筋を通して何かをやっていれば、その怪我に気づかずに若い時代をやり過ごせると僕は思っています。

 

◆「20代は傷つくだけ傷ついたほうがいい」

僕はとにかく、若いときから毎日“お笑い”に必死でした。

必死だったし、とにかく急いでました。毎日毎日ボケたい、毎日毎日面白いこと言いたい、毎日毎日何かエピソードつくりたい…。

そうやってお笑いを愛して、とにかく必死に、血気盛んに急ぐなかで、実は誰かにぶん殴られて傷つけられて、心に怪我することも多かったんやけど、それに捉われる暇なんてありませんでした。前しか見てなかったから。

これが出来るのは、若いときだけですね。そう考えると、「若い」っていうことは幸せでもあるなぁと思います。

©テレ朝POST/テレビ朝日

そして、そうやって傷つくことは、悪いことじゃないんです。

おもしろいもので、若いときにたくさん傷ついて心に怪我を負ってきているヤツほど、30歳を過ぎたあたりからどんどん優しくなっていくんです。他人から、社会から精神を殴られた痛みが分かってるからこそ、相手の気持ちを理解し、優しくなっていく。

だから、少なくとも20代は傷つくだけ傷ついたほうがいいんじゃないかって最近はむしろ思います。

なんせ、必死にやっていれば20代なんてすぐに終わります。で、30代になったとき、そうしてすぐ終わった日々を鮮明に覚えていられる人生でありたい。

30代になってお金もらいだして冷静になったとき、「ああ、あの20代があったからまだまだ頑張れるな」って思えるような、そういうツラくて若い日々を過ごせばいいんですよ。

 

◆苦節15年…指の先が腐りかけてた

ただ、僕が2017年のM‐1優勝までに過ごした日々というのは、実はこんな簡単に“いいんですよ”と済ませられるものではありませんでした。

「苦節15年」――そうたった一言で表すこともできますが、これが長いのか短いのか、自分でも分かりません。ただ、周りからは100%「遅いな」「長いな」と言われます。

そしてこの15年の間、怪我どころか、もはや指の先なんか腐ってしまっているほどの状況になっていたのは確かです。

コンビ結成13年目、14年目、15年目…。M‐1出場資格のラストイヤーが近くなってくる…。そうすると、むしろ冷静なんですよね。「うわ、おれもう指の先が腐りかけてるやん」って客観的に見てる自分がいるんです。

“腐る”ってのは決して言い過ぎの表現ではなくて、気がついたら同期や周りのライバルたちはみんな遥か前を走っていて、じゃあ背後はどうかって振り返ったら、このお笑いの世界をやめていった同期たちの頭蓋骨がゴロゴロと転がっている…

右を見ても左を見ても、逃げる場所はない。もうね、前に進むしかないんです。

指から腐敗していくのを感じつつも、体中怪我していることも分かりつつも、そこを認識しながら最後に前だけを見て走り直したら、“M‐1優勝”というこれ以上ないゴールテープが待っていました。

これが、「苦節15年」ということです

©テレ朝POST/テレビ朝日

M‐1で優勝した後、僕のテレビでの振る舞いやSNSで発してる言葉を見て、「おい久保田、天狗になんなよ」って書き込んできた若者がいました。確か、22歳くらいのイケイケ感を出している男やったかなと思います。

僕は言ってやりますよ。必死にやってきたからこそ、言いますよ。

「おいお前。お前もいっぱしの男やったら、天狗になれるくらい人生で活躍してみろバカ」

天狗はね、もし鼻が折られても、下駄を履いてるから人より高い位置から相手を見ることができます。そして、下駄を取られたとしても、天狗にはまだ羽がついてる。天狗はね、ずっと上にいるんです。

天狗になったらあかんっていうけど、そんなことはない。若い時代を傷つきながら必死に頑張って、いつかみんな天狗になってください。<とろサーモン・久保田かずのぶ、撮影:長谷英史>

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