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西岡德馬、いきなりパンツの衣装合わせに!ラブシーン満載の話題作、撮影秘話を語る

文学座を辞めた後、津川雅彦さん、朝丘雪路さん、加賀まりこさんら錚々(そうそう)たる面々が所属する大手プロダクションに所属することになった西岡さん。ところが、わずか1年でプロダクションが解散してしまう。

◆飲み屋の客の一言から「東京ラブストーリー」出演

-文学座を辞めてからも色々あったようですね-
「そうなんだよ。『うちに来いよ。今が売り時だよ』なんて言われて行ったら、1年で解散するって言われて、『どうするんだよ?』って感じだよね。俺からすれば「所属事務所」は金看板だよ、これまでは文学座の西岡だったんだから。ただの西岡じゃ誰も知らないよって時代にさ、どうしようかなって思ったんだけど、そこで津川(雅彦)さんが、その前の年から『グランパパ』っていうおもちゃ屋をやり始めていたから、おもちゃ屋の『グランパパプロダクション』というのを作って、一緒に2人でやり始めたのよ。

だけど、そのうちに津川さんがおもちゃ屋に夢中になっちゃって、おもちゃの買い出しにあっちこっちに行っちゃうんだよね。(笑)マネジャーも一緒に付いて行っちゃうんだよ、ずっと。それで今度は、『德馬、德馬』ってかわいがってくれていた中山仁さんに誘われて『方舟』というプロダクションに移ったんだよね」

-テレビに出始めたのは、それからですか?-
「その頃はもうテレビをやっていたけど、2時間ドラマが多かったね。殺されちゃう役とか、そんなのばっかりだった。NHKで良い役をやったりしてたんだけどね、少年ドラマとかで。

だけどやっぱり、つかこうへいは文学座のときから仲良くなって芝居をやっていて、『幕末純情伝』というのをやるから、一緒にやらないかって言うから、『幕末純情伝』やって、それが渋谷のパルコ劇場でやってたんだけど、大当たり。今はもう消防法で絶対にダメだけど、通路が全部お客さんで埋まってるの。みんな座布団をもらってビッシリ通路に2列になって入って見てるんだからね。椅子に座れない人たちが全部通路を埋め尽くして。そこで俺が坂本龍馬を赤いブラジャーと赤いパンティーとさ、女物の赤い網タイツをはいて『わしが土佐の坂本龍馬じゃ』ってやる芝居で、それが大ウケ。ものすごくウケたの。(笑)8月公演かなんかだったんだけど、次に予定されていた9月の公演が飛んじゃったから、2ヵ月公演になったの。

でもそのとき、飲み屋に行って飲んでたら隣にいた客に『德馬ちゃん、あんたね、芝居に行ったらコアな観客が、ファンが大勢いるけどね、日本全国いくにはね、テレビやらなきゃダメだ。NHKとかに出たら北海道から沖縄までみんな見てるんだって。東京でこんな小さなパルコ劇場でやったって、何千人しか見ないだろう? 役者は全国区にならんといかんばい』って言われたのよ、九州弁のオヤジに。

それで、テレビをやったほうが良いかなって思って、そのときに出演者が買うと、割引で芝居のチケットが3000円で買えたの。テレビのプロデューサーを10人呼んだら3万円、100人呼んだら30万円だから、よし、30万円自腹を切って100人くらい呼んじゃおうかなと思って、マネジャーに、『できるだけ招待するから、テレビ局のプロデューサーを呼んでこの芝居を見せて』って言ったの。それで、『東京ラブストーリー』の大多亮プロデューサーが、『鈴木保奈美を妊娠させてもおかしくない俳優』ということでキャスティングしたんだよね。(笑)そのときは知らなかったけど」

-芝居を見に来ていた一人だったんですね-
「それで、『東京ラブストーリー』を2ヵ月やった後、マネジャ-に『ちょっと俺、舞台には出ないで、映像ばっかりやることにする』って言ったら、もう1日に3本くらいドラマが入って、撮影やってましたね。それからずっと。映像を3年くらいやって、その後に大竹しのぶさんと『人形の家』という芝居を銀座セゾン劇場でやったらさ、『西岡さんて舞台もやるんですか』って言われちゃって、3年経つとこんなに違うのかと思ったね。『何言ってるんですか。俺は舞台しかやってない』って(笑)」

