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トヨタのラトバラ、異例のリタイアもエースたる姿勢示す【WRC:ラリー・イタリアDAY3結果】

現地時間の6月9日、WRC(FIA世界ラリー選手権)の第7戦「ラリー・イタリア」のデイ3が開催された。

©TOYOTA GAZOO Racing

雨もなく、やっとこの季節のサルディーニャ島らしい天候となったこの日は、SS10からSS16まで7本のSSを走った。

残り1日となったデイ3の結果は、1位セバスチャン・オジェ(フォード)、2位ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ/1位から3秒9遅れ)、3位エサペッカ・ラッピ(トヨタ/同54秒2遅れ)、4位ヘイデン・パッドン(ヒュンダイ/同2分1秒8遅れ)、5位マッズ・オストベルグ(シトロエン/同2分3秒9遅れ)、6位クレイグ・ブリーン(シトロエン/同3分13秒6遅れ)となっている。

この日は、前日トップだったオジェ(フォード)をヌービル(ヒュンダイ)、ヤリ‐マティ・ラトバラ(トヨタ)、そしてラッピ(トヨタ)が追いかける展開となっていた。

前日、「スピードが必要だ」とコメントしていたオジェ(フォード)の言葉に嘘はなく、ステージが進むごとに徐々にヌービル(ヒュンダイ)はオジェとのタイム差を縮めていく。さらにトヨタの2台も引き離されることなく、オジェ(フォード)にピッタリとくっついた状態でこの日の最終ステージまで進んだ。

そして上位4台以下では、パッドン(ヒュンダイ)、オストベルグ(シトロエン)、ブリーン(シトロエン)が同じく激しい順位争いをする。

実力が拮抗していたことは各ステージ勝利者にも表れており、SS10はタナック(トヨタ)、SS11はオジェ(フォード)、SS12はヌービル(ヒュンダイ)、SS13はラッピ(トヨタ)、SS14はオジェ(フォード)、SS15はヌービル、そしてSS16はラトバラ(トヨタ)がそれぞれステージトップを獲得。

結果、SS16を走行直後の順位は、1位にオジェ(フォード)、2位に15秒縮めたヌービル(ヒュンダイ/1位から3秒9遅れ)、3位には前日より10秒ほど引きなされたがいまだ小さなトラブルで順位が替わるラトバラ(トヨタ/同48秒3遅れ)、そして4位にラッピ(トヨタ/同54秒2)と、最終日の優勝はこの4台に絞られていた……はずだった。

それがSS16走行後、リエゾンと呼ばれる一般道を走行してチームが待つサービスパークまで走行する途中で、ラトバラ(トヨタ)のマシンがストップ! そのままマシンは復活することなく、異例のリエゾン中のトラブルでデイリタイアとなった。

この結果、10分のデイリタイアペナルティが加わり、SS16のステージトップは幻に。総合順位も8位まで後退してしまった。

©WRC

この日トップのオジェ(フォード)は、「最終日もハードに攻め続けなければ勝てないことは間違いない」と厳しい状況を語った。

2位のヌービル(ヒュンダイ)は、「いい走りは出来たと思う。でも、まだなんとも言えない。最終日も何が起きても不思議じゃない。それは僕にもオジェにもね」と、逆転の可能性は認めつつ、決して楽観視は出来ないと手綱を締めた。

3位のラッピ(トヨタ)は、「今日はずっと上位3台のお尻を追い回したね。この高いレベルでの戦いでは、僕たちは最大限の力を発揮しなければならない。きっとチーム代表のトミ・マキネンは、最終日はマニュファクチュアラーズポイントのことも考えつつ、ラトバラとのファイトを許してくれると思うよ」と、SS16走行直後はラトバラとのガチンコ勝負、そして上位陣との戦いを楽しみにしていたのだが…。

©TOYOTA GAZOO Racing

トヨタは、今回もマシントラブルによりラトバラが優勝争いから脱落してしまった。ラトバラの気落ちは間違いないところだが、それ以上にチームスタッフは辛いだろう。

ラリーとは、再び集う、つまり最初の場所に戻ってくるという語源があり、最初の場所とはチームが待つサービスパークを示す。チームスタッフは全力でドライバーとマシンが再びサービスパークへと戻ってくるようサポートしている。それだけに、今回のようにSSは走り切ってもリエゾンでマシントラブルが発生してサービスパークに戻れなかった事例には心を痛めたはずだ。

しかし、ラトバラはエースらしく、誰を責めることもなく最終日へ気持ちを切り替えたコメントを発表した。

「正直、言葉は見当たらない。僕たち全員が落胆している。しかし、僕たちは前に進まなくちゃいけない。明日はより良い日になると信じて、そして必ず良い日にすると強い意思を持って!」と、自らはもちろんチーム全体も鼓舞した。

今シーズン、ランキングではタナックとラッピの後塵を拝する結果となっているが、チームがラトバラをエースだと認め続けているのも、常に“for the Team(チームのために)”を貫く、ラトバラの人格者ぶりを日々感じているからだ。だからこそ、チームスタッフは今回の悔しさを忘れず、明日以降の活力へとつなげるだろう。

ラリー・イタリアのデイ4(最終日)は、SS17からSS20、合計4本のSSを予定。日曜日、SS17の現地スタート時間は午前8時45分(日本時間は午後3時45分)を予定している。<文/モータージャーナリスト・田口浩次>

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