テレ朝POST

次のエンタメを先回りするメディア
未来をここからプロジェクト
menu

日本開催の機運も!注目度増すWRC(世界ラリー選手権)、2018シーズンが開幕

◆WRC(世界ラリー選手権)とは?

WRC(世界ラリー選手権)の2018年シーズンがいよいよスタートする。

©WRC

WRCとは、モータースポーツ競技において、サーキットを周回走行するF1(フォーミュラワン)とならぶ、公道を使った最高峰カテゴリーのひとつ。

日本のJAF(日本自動車連盟)も傘下に入っているFIA(世界自動車連盟)が“世界選手権”として承認しているのは、F1、WRCの他に、世界3大レースのひとつ「ル・マン24時間レース」が有名なWEC(世界耐久選手権)、一般の車両の形をしたマシンでサーキットを走行するWTCC(世界ツーリングカー選手権)、そしてWRCと似た形状の一般車ベースのマシンを使って、舗装路と未舗装路の周回コースを走行するWRX(世界ラリークロス選手権)の5つ。

そのなかでも、F1・WRC・WECは歴史が長く、注目度と格式が高い。

◆WRC(世界ラリー選手権)のルール

簡単にルールを説明すると、WRCは開催イベントによって木曜日(または金曜日)から日曜日までの4日間(もしくは3日間)で行われる。

イベントによっては総距離最大2000kmほどの公道を走り、そのなかで約20本前後あるSS(スペシャルステージ)と呼ばれる車両規制された公道の区間を1台ずつ走行してタイムを競い、その合計タイムによって順位が決まる。

そして、サーキットを使ったレースでは同じレイアウトのコースを周回するのでサーキット内ですべてが終結するが、WRCはSSからSSへと自分たちで移動する必要があり、このSSではない一般道の区間は「リエゾン」と呼ばれている。

©WRC

ここではその国の交通ルールを守り、他の一般車に混ざって走行しなければならない。運が良ければ、本物のWRCマシンと一緒に公道を走行するチャンスがあるのだ。

さらにWRCの特徴としては、マシンに乗って戦うドライバーがひとりではない。これは、SSによっては距離50km以上もの公道を全開で走行する必要があり、当然ながらドライバーは長いコースを覚えることは不可能。

そこで、次のコーナーがどのくらいのカーブで、何キロくらいの速さで走行できるのかを知る目安を指示してくれる助手席のコ・ドライバーという、もうひとりのドライバー(ナビゲーターとも呼ばれている)がいる。

コ・ドライバーが持つのは「ペースノート」と呼ばれる指示ノートで、これがなければ世界最高峰レベルのドライバーであっても簡単にコースアウトや酷い場合はクラッシュをしてしまう。

ドライバーの腕だけではなく、コ・ドライバーの高い能力がなければ勝利はあり得ないのがWRCである。

◆WRCのマシン、WRカー

そんなWRCに参戦している自動車メーカーは、現在4社。アメリカのフォード、フランスのシトロエン、韓国のヒュンダイ、そして我が日本のトヨタだ。

©WRC

トヨタは昨シーズンの2017年から18年振りにWRC参戦を果たし、2戦目のラリー・スウェーデンでいきなり勝利を挙げ、その後ラリー・フィンランドでも優勝。シーズン2勝を飾った。

とはいえ、まだ世界の壁は厚く、昨シーズン製造部門のチャンピオン争いはトップがフォード、2位がヒュンダイ、3位がトヨタ、4位シトロエンという結果だった。しかし、今シーズンのトヨタは1年目の経験が生かされるので、チャンピオン争いの中心となることを狙っている。

WRCを競うマシンは、“WRカー”と呼ばれている。F1などはすべてが完全オリジナルのマシンだが、WRCでは一般車をベースに改造が施される。

©TOYOTA GAZOO Racing

トヨタの場合は「ヤリスWRC」が出場マシン。ヤリスと聞くとピンとこないだろうが、これはヨーロッパなどで販売するときの名前で、日本名はヴィッツ。あのコンパクトカーのヴィッツをベースにここまでカッコよく(空力性能を追求した結果、大きなウイングなどがついて派手な形状となった)、そしてパワフル(380馬力以上。一般車のヴィッツ1.3Uは99馬力)になって生まれ変わったのがWRカーだ。

◆日本での開催は?

©WRC

WRCは“世界ラリー選手権”という名称だけあって、世界中を転戦して行われる。

2018年は、1月25日からスタートする「ラリー・モンテカルロ」を皮切りに全13戦、世界13カ国で開催される。開催地も多彩で、スウェーデン・メキシコ・フランス・アルゼンチン・ポルトガル・イタリア・フィンランド・ドイツ・トルコ・イギリス・スペイン、そしてオーストラリアとある。

ただ、この開催地のなかにアジア圏がない。トヨタも出場しているのだから、日本人としては「日本開催もあれば興味が持てるのに…」と思う人も少なくないだろう。そうしたファンの声は大きくなりつつあり、一部自治体が開催地候補として手を挙げるなど現在日本でもWRC開催の機運が高まっており、早ければ2019年開催に向けた誘致活動が始まったところだ

じつは以前、北海道を舞台にラリー・ジャパンが2004年から2010年まで(2009年は未開催)行われ、全国から当時WRCに参戦していたスバルや三菱のラリー仕様マシンに乗った多くのファンが北海道に集結して大いに盛り上がったのだが、主催者の財政的な問題などもあり、2010年を最後に日本でのWRC開催はない。その間に日本におけるWRCの知名度も低くなってしまった。ファンにとっては、ラリー・ジャパンの復活開催は悲願とも言える

同じく世界最高峰のモータースポーツであるF1日本グランプリは、1976年と1977年に富士スピードウェイで開催された以降は日本開催がなくなり、1987年から鈴鹿サーキットで復活開催すると以後31年間継続開催してきた(途中2007年と2008年は富士スピードウェイでの開催)。

「継続は力なり」というが、現在では誰もがF1という言葉を知っているし、漫才の「M-1グランプリ」やご当地B級グルメの「B-1グランプリ」といった“○-1グランプリ”というのは、すべてF1グランプリから取ったネーミングだ。

WRCも再び日本開催を復活し、それを継続することで、誰もがWRCというモータースポーツとその言葉自体を知るようになるかもしれない

そんな大きなポテンシャルを持つモータースポーツであるWRC。2018年シーズン開幕は間もなくだ。トヨタの活躍も含め、大いに注目していきたい!<文/モータージャーナリスト・田口浩次>

はてブ
LINE
おすすめ記事RECOMMEND