◆つかこうへい・蜷川幸雄との時間

-今はバランス良く、舞台と映像をという感じですか-
「舞台はやっぱりやりたいから、1年に2本か、多いときは3本くらいになっちゃうね。3本やると、半年ぐらい潰れちゃうんだよね。俺のやる舞台は稽古が長い舞台だから。1ヵ月公演だったら、その前に1か月は稽古するから」

-つかさんも蜷川さんも亡くなってしまいましたが、西岡さんはよく出演されてましたね-
「そうですね。寂しいよね。面白かったもん、つかとかね」

-今活躍されている役者さんたちも、蜷川さんやつかさんの舞台で育てられた方が多いですね-
「そう。蜷川とつかだよね。堤幸彦さんと仕事をしたときに、演出がつかに似ているなあって思って、『堤さん、お嫌いかもしれないけど、つかの芝居どう思いますか? 演出するとき、ちょっと似てるんですけどね』って言ったら、しばらくしてから『僕はあの人の舞台を見てなかったら、今この仕事をやっていませんから』って言ったんだよね。

だから、堤さんもつかの芝居を食い入るように見ていたんだろうなあって思った。みんなそうなんだよね。『東京ラブストーリー』のときも、俺のことをみんな知らないって思ってたんだけど、打ち上げのときに作家もスタッフも『いやあ西岡さん、「幕末純情伝」面白かったです』って言うんだよね。『何だ、見てるんじゃないか、お前』って。(笑)そうやって育ってきた監督やスタッフが本当に多いね」

©石田衣良/集英社 2017映画『娼年』製作委員会

◆西岡德馬、いきなりパンツの衣装合わせに!

※『娼年』
名門大学生でありながら、日々の生活や女性との関係にも退屈し、バーでのバイトに明け暮れ無気力な毎日を送っていたリョウ(松坂桃李)は、ある夜、秘密の会員制ボーイズクラブの女性オーナー(真飛聖)と出会い、“娼夫”として働くことになる。初めは戸惑っていたリョウだったが、さまざまな女性たちと出会い、彼女たちが胸の奥に秘めている欲望の不思議さや深さに気づき、真摯に向き合うことで変化を遂げていく…。

西岡さんは目の前で年の離れた若い妻とリョウに性行為をさせ、それを撮影する車椅子の老人・泉川を演じている。

-映画『娼年』は、全編の半分以上がセックスシーン。最初オファーが来たときはどうだったんですか-
「これを普通にやるとポルノみたいになっちゃうから、『ポルノだったらやらないよ』って言ったの。そしたら監督が『絶対にポルノにはしません』て言うから、『とりあえずちょっと会いましょう』って言って会ったんだけど、もうそこが衣装合わせになっていて…。

それで俺はよくわからなかったの。俺が演じるのは、奥さんのために男を買ってあげてるんだったら、悲しい話だなあと思って。そしたら監督が『じゃあ、次、西岡さんのパンツ』って言ったのよ。それで、『何で俺がパンツの衣装合わせをしなくちゃいけないの?』って言ったら、『ちょっと脱いで見せてもらうかもしれないので』って。『何でそんなことをするのよ』って聞いたんだけど、ああいうこと(自慰シーン)になって…。

もともとは舞台だったんだけど、舞台でやったとき、あのシーンになるとお客さんがみんな笑うんだって。シェイクスピアなんかでもそうなんだけど、悲劇的な部分の前には笑う要素・ファルス(笑劇)というのを入れて、笑わせておいて、最後に悲劇をもっと深くするという手法が昔からあるから、ファルスならファルスでもいいかなっていう風に思って。

そういうのもまあ面白くていいかなって思っちゃったから。絶対イヤだよという風にはならなかったね。それでみんな笑って『面白い、面白い』って言うからさ、『そんなに面白いかな? 良いのかな』って思ってね」

-撮影はそんな感じで進んでいたんですか-
「そう。それで最終的にああいう風になっていくと、あの場面で俺も騙されたみたいになってね」

-意外性があるというか、驚きますよね-
「そうだよね。本番にいく前にさ、監督が松坂桃李に耳打ちしてるんだよ。そしたら彼が本気になって、佐々木心音のお尻をバチンバチン本当に叩いているから、そういう風にもうちょっとやってくれって言われてるのかなって思うんだけど、彼女のお尻がみるみるうちに腫れてきちゃって、気の毒になっちゃってさ」

