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オジェが5年連続王者に!地元での初優勝も見られたラリーGB【世界ラリー(WRC)】

2017年のFIA世界ラリー選手権(WRC)、第12戦となる「ラリー・GB」が10月26日~29日に開催された。

ここラリー・GBは、初開催が1932年と古く、WRCイベントのなかではラリー・モンテカルロ(1911年初開催)に続く古参ラリーだ。

©HyundaiMotorsport/無断転載禁止

開催場所はウェールズ地方。ここは自然が豊富でとても美しいことで知られており、その自然をモチーフにして作られた映画が宮崎駿監督作品の『天空の城ラピュタ』であることはアニメファンの間では有名だ。

それほど美しい自然なのだが、ラリードライバーにとっては非常に難しいラリーとして知られている

©WRC/無断転載禁止

その難しさについてトヨタのヤリ‐マティ・ラトバラは、「この季節、晴れたドライコンディションを期待することが間違いだ。霧や雨に濡れた路面で非常に滑りやすいコースになる。それでいてトラクションはかかるので、タイムは出る。だからマシンセッティングがとても重要だ」と語り、ヒュンダイのヌービルは「路面の表面が小石混じりになっていて、すごく滑りやすいんだ。こういった特徴の路面は他にないね」とラリー・GB独特のものであることをラリー前に語っていた。

そして、2017年シーズンは残り2戦、いよいよチャンピオンシップの行方が決まりそうだ。第11戦を終えた時点でチャンピオンシップのトップは4年連続王者のセバスチャン・オジェ(フォード)で198ポイント。2位は同じフォードのオット・タナックで161ポイント。そして3位にはヒュンダイのティエリー・ヌービルが160ポイントで続いていた。

現在のWRCは、1位が25ポイント、2位が18ポイント、3位が15ポイント、4位12ポイント、5位10ポイント、6位8ポイント、7位6ポイント、8位4ポイント、9位2ポイント、10位1ポイントが獲得できる。この通常ポイントに加えて、最終日の最終ステージはパワーステージと呼ばれ、1位5ポイントから5位1ポイントまでが別途加算される。つまり、総合優勝してパワーステージも1位となれば最大30ポイントを獲得でき、獲得ポイントが同じ場合は優勝回数や2位の回数など、より上位結果を残したほうが勝ちとなる。

よって、今回のラリー・GB終了時点でランキングトップのドライバーと30ポイント以内であれば最終戦のラリー・オーストラリアにチャンピオン争いは持ち越されるが、31ポイント以上の差がついた場合はオジェの5年連続王者が確定する――そんな状態でラリー・GBは始まった

初日は木曜日に行われたSS1で、顔見せ程度の1.49kmのコース。トップは王者オジェが取ったが、上位10台が1.6秒以内に収まる。本格的なラリーは2日目の金曜日からスタートした。

©WRC/無断転載禁止

金曜日、この日一番の走りを見せたのは、英国人ドライバーのエルフィン・エバンス(フォード)だった。

1988年12月28日生まれの28歳。しかも、ここウェールズ出身のドライバーだ。まさに地元期待の若手とあって、沿道に集まるファンの人気も高く、その声援を背にSS2・SS4・SS5と6本あったSSの半分で最速を記録。総合トップに立った。

2位にはタナック(フォード)、3位オジェ(フォード)と続き、フォードは上位3位を独占。ラリー・GBとマシンの相性が非常に良いことを周囲に印象づけた。

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勝負の決め所となる3日目、チャンピオンシップポイントでトップのオジェを上回る必要があるフォードのタナックとヒュンダイのヌービルにとっては、非常に重要な1日だ。

しかし、この日9本あったSS8~16のうち、ヌービルは2本、タナックに至っては1本も最速タイムを出せなかった。この2人に代わって快調だったのが、6本もの最速タイムを出した地元のエバンス。総合トップを守るどころか、2位のオジェ(フォード)に53秒1という大きなリードを築いた

3位にはヌービル(ヒュンダイ)がつけたが、ここから1位エバンス逆転は難しい状態であり、チャンピオンシップポイントの行方は最終日のオジェ次第という具合になった。状況的にはオジェは安泰に見えるが、SS15ではパンク、SS16ではブレーキトラブルという問題を抱えながらの走りだったことから、もし最終日に深刻なトラブルが発生した場合、突然のリタイアも充分にありえる。どんなに順調に見えても油断禁物なのがWRCの難しさであり魅力だ

©WRC/無断転載禁止

そして、地元で初優勝がかかるエバンスにとっては、オジェ以上に緊張を強いられる最終日であることは間違いなかったが、エバンス本人は「明日の最終日はここまでの3日間と同じ作戦で行くよ。いまさら最終日だけ作戦を変えるのは馬鹿げているからね」と語り、あえて最終日に守りの走りに変更して失敗するより、ここまでの調子の良かった走り方を継続する戦略を取った。

こうして向かえた最終日。ランキング3位のヌービルがSS17からSS20までをすべて3位以内、そしてパワーステージの最終SS21で見事トップを獲り、総合2位の18ポイントとパワーステージの5ポイントを積み重ねたが、オジェは総合3位とパワーステージの4位で2ポイントを加算し計17ポイント獲得。

結果、オジェのチャンピオンシップポイントは215ポイント。ヌービルは183ポイントで、最終戦に持ち込むための30ポイント差にわずか2ポイント、オジェが加算したパワーステージ分の2ポイントが届かず、フォードのセバスチャン・オジェは5年連続ドライバーズチャンピオンシップを獲得した

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そして、地元の応援を背負ったエバンスは出身地ウェールズで初WRC優勝を決めた。さらにチームのMスポーツ・フォードはマニュファクチュアラーズタイトルも獲得し、嬉しさ3倍となる最終日だった。

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初優勝のエバンスは、「正直、今回は誰も僕の前には入ってこなかった。最初こそティエリー(ヌービル)が迫ったけど、ラリーの半分が終わる頃にはこのままいけると感じていた。誰も邪魔できないってね。そして勝った。最高の気分だ。さらにチームメートのセバスチャン(オジェ)がタイトルを決め、チームもタイトルを獲得した。本当に最高だ!」とチーム全体の勝利を喜んだ。

5年連続タイトルを決めたオジェは、王者決定の瞬間を観戦に来ていた妻と子供に真っ先に報告。WRCドライバーのなかでもオジェのファミリーマンぶりは有名だ。

「今週末、僕は勝ったわけじゃないけど、それ以上に嬉しく思っている。僕たちのマシンはWRC最速と証明できたわけで、それもすごく嬉しい。いろいろモチベーションを保つものはあるが、家族の存在はとても大きいよ。僕は自宅で家族と過ごす、息子と遊んだり妻と一緒にいたりする時間がとても幸せなんだ」と、5連覇の裏には家族愛があることをメディアに語っていた。

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こうしてラリー・GBでは、2つのタイトル決定とWRC初優勝という瞬間をファンは見ることができた。次はいよいよシーズン最終戦の「ラリー・オーストラリア」だ。11月16日から19日にかけて開催される。<文/田口浩次(モータージャーナリスト)>

なおラリー・オーストラリアの直後には、日本のWRCファンにとって嬉しいビッグイベントが! トヨタが、11月23日に都内でWRC報告会を開催することをホームページで発表した

報告会自体は珍しいことではないが、嬉しいサプライズなのは、このプレス向けの報告会には抽選で20名のファンが参加できるチャンスが! 応募は、TOYOTA GAZOO Racingの公式サイトから申し込むことができる。(※応募締め切りは11月15日)

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