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【世界ラリー(WRC)】オット・タナク優勝!チャンピオン争いは三つ巴に

2017年のFIA世界ラリー選手権(WRC)、第10戦となる「ラリー・ドイチェランド」が8月17日~20日に開催された。

©HyundaiMotorsport/無断転載禁止

ラリー・ドイチェランドは「ターマック(舗装路)」ラリーなのだが、地形的に天候が変わりやすいといわれており、ちょっとした天候の変化や気温の変化によって路面状態が大きく変わるため、チームはタイヤ選択の難しさに直面する。

今回、ラリー開催前に注目を集めたのはシトロエンチーム

このターマック(舗装路)ラリーでの巻き返しを誓い、9度シトロエンでWRC王者となったセバスチャン・ローブをプライベートテストのドライバーとして起用したのだ。はたして、ローブの経験がマシン開発にどう生きるのか? 多くのファンがシトロエンに注目した。

テストを終えたローブは、「これまでのWRカーよりすべての部分で進化している。ただ、挙動がトリッキーなところもあるので、そこはより簡単に操作できるようになったほうがいいね」と、まだシトロエンには乗り手を選んでしまう部分があることを示唆した。

©CitroenRacing/無断転載禁止

そして始まったラリー・ドイチェランドだが、初日から波乱の幕開けとなった。

まず、初日の木曜日はスーパーSSと呼ばれる2.05kmのSS1。街なかに特設コースを設置したのだが、そのコース部分がコンクリートウォールでつくられていたことに問題があった

シトロエンのクリス・ミークがマシンをウォールにぶつけてしまい、デイリタイアを選択。速度自体はまったく出ていなかったにも関わらずマシンが走行不能になるほどのクラッシュに、その後に続いたどのチームも安全策を取ってタイムを出すことを止めてしまったのだ。

結果、WRC2というひとつ下のカテゴリーを走る、シュコダ・ファビアR5に乗るヤン・コペッキーがSS1を制して総合1位になる珍事が発生した。木曜日にショー的に開催されるSS1ならではの出来事だ。

©HyundaiMotorsport/無断転載禁止

そして本格的なラリーが始まった2日目は、SS2からSS8までを争った。

この日不運に見舞われてしまったのが、トヨタのヤリ‐マティ・ラトバラ。ラリー前、自信をもって「ここでは表彰台を狙っていきたい」と語り、実際にSS4までは総合5位と(SS4までで)総合トップのアンドレアス・ミケルセン(シトロエン)から13秒7遅れ。

王者を争うセバスチャン・オジェ(フォード)とは4秒9差、オット・タナク(フォード)とは8秒9差という具合に、チャンピオンシップ争いにおいても、さらに差を縮めるにも絶好のポジションについていたのだ。それが、SS5で突然のエンジン不調でマシンパワーが出なくなり、1分30秒も遅れてしまう結果に…。ここで優勝争いからは完全に脱落。

©WRC/無断転載禁止

こうなると、王者のオジェはティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)だけに集中すればよい。一気に戦いやすくなったはずだ。結果、ラリー・ドイチェランドのデイ2は、総合1位にタナク、2位にはシトロエンのアンドレアス・ミケルセン、3位にヌービル、4位にオジェが続いた。トヨタは6位にユホ・ハンニネン、8位にラトバラがつけ、ラリー・フィンランドで初優勝したエサペッカ・ラッピは40位と出遅れてしまった。

最後にスピンしてライバルのヌービルに順位を逆転されてしまったオジェは、「あのスピンで20秒も失ってしまった。残念だがこれもラリーだ。僕たちは僅差のなかで競っているからね。いま思うのは、今日僕たちが最適なセットアップが見つけられずハマッてしまったのは分かっているので、明日はまた別の日になってくれればと思うよ」と、翌日からの心機一転を誓った。

©WRC/無断転載禁止

ラリー3日目となるデイ3はSS9からSS17を競ったのだが、この日不運に見舞われてしまったのは、チャンピオンシップリーダーのヌービルだった

最初のSS9にてマシンの左後輪をぶつけてしまいサスペンションが破損。そのままデイリタイアとなってしまったのだ。

その結果デイ3の総合順位は、トップがフォードのタナク、2位ミケルセン(シトロエン)、3位オジェ(フォード)となった。トヨタは5位にハンニネン、7位にラトバラ、22位にラッピと続く。このケアレスミスとも言えるリタイアに、ヌービルの失望感も強かった。

「この週末は良い結果を狙えると思っていたのに…。ここはチームにとっては母国ラリー(チームの本拠地がドイツにある)なんだ。それだけに本当に残念だ。でも、このままでは終われない。明日のパワーステージで必ずポイントを取ってみせる」と、意気消沈はしていたが、チャンピオンシップ争いという大きな勝負においては一切諦めの姿勢は見せなかった。

©WRC/無断転載禁止

そして迎えた最終日、デイ4はSS18からSS21で競われた。

最後のパワーステージでは、ヌービルは6位に終わり、ボーナスポイントを稼ぐことはできなかった。逆にオジェが4位につけて2ポイントを加算し、ヌービルとの差を広げてみせた。トヨタはラッピが2位、ラトバラが3位となり、ボーナスポイントを加算した。

肝心の優勝は、デイ2からトップを守り続けたフォードのタナク。2位はシトロエンのミケルセンが続き、3位にフォードのオジェ、4位にトヨタのハンニネンが入った。

©WRC/無断転載禁止

オジェにとっては、ライバルたちが脱落する形で無理に攻めることなく再びチャンピオンシップポイントのリーダーとなり、残り3戦に向けてよい形でチャンピオンシップ争いに挑めそうだ。

優勝したタナクは、「なんといっても金曜日に最適なタイヤを選択できたことが大きかった。あそこでトップに立ったことで残りの土日をうまく戦うことができたと思う。ここドイツで25ポイント獲得できたのは大きい。これでチャンピオンシップも争えると思う」と、残り3戦でチャンピオンシップ争いをしていくことを宣言してみせた。

トヨタは、ハンニネンが惜しくも4位で表彰台を逃したものの、ラトバラとハンニネン、そしてラッピとを合わせて5つのSSでステージ優勝を飾った。結果こそ残念だったが、マシンの速さでは十分トップチームの一角を担うほどとなっている。

第10戦を終えて、ドライバーズランキングは、ここドイツで17ポイントを稼いだセバスチャン・オジェ(フォード)が177ポイントでトップ。2位はノーポイントに終わってしまったヒュンダイのティエリー・ヌービルが160ポイントで続く。3位には、優勝の25ポイントを稼ぎ一気に144ポイントとなり、2位に16ポイント差まで迫ったフォードのオット・タナクが続いている。

チーム同士が争うマニュファラクチャーズランキングは、フォードが325ポイント、ヒュンダイが261ポイントで続き、3位はトヨタで213ポイント。そして4位シトロエンは135ポイントとなっている。

次戦は、1カ月ほどの期間が空き、舞台をスペインに移して10月に開催される「ラリー・エスパーニャ」(10月5日~8日)。残り3戦となったことで、いよいよ注目はチャンピオンシップ争いとなるはず。チャンピオン争いとともに、トヨタの速さにも目を向けてみたい。

<文/田口浩次(モータージャーナリスト)>

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