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トヨタ8号車がトップ、続く7号車に突然のトラブル【ル・マン24時間:終了直前速報】

第86回ル・マン24時間レース。土曜日の午後3時にスタートした各車は、現地時間で日曜日午後1時すぎ、つまり22時間以上を走りきり、チェッカーまで残りわずかとなっている。

この時点で、総合トップにはトヨタの8号車。2番手には7号車が続き、トヨタのワンツー体制でチェッカーへとひた走っている。(※残り2時間時点)

©TOYOTA GAZOO Racing

3位以下を大きく引き離し、一見独走に見えるかもしれないが、その中身はどうやら違っているようだ。

というのも、7号車と8号車は協力し合う立場にあるとはいえ、やはり最大のライバルであり、ドライバーは負けたくないのが本音。その点はチームもよくわかっており、2台が接触するようなことはないことを願っている。

実際、レース中にインタビュー対応してくれたTMG社長の村田久武氏は、「23時間までは戦略通り走るよう、ドライバーたちに徹底しました。ただ、残り1時間で競っていたら、それはまた勝負だ」と。つまり、まだ勝負は終わっていない。

7号車の最終ドライバーは小林可夢偉、そして8号車の最終ドライバーは中嶋一貴。奇しくも共にトヨタの育成ドライバーからF1ドライバーにまで上り詰めた両者が最後のチェッカーまでを担当する。

22時間時点で8号車がトップだが、この順位は2台の間で行ったり来たり、見た目以上に波乱万丈な22時間だった。

最大のポイントは、日が落ちたあと。8号車のセバスチャン・ブエミが、安全を確保するため制限速度を守る必要がある“黄旗のスピードゾーン”と呼ばれる区間で速度違反をした。これにより、8号車には1分間のピットストップペナルティが課せられ、この結果7号車に対して最大で2分以上もの差が開いてしまったのだ。

同じマシンであることを考えると、誰もがこれで7号車の勝利は確実と感じたはずだ。しかし、ここからが違った。

まず、ブエミと交代し深夜のル・マンを走行したのは、元F1世界王者のフェルナンド・アロンソ。初めてのル・マン、初めての夜間走行にも関わらず、アロンソは7号車よりも速いラップタイムを刻んでいく。

結果、アロンソは7号車をかなり追い上げた状態で中嶋一貴と交代した。ここでアロンソを引き継いだ中嶋も凄かった。1周あたり3秒以上縮めることもある鬼神のような走りをもみせると、2分以上あったタイム差が逆転、明け方にはトップの座を奪い返したのだ。

こうしてトヨタの7号車と8号車は朝を迎えた。とはいえ、レースは最後までわからない。それをいちばん熟知しているのは、2016年に残り3分でリタイアを経験したトヨタのチームクルーたち。それだけに、初優勝に向けてはいつもと同じことを淡々とこなすよう気持ちを落ち着かせることが大切だ。

果たして、トヨタは悲願のル・マン初優勝を果たすことができるのか。その答えは間もなく出る。

(追記)この原稿を日本に送信した直後、小林可夢偉がドライブする7号車にトラブルが発生した。モニターが突然映し出したのは、長い直線でスロー走行する7号車の姿だ。

コクピット内カメラに切り替わると、ステアリングにある液晶テレビモニターには時速80キロと1速を選択している表示。ギヤが1速から変わらなくなってしまったのだ。このまま7号車はミュルザンヌコーナーまで低速走行か続く。

その後、突然スピードが復活し、ギヤの選択が出来るようになったことは分かったが、確認のため7号車は緊急ピットイン。その後、何事もなかったかのように再びコースに戻ったのだが、結果7号車は2位は守るも1周遅れに。

日本人ドライバー同士で雌雄を決するチャンスは失った。しかし、こんなトラブルはだれも予想していなかったはずだ。

まだレースは終わっていない。現地時間の午後3時、その時間を迎えるまで。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>

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