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世界選手権優勝するも「もうやめよう」と葛藤。バドミントン・奥原希望の壮絶な9カ月

5月20日に開幕した、バドミントン世界一の国・地域を決めるトマス杯・ユーバー杯。本大会は2年に一度開催される国別対抗戦で、“バドミントンのW杯”として知られる大会。男子はトマス杯を、女子はユーバー杯を戦う。

ユーバー杯で日本は、これまで5回の金メダルを獲得。優勝回数は中国に次いで2位となっているが、近年では2014年に銀メダル、2016年に銅メダルと優勝には届いていない。今大会はその雪辱を果たすべく、予選グループリーグは3連勝で決勝トーナメント進出を決めている。

そんななか注目したい選手のひとりが、今大会、日本女子で唯一グループリーグの3試合全てに出場し、1ゲームも落とさずに全勝している奥原希望選手(23歳)。

©アフロ

奥原といえば、2017年8月、世界選手権の決勝でインドのプサルラ選手を相手に実に1時間50分以上に及ぶ激闘を戦って制し、日本人では39年ぶりとなる世界選手権優勝という快挙を成し遂げたことが記憶に新しい。

日本中に喜びと驚きをもたらしたこの試合だったが、実はそこから9カ月のあいだ、奥原は大きな葛藤と戦っていた。

その葛藤は、「“もうやめようかな”という選択肢もありました」と振り返るほどのものだったという。

 

◆寝返りできないほどの痛み

©テレビ朝日

バドミントンについて、「(試合中は)あんな真剣な顔してますけど、ラリー中、頭の中はすごくニコニコしています」と話す奥原。ラリーの楽しさについては、さらにこう語る。

「長けているところが違うプレースタイルのなかで、同じシャトルでやり取りするその駆け引きって、本当にすごく面白いです。相手はこうしたいと思ってきているだろうから、自分はこうしようかなって。相手がそれにハマってくれたら“よし!”って思うし、ハマってくれなかったら“なにくそ!じゃあ次はこうかな”って。一球一球、ラリーはすごく楽しいです」(奥原)

しかし、その“楽しさ”の絶頂を味わった世界選手権優勝から僅か1カ月後、奥原の右ひざを痛みが襲う。18歳のときに左ひざ半月板の手術、その翌年に今度は右ひざ半月板と2度の手術を経験している奥原。今回の痛みは、その古傷が再発したものだった。その痛さは、寝返りができないほどだったという。

「寝返り打つたびに、まず大丈夫かっていう確認から入る。“あ、大丈夫だ”っていう奇跡を待ちたくて寝返りを打つんですけど、やっぱり痛くて…。“ああダメだ”と思って、脳の意識もひざに集中してしまっているので寝られない。そんな毎日でしたね」(奥原)

 

◆ファンの言葉で「肩の荷が下りた」

そして、痛みがとうとう限界に達したのが、2017年11月の全日本総合選手権だった。

試合開始直後、最初のポイントを奪った奥原は、すぐに審判のもとへ。そこから、なんとたった1ポイントで棄権してしまったのだ

そのとき、奥原の脳裏に浮かんだのは、日本のファンへの思いだった。

「海外を転々としているので、なかなか日本のファンの皆さまの前でプレーができなくて、『日本のファンの皆さんに生でプレーを見てほしい』、『生でバドミントンの駆け引きの魅力を伝えたい』と思ってました。だからこそ、日本で試合があるのにベストな状態で臨めないっていうのがすごく悔しかったです」(奥原)

ただ、そんな奥原に新たな考え方を授け、救ったのも、日本のファンだった。

「全日本総合を棄権して、自分の中でどうしたらいいかわからないなか、『(奥原が)選択する道を全力で応援する』『それがどんな道であっても私たちファンはついていきます』っていうコメントをくれたファン方がいて、肩の荷が下りました」(奥原)

以前の奥原であれば、最も厳しい道、このときの奥原でいえば“試合に出続ける”という道を選んでいたのかもしれないが、このファンの一言は彼女の考え方を変え、ラクにさせた。その後2018年1月に試合に復帰し、思うような結果は出なかったが、奥原は焦らずひざの状態と向き合う。

「治療とリハビリとをやっていくと、良かったり悪かったりと波が出てくるんです。その波の中で一度思いっきりバドミントンやってみようと、なんだか開き直れました」(奥原)

©テレビ朝日

そんななか迎えた、世界最高峰の舞台、3月の全英オープン。準々決勝の相手は、世界選手権決勝で激闘を演じたプサルラだった。試合は世界選手権のときと同じく最終第3ゲームまでもつれたが、そんな一戦を奥原はこう振り返る。

「“あっ!駆け引きができるようになった”、“あっ!これが本来のバドミントンだ”って、バドミントンの楽しさを感じながらできるようになったので、その感覚が戻ってきたことでやっとスタートラインに立てたなって」(奥原)

試合には惜しくも敗れ、結果は大会ベスト8だったが、怪我をして以来初めて手応えをつかんだ奥原には、もう葛藤はなかった。そして奥原は、怪我から得たものについても語る。

「今回の怪我で、自分の可能性を自分が信じられなかったら、何事もできないと思いました。自分が信じなくて、どうやって、誰とバドミントンをするのか。“自分と一緒に”本当にひとつになって戦わないと、世界とは戦えない。これからどんな崖っぷちが来ても、自分が最後まで自分の可能性を信じていたいです」(奥原)

葛藤から解き放たれ、自分を信じてコートに立つ奥原。本大会、そんな彼女が魅せる“楽しい駆け引き”に注目だ。<制作:テレビ朝日バドミントン>

※放送情報:「世界バドミントン国別対抗戦2018」(詳しい放送時間はこちら

・5月24日(木)準々決勝:テレビ朝日地上波(関東地区)、CSテレ朝チャンネル2で放送
・5月25日(金)準決勝:テレビ朝日地上波(関東地区)、BS朝日で放送
・5月26日(土)ユーバー杯<女子>決勝:テレビ朝日地上波(関東地区)、BS朝日で放送
・5月27日(日)トマス杯<男子>決勝:テレビ朝日地上波(関東地区)、BS朝日で放送

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