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俳優・矢野浩二、中国で年収数億円の夢を捨て日本へ!「逆輸入で終わるつもりはない」

00年、中国に渡り、数々のドラマ、バラエティーに出演。海外メディアからはいつしか「中国で最も有名な日本人俳優」と呼ばれるようになった矢野さんは、16年、活動拠点を日本に戻すことに。帰国後も数々のドラマで活躍。現在放送中のテレビ朝日系『警視庁・捜査一課長』では鑑識課主任・武藤広樹役を演じている。

 

◆年収数億円も夢じゃなかった!?

―中国で人気絶頂だった2年前、どうして日本に帰ることにしたのですか?―

「中国の主役クラスのギャラって、だいだいドラマ一1本1000万円って言われています。向こうは日本と違ってたいてい1クールでだいたい30話ありましたから、それだけで3億円。

ボクはまだそのクラスには行ってませんでしたが、それでもドラマ1本決まれば、ぜいたくに暮らすことはできました。でも、ボクの目標はそこじゃなかったんです。やっぱり、生まれ故郷の日本の人に顔と名前を覚えてもらって、そこからが『第二の人生』のスタートと思っていた

そのためには、どうしても活動拠点を日本に戻す必要がある。幸い、現在所属している事務所のお話もまとまりつつあったので、『最後のチャンス』という覚悟で、日本にもどったのです」

帰国してからも仕事は順調だ。正確にいうと、矢野さんは16年2月22日、都内で帰国会見を行っている。最初の仕事は、その2ヵ月後スタートの『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系)だった。

―オファーを聞いたときは、どんな気持ちでしたか?―

「そりゃ、うれしかったですよ。中国ではどんなに名前を知られていても、日本じゃやはり無名の俳優ですからね。それに、実は『捜査一課長』は連続ドラマになる前の単発の頃から見ていて、好きなドラマでした。その記念すべき『連ドラ化』の『season1』に使っていただけるなんて、この上ないスタートと感じました」

※『警視庁・捜査一課長』 2012年7月「土曜ワイド劇場」からスタートし、16年4月クールから連続ドラマ化。都内で起きた凶悪事件解決のために 400人以上の精鋭刑事の指揮をとるのは大岩一課長(内藤剛志)。「ヒラから成り上がった」叩き上げだ。その上司、刑事部長を務めるのが本田博太郎。大岩の″補佐役″管理官を演じるのが金田明夫。広報課室長の安達祐実、大岩の妻として床嶋佳子らが″華″を添えるなか、矢野さんが演じるのが、鑑識課主任の武藤広樹だ。

―ドラマ最大の見どころはどこだと思ってますか? ―

「これは人それぞれ違うかも知れませんが、ボクはドラマの冒頭の方にある捜査会議の場面ですね。なにしろこのドラマは忌まわしい犯人を追い詰めるために、捜査員たちのチームワークと並外れた執念を描くもの。

たとえば、鑑識課員が犯行現場からわずかな繊維片を見つけたとするでしょ。それが高級ブランドのものならばワリとあたりは付きますが、都内に何千件もある量販店の普通の服だったりすると、それを買った人まで割り出すのは至難の技ですよね。一課はそれをやるんです。

量販店を一軒一軒地道にあたって『買った人はいませんか。わずかな手掛かりでもいいんです』と気の遠くなるような捜査を続ける。これで犯人に一歩一歩近づいていくんです。そうした意識を再確認するのが捜査会議で、内藤さんは『決起集会』と呼んでます。ボクも毎回気合いが入りますね」

―「鑑識」というのは矢野さんにとって初めての役柄ですか?―

「はい、だからこのドラマをやるようになってからは、普段のニュースでも、やっぱり事件ものだとどうしても鑑識の人たちの動きに目が行ってしまいますね。“あ~、実際はこうやるのか”とか“ボクのやり方は間違ってないな”とか。

『season2』が始まる前には、知り合いを介して警視庁にお邪魔して、鑑識の方をインタビューさせていただいたり、貴重な鑑識道具も実際に見せていただきました」

 

◆現場での内藤剛志さんは「一課長」そのもの

―撮影秘話もうかがいましょう。待ち時間中の内藤さんはどんな感じですか?―

「もう一課長そのもの。チームワークを非常に重要にしている人ですね。中国のドラマだったら主役に個室が無いなんてことは考えられません。大きな個室に一人でデーンとしているものです。でも、内藤さんは待機時間もボクたち役者…どころかスタッフさん、大勢の刑事役の人たちとも一緒にいます。

同じ場所にいるとどうしたってお互い“沈黙”ってわけにはいかないから、何か話すじゃないですか。『最近、調子どう?』とか『きょうのお天気は…』なんて他愛もないこと。これでチームワークを整えようとしているんだと思います」

内藤剛志さん

―じゃあ、現場のムードメーカーは内藤さんということですか?―

「もう一人、金田さんも面白いんですよ。あの方は現場に台本をお持ちにならず、自分のセリフを抜き書きしたメモだけを持ってくるんです。それを見ながら一人でブツブツ練習してるんですが、たまにそのメモをボクたちに見せて、『きょうもこんなにセリフがあって覚えるのが大変なんだよ。でもな、武藤(矢野さんの役名)、これだけ言えば、それだけの金にもなるんだ。そういうことも覚えておけよ』って。冗談めかしながらも『役者』としての心構えを教えてくれてるんだなぁ、とありがたいかぎりです」

金田明夫さん

矢野さんの活躍もあって、『警視庁・捜査一課長』は今のところ好視聴率をキープしている。

 

◆「『逆輸入』俳優で終わるつもりはありません」

―矢野さんが日本に戻ったとき、いくつかのメディアが『逆輸入俳優』と書きました。これからの目標はー

「ボクは『逆輸入』で終わるつもりはありません。むしろこれからは日中合作映画などがどんどん作られる時代。日本のコンテンツも中国に行くだろうし、逆もあるでしょう。さらに中国ではすでにテレビのドラマよりネットのドラマの需要が急拡大しています。そういうなかでボクが存在感を示せるか。そこがこれからのボクの勝負だと思っています」

特異な体験をした矢野さんの目線は、我々の想像よりずっと先を見つめていた。

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