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『明日の君がもっと好き』脚本家・井沢満さん単独インタビュー<前編>「どんな人も心に闇を持つ」

3月10日(土)、ついに最終回を迎える土曜ナイトドラマ『明日の君がもっと好き』

©テレビ朝日

まるで一編のポエムのような叙情的なセリフ、作品の世界観を見事に表現した絶妙な演出が話題を呼んだ異色ラブストーリーもこれで見納めです。そこで、本作の脚本を手がけた脚本家・井沢満さんの単独スペシャルインタビュー<前編>をお届けします。

——まずは最終回を目前に控えた今のお気持ちを聞かせていただけますか?

幸せな仕事をさせていただいたなと思っています。三田佳子さん、柳葉敏郎さんといったベテランはともかく、初めて組む市原隼人さん、伊藤歩さんら若い人たちと私は年齢が違いすぎていて、生理的にギクシャクする部分があったらあちらにも気の毒だと最初は思っていて。

でも、撮影に入ってしばらくしたら、市原さんたちが自発的に一席もうけてくださって、夜9時から朝の5時まで一緒に飲んだくれたんです(笑)。お互い言いたいこと言い合って、私も粋がってウオッカを一杯だけ一気飲みしたことだけは覚えているんですけど、そこから先はほとんど記憶がありません(笑)。

——それによって何か脚本作りに変化は生じましたか。

おかげさまで、どういう役者なのかだいたい感じられましたので、その後ずいぶん書きやすくなりましたね。脚本家としてはなるべく役者のいいところが出るよう心がけるものですが、情で通い合うことで心がけやすくなりました。だって嫌な役者に書くことほど嫌なものはないですから(笑)。今回はすべての役者さんに友情を感じて書けましたから、それはもうホントに快感でしたね。

——そもそも、このドラマを書こうと思ったきっかけは何だったのでしょう。

近年、文芸作品などを一緒に手がけてきた竹園プロデューサーから、私が点描するラブストーリーに特化した作品を、とお願いされたのが出発点です。もともとは単発ドラマだったんですよ。でも、この作品をラブストーリーと呼んでいただけるかどうか、今となってはよく分かりませんが(苦笑)。

——いや、井沢さんのかつての名作『同窓会』(´93年・日本テレビ系)にも匹敵するラブストーリーだと思います。

そう言っていただけるのはありがたいです。『同窓会』は放送当時かなり騒がれましたが、こうして25年経つと、みなさんが反応した扇情的な部分がスーッと背後に回り、物語に込めた“芯”みたいなものがやっと伝わってきたのかなって。今回の作品に関しても、遥飛を演じた白洲迅くんが「これも20年後(に理解される)じゃないですか」と言ってくれたのがとっても嬉しかったです。

◆どんな人間もどこかに闇を抱えている

©テレビ朝日

——ところで、この作品では登場人物たちの心情を表す独特なセリフが印象的ですが、井沢さんが好きな言葉はどれでしょう。

そうですね……「自分のハブラシ、人に使われるのイヤなんだよね」(第三話:智弘のセリフ)とか「言葉が人と人をつなぐ糸なら……手も……人の温もりは心が安心するから」(第三話:亮)とかは気に入ってます。「一瞬の夏に死んでしまう蝉になっても、いい」(第三話:香)も痛切で好きですね。「#嫉妬」(第四話)は狙ったわけではなく、文字にして出したのは演出家です。私はナレーションとして書いたんですけど、オンエアを見て「こう来たか」と(笑)。あと「肉にまぶすコチュジャン」(第六話:梓)も好き。

——そういった独自のセリフを視聴者が面白がることに対してどう思ってますか?

どうぞツッコみまくって下さい(笑)。当初のコンセプトとして「劇画タッチで、隈取キツくやろう」というのが自分のなかでありましたし。でも、荒々しい展開だからこそ、言葉は大事にしたいとは思っているんです。

——ひとりひとりのキャラクターが、それぞれに痛みを抱えているのも特徴的です。

単なるラブストーリーなら私より他にもっと上手に書ける人はいると思います。自分のアプローチはやっぱり、病んだり、傷ついたり、嫉妬だったりするわけで。ただ、私に言わせれば、病んだり傷ついたりしていない人はそんなにいないと思うんです。程度の問題だけで、どんな人間もどこかに闇を抱えていると思うので。

穏やかに、時折ユーモアを交えて話してくれた井沢さん。次回<後編>では、今なお持ち続ける脚本家としての矜持、そしてタイトルである『明日の君がもっと好き』に込めた想いについて聞きましたので、どうぞお楽しみに!

<取材・文/中村裕一>

※次回放送情報:土曜ナイトドラマ『明日の君がもっと好き』最終話
2018年3月10日(土)よる11:20~深夜0:14放送、テレビ朝日系24局

※ドラマ『明日の君がもっと好き』第6話は、テレ朝キャッチアップで無料配信中!(期間限定)

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