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ある裏方夫婦の愛と死の物語【『やすらぎの郷』第15週おさらい】

「倉本聰がシニア世代に贈る大人のための帯ドラマ」として4月から放送を開始し、シニア世代のみならず大きな注目を集めている石坂浩二主演の平日昼の帯ドラマ『やすらぎの郷』(テレビ朝日系)。

7月10日から7月14日に放送された第71話~75話(第15週)では、石坂浩二演じる脚本家の菊村栄がおよそ50年ぶりに元美術職人の“ちのやん”と再会。彼と、その妻・カメコによる夫婦の“愛と死の物語”が描かれた。

そんな第15週のストーリーを、まとめておさらいしていこう。(写真はすべて©テレビ朝日/無断転載禁止です)

 

◆長い1日

テレビに功績のあった者だけが入れる老人ホーム「やすらぎの郷」。

9月中旬のある日、脚本家の菊村栄(石坂浩二)は、この施設内の庭でおよそ50年ぶりの再会をした。

相手は、「やすらぎの郷」に入居しているテレビ界を支えた裏方のひとり、元美術職人の“ちのやん”こと茅野大三郎(伊藤初雄)だ。すぐには思い出せなかったものの、いざ「ちのやん!」と彼のことを認識すると、途端に昔のことが思い出される。

 

そうして、アナログに一生懸命工夫していた時代の懐かしい話をしていると、ちのやんが“カメコ”の名前を出した。

カメコこと亀山順子(長内美那子)は、栄やちのやんとともにテレビ創成期を過ごしたタイムキーパーの女性だ。若さと明るさで当時のスタッフたちを大いに元気づけたカメコはいま、ちのやんの妻となっており、夫婦一緒に「やすらぎの郷」に入居しているのだという。

このことに驚き、喜びの表情を見せる栄だが、ちのやんはここでカメコが癌を患い余命数日であることを栄に告げる。

これを聞いた栄は、すぐにカメコのいる病室を訪ねるが…。

栄の心には、カメコに会いに行く前にちのやんが言った言葉が深く残っていた。ちのやんは言う。

「夫婦どっちが先に逝くべきか。おれは、ずっと先に逝きたいと思ってた。後に残されたら、寂しくてとても生きていく自信がない。でも、ある日突然考えが変わった。残されるほうが絶対つらいよね…じゃあおれ、つらいほうを引き受けてやろうと思う

既に妻・律子(風吹ジュン)を亡くしている栄は、律子の生前には同じようなことばかりを考えていたのだ。

そんな会話の後に再会したカメコ。

カメコは既に寝たきりの状態になっているが、その病室にかつてちのやんの下で働き、今は舞台美術の大御所として活躍する“あにやん”こと柿原一平(村田雄浩)が入ってきた。

あにやん率いるちのやんの弟子たちは、ちのやん・カメコ夫婦に育てられお世話になってきたお礼にと、カメコが大好きだった昔のドラマ『星の世界の洋子』のラストシーンに登場する“星空”の美術を別室に再現したのだ。

そのあまりの美しさに息を呑む栄。そしてカメコは、朦朧とする意識のなか、星空の装飾を眺めながら中島みゆきの『ファイト!』を口ずさみ始める…。そんなカメコに優しく語りかけるちのやん…。この夜が、夫婦にとって最後の夜となる。

日付が変わってまもなく、カメコは息を引き取った

 

◆「やすらぎの郷」に衝撃が走る

亡くなったカメコの通夜が、「やすらぎの郷」のゲストハウスで営まれた。棺は、ちのやんが育てた大道具製作のベテランたちによる手作りだ。簡素ながらやさしさにあふれる裏方たちの弔いに、栄たち弔問客は胸を締め付けられる。

また、栄にとっては昨日およそ50年ぶりに再会したばかりの昔の仕事仲間の死だ。ちのやんの「残されるほうが絶対つらいよね…じゃあおれ、つらいほうを引き受けてやろうと思う」という言葉も心に残り続けており、そんな複雑な気持ちを女優の水谷マヤ(加賀まりこ)と語り合う。