-スクリーンでも赤くなっていってるのがわかります-
「赤いなんてもんじゃない。最後には紫色になってましたからね。だから、きついなあ、この撮影はなあって思ったんだけど、もうみんなその場は覚醒しているみたいな感じで、テンション上がっちゃってるんだよね、周りも。1日で撮らないといけないし、時間もなかったからね。みんなもう必死になってやっていた。

女の子は女の子で『カット』がかかるとすぐに心音ちゃんにバスローブをかけてあげてケアしてたし、いやらしいとかいうのはすっ飛んじゃっていた現場でしたね」

-撮り終わった後はすごい疲労感だったのでは?-
「僕はそれほどでもなかったけど、あの2人は大変だったと思うよ。僕は見ているだけでさ、本当に。肉体労働だよね。あそこにいくまでに何回もリハーサルをするからね。それは一般の人はわからないからさ。リハーサルを何回もやっているということは」

-格闘技のようなラブシーンの連続ですからね。松坂さんもよくやることにしたなあと思いました-
「よくやったよね。だから、試写会の舞台あいさつで、ほとんど物を食べなかった、バナナしか食べなかったみたいなことを言っていたけど、食べられなくなるだろうね」

-お嬢さんの優機さんも役者さんですが、もうご覧になったんでしょうか-
「いや、見てないと思いますね。娘は2人とも映画の話があるずっと前に原作を読んでるんだよね。それでやることになったときに『ああ、あれやるんだ』みたいなことを言ってた。別に驚きはしなかったし、でも、あまり家族に見せる内容でもないよね。見なくていいよ、別に(笑)」

-でも、公開されたら多分、ご覧になるでしょうね-
「そういえば、優機がこの映画のプレスシートに載っている写真を僕にLINEで送って来たから、やっぱり気になっているのかなあ。見なくて良いけど、もし娘が見たら大笑いすると思うよ。俺のシーンで(笑)」

© 石田衣良/集英社 2017映画『娼年』製作委員会

◆ベッドシーンは色々やったけど…

-目の前で妻と男に性行為をさせて自慰行為…このような役はこれまでにありました?-
「ないね。こんな設定の役はそうそうないから。ベッドシーンはいくらでもあるし、全裸の女の子が上にまたがって来て…というのもあるけど…。

だいたいこういうシーンを撮るときというのはみんな緊張しているから、そんなエロティックな感じにならないんだよね、逆に言えば。すごいみんな気を使うし。そりゃあ一般の人が見ると、女優さんとこんなことやって良いねって思うかもしれないけど、そんな風な精神状態にはなりませんって。

ラブシーンなんて一番好きじゃないね。男優は本当にきつい。女性のほうが度胸がいいし、本当に女の人に圧倒されて、俺が押し倒してキスしなきゃいけないのに、向こうからされてるみたいに映っちゃって『あれっ? これ違うんじゃないか』と思ったことあるよ、俺。(笑)

監督に唇が合っているのが見えないなんて言われて、何回も撮り直ししたら、女性のほうが度胸がいいから『わかりました』って言って、ワーって俺の頭を持ってやってくるからね。(笑)男がそういう風にやると、『何かこの人いやらしいじゃないか』って思われるのがイヤだなって思っちゃうわけだよ。一生懸命歯磨きはして準備してさ、ガムたべて…そういう風にしてやるんだけどね。本当に女優さんのほうがうまいよ。うまいし度胸がいい、本当に。男はダメだね(笑)」

若いときからモテモテのプレイボーイ役を数多く演じてきた西岡さん。古希を過ぎてもダンディーな色気は健在。趣味のゴルフの腕前はプロ級。健康的に日焼けした肌が若々しい。チャレンジ精神も旺盛。カッコいい人がからだを張って、お笑いのネタを演じるから余計インパクトがある。今度は何を見せてくれるのか、楽しみだ。(津島令子)

© 石田衣良/集英社 2017映画『娼年』製作委員会

※『娼年』 4月6日(金)よりTOHOシネマズ新宿他全国ロードショー
監督:三浦大輔 出演:松坂桃李、真飛聖、冨手麻妙、桜井ユキ、佐々木心音、西岡德馬、江波杏子他

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