そんなマヤは、ある入居者に怒りの気持ちをもつ。その相手は、元々は仲良しである女優仲間の“お嬢”こと白川冴子(お嬢/浅丘ルリ子)だ。お嬢は、久しぶりに声がかかった舞台出演の打ち合わせのために東京に出向き、カメコの通夜を欠席していたのである。

そして通夜が終わり、朝がくる頃、「やすらぎの郷」に衝撃が走る。最愛の妻・カメコを看取った翌朝、ちのやんが後を追うように心筋梗塞でこの世を去ったのだ

この知らせはすぐに「やすらぎの郷」の館内放送で流れ、毎朝の“やすらぎ体操”に代わって、この日はちのやん・カメコ夫妻の愛唱歌であった中島みゆきの『時代』が放送された。

この曲を聴きながら、栄はちのやんに対して感慨深くこう思う。

「よかったな。うまくやったな。女房を見送って、しかもそのあと寝てるあいだにハッと逝くなんて。理想的じゃないか。うまくやったな」

ちのやんの、“残されるほうが絶対つらい”という思いを聞いていたからこその、栄の感想だった。

そうしておこなわれた夫婦の合同葬。ここでも中島みゆきの曲が響く。元シャンソン歌手の及川しのぶが歌い出したのをきっかけに、カメコが亡くなる直前まで口ずさんでいた『ファイト!』の大合唱となったのだ。

みなの歌声が響くなか、ちのやんとカメコは見送られることとなった。

 

◆お嬢の携帯電話を見て言葉を失う

そんななか、合同葬には間に合ったものの、舞台の打ち合わせのため東京に出向いていたことでカメコの通夜を欠席したお嬢は、マヤらに厳しく叱責されすっかり意気消沈する。

落ち込むお嬢と施設内のバー・カサブランカで一緒になった栄は、「扱いが気に入らないから舞台出演は断った」というお嬢の愚痴を聞き流しながらお酒を飲み続けるが、お嬢から見せられた1枚の写真を見て驚愕する

東京で脚本家志望の女子学生と会い、ぜひ栄に会いたいと言われたと話すお嬢。お嬢の携帯電話にはその女子学生の写真が入っており、そこに写っていたのは、栄が40歳前後の頃に浮名を流した当時の若手女優・安西直美そのものだったのだ

聞けば、その女子学生・榊原アザミ(清野菜名)は、安西直美の孫なのだという。

携帯電話の中の写真に写る“あの当時の直美”に、栄の目はくぎ付けになる。

世間的には無名だが、テレビの隆盛を支えてきた裏方たち。そんな存在に大きくスポットをあてた第15週は、夫婦の愛と死の物語を描いたあと、新しい波乱を予感させる終わり方を見せた。

はたして、“安西直美”の孫は「やすらぎの郷」にやってくるのか? 第16週の展開も見逃せない!

※ドラマ『やすらぎの郷』は、こちらにて無料の見逃し配信も展開中

※これまでのおさらい
第1週(第1話~5話)までの「おさらい
第2週(第6話~10話)までの「おさらい
第3週(第11話~15話)までの「おさらい
第4週(第16話~20話)までの「おさらい
第5週(第21話~25話)までの「おさらい
第6週(第26話~30話)までの「おさらい
第7週(第31話~35話)までの「おさらい
第8週(第36話~40話)までの「おさらい
第9週(第41話~45話)までの「おさらい
第10週(第46話~50話)までの「おさらい
第11週(第51話~55話)までの「おさらい
第12週(第56話~60話)までの「おさらい
第13週(第61話~65話)までの「おさらい
第14週(第66話~70話)までの「おさらい

 

◆第76話あらすじ

菊村栄(石坂浩二)は白川冴子(お嬢/浅丘ルリ子)から見せられた安西直美の孫、榊原アザミ(清野菜名)の写真に言葉を失う。アザミの容姿は若き日の直美と瓜二つだった。脚本家を志しているアザミは、栄を神のように尊敬しているという。栄の心はいつになく昂ぶる。

一方、真野六郎(マロ/ミッキー・カーチス)が栄と岩倉正臣(大納言/山本圭)に恋愛を告白。結婚も考えているというが…。

※番組情報 帯ドラマ劇場『やすらぎの郷

毎週月~金・午後0:30~午後0:50、テレビ朝日系24局
<再放送:【BS朝日】毎週月~金 午前7:40~午前8:00>